カブでヨーロッパ一周編

 北の光 風の光 [ノルウェー] (2001/12/02-12/05)

・12/02 嵐の後には?
・12/03 北の光 風の光
・12/04 まだまだ続くぞ!
・12/05 ラッキーガイ

通貨単位:NOK(ノルウェークローネ)/1NOK=約13.6円


12/02 雨/霙|晴れ 嵐の後には? Tromso/Svein邸に居候

 今日は朝から嵐とも言える程の雨風。といっても昨夜はかなり遅かったので起きたのは昼過ぎなんだけどね。日曜日でしかも悪天候なので、Sveinさんは「何もやることあらへんから、オレの親んとこでも行くか?」と言ってオレを連れ出してくれた。「昨日は飲み過ぎて二日酔いやから、今日はTAKUが運転してくれや」ということで、今日はオレの運転。

 左側に運転席があるので、シフトレバーは右手で操作。さらにウィンカーとワイパーが逆なのでちょっと戸惑った。そういえばイギリスで借りたレンタカーもウィンカーとワイパーだけは日本と逆だったな。ロータリーの要領もわかっているし、右側通行は体が慣れきっているので問題はないが、風が25m/sもあるので橋の上では車がふらふらする。所々道路が凍結していてスリップするが、それもなかなか楽しい(^_^;;

 その途中に「オーロラマン」の家があるのでそこへ寄って行く。ちなみにSveinさんと「オーロラマン」はガキの頃からずっと一緒で、学校や軍隊までも一緒だったそうだ。そして今は「トロムソフォトクラブ」で一緒に写真を撮っているのだ。

 Sveinさんのご両親は英語を話さないが、オレの「必殺ノルウェー語」が効いたからか、「面白い人やなぁ(笑)」って感じで親しそうに接してくれた。1時間程しか居なかったが、コーヒーとサンドイッチをご馳走になりとても楽しかったよ。

 岐路は強烈な悪天候ですさまじい「霙まじりの雨と風」。今日はオーロラはあかんなぁ・・・と思っていたが、ところがドッコイ!夜になって、とうとうその「オーロラ」が姿を見せた!電話で聞いたところによると、Sveinさんの家の上空だけ雲が無く、オーロラマンの家では一面の雲らしい。なんたる幸運!右がベランダから撮影した写真だがまぁまぁの出来だろう?

 構造上デジカメは暗いものの撮影には向いていないが、それでもはっきりと「オーロラ」とわかるものを記録することが出来た。この「オーロラ」を見て、本当に凄いと思ったが光り方が弱くまだまだ序の口らしい。でも「十分満足した」と、この時は思った・・・

12/03 晴れ 北の光 風の光 Tromso/Svein邸に居候

 北欧において「オーロラ」という言葉はあまり一般的では無い。ノルウェー語でオーロラのことを「nordlys(ノーリス)」と呼び、それを英語に訳すと「northern lights」となる。それゆえに「オーロラ」という言葉は使われないのだ。またノルウェーのお年寄りは「winds' lights」という意味のノルウェー語で呼ぶらしい。これはオーロラは常に動いているので、風に流されているように見えるかららしい。確かに当たっている。オーロラは常にその姿を変えながら、二度と同じ顔を見せないのだ・・・

 今日は雲も無く、絶好の「オーロラ日和」。といっても太陽が頑張ってくれないとオーロラは現れないん。オーロラ予報では今日はかなりいい状態らしいのでそれに期待するしかない。

 そして夕方、空にはわずかだがオーロラが光っている。おなじみの「オーロラマン」と合流し絶好の観測スポットに向う。ここは両側を山に挟まれた場所でそこには湖が広がっている。普通に写真を撮っても素晴らしい風景。それが明るい月明かりに照らされて光っている。そして空には・・・大きなオーロラが空を横切っている。まだ弱いがこれは期待できるということで、防寒具に身を包みカメラを用意して「オーロラダンス」をしながらスタンバイすることになった(笑)

 そしてとうとう、ヤツはやって来た!今回は気合十分!(笑)

 それでは撮影した写真を紹介することにしよう。全ての画像とも「ロールオーバーイメージ」なので、マウスカーソルを画像の上に持っていくと、違う画像に変わるぞ!合計で100枚以上撮影したが、紹介するのはこの6枚。酒を片手に堪能してほしい!

 それでは、心してご覧下さい!感想をメールしてもらえると幸いです。

 ロールオーバーイメージは「撮影風景」

 様々な姿を見せる「オーロラ」

 もはや言葉はいらない・・・

 と、絵葉書にしても恥ずかしくない写真を撮ることが出来た!デジカメでもここまで出来れば大したものだろう。ちなみに撮影条件を書いておくと「ISO200・F2.8から3.5・シャッタースピード16秒」。もちろん三脚がなくては撮影できないぞ。なかなかいい出来だったので、Sveinさんとオーロラマンからお褒めの言葉を頂いた(^_^

 とまぁ、そんなこんなのオーロラ観測。予想を遥かに越える素晴らしいものに出逢うことができた。ちなみに撮影場所は分厚い氷が張っている湖の上だったりする。

12/04 晴れ まだまだ続くぞ! Tromso/Svein邸に居候

 昨夜は「オーロラ」に恵まれた。もちろん今夜もそう望んでいる。日中(といっても、昨日は遅かったので活動を始めたのは暗くなってからだけど)は天気予報及びオーロラ予報のチェックも怠り無し。昨夜のオーロラオーバルのアクティブレベル(活発度)はレベル8から10。つまり最高に良いだったというわけ。太陽は数日前から活発に活動しているようなので、今日も良い状態に違いない。さらに天気も上々で風もほとんど無いとのこと。つまりオーロラを見るための条件は全て整っていることになり、これは期待できる。

 そうそう、北ノルウェーの天気予報はちょっと面白い。今日の天気は「晴れ」なんだけど、太陽は「下半分」だけのマークになっている。一日中太陽は水平線の下にあるから納得(笑)

 真っ暗にならないとオーロラは出てこない。それまではホームページ作りに勤しむ。昨日撮りまくった写真を無事アップロード出来た。

 そして夜・・・ベランダから外を時々チェックしながらオーロラが現れるのを待つ。「まだ出てへんなぁ」といいながらリビングで休んでいると、オーロラマンからの電話が響いた!すぐさま外へ出ると、大きなオーロラが姿を見せているではないか!オーロラ観測の支度はすでに整っているので、すぐに車に乗って昨日のスポットへ出発する。凍った道を飛ばし湖に着いた時には、既にオーロラマンは撮影を始めていた。オレもすぐにカメラを準備し、撮影開始!

 前日分と同様に写真は全てロールオーバイメージなので、マウスを画像の上に持っていってみよう!

 ブーメランの様に曲がったり、真っ直ぐのびたり

 集まったと思ったら、すぐに散らばる

 こんなのもあり(ロールオーバーイメージ)

 昨夜は強くなったり弱くなったりしながらも、常にオーロラが空にある状態だったが、今夜は撮影開始後1時間程で消え失せてしまった。気ままなオーロラは突然消えたり、突然現れたりするのだ。オーロラの再出現を待ちながら、凍った湖の上で遊ぶ。部分的に薄くなっているところの氷を叩き割り、湖の水を飲んでみたり(この水は最高に美味かった)。叩き割った氷を使いウィスキーをロックにして飲んだりもした。オーロラマンはウィスキー好きらしく「1ボトルあったら『オーロラダンス』やりながら、朝までおれるで(笑)」という感じ。しかし幾ら待っても現れないので、今日は引き上げることになった。

 家に帰り、今日撮った写真を整理する。フィルムだと現像代を考えて撮らないと、大変な事になってしまうが、デジカメはパソコンにデータを転送してしまえば、全く問題は無い。それよりも撮ってすぐに写真の出来を確認できるというのが大きい。写真を撮るには、あらかじめわかっているフィルム感度とレンズの明るさからシャッタースピードを割り出す必要がある。「オレのカメラには『プログラム(オート)モード』が用意されているので安心」とはいかないのが写真の難しいところだ。それなりに明るい場所ではうまく写る(もちろんうまくいかない状況もあるよ)が、オーロラのように暗いものを撮影する時には全く役に立たない。つまり、そこは「経験」と「カン」で決める必要があるのだ。その決定が最適かどうかを即座に調べることができ、もし最適じゃなかったら、その場で試行錯誤して決められるのだ。撮影中、オレがそういう風に撮影している姿を見て、Sveinさんもオーロラマンも興味津々の様子。「デジカメは暗い場所ではうまく写らない」というのは常識なのだが、予想以上に上手く写っているのを見て、Sveinさんは「こらー、今度はデジカメを買わなあかんなぁ・・・」とポツリ。

 パソコンに向いながら、フォトレタッチソフトで画像の修正についてSveinさんに話をしつつ、時々ベランダからオーロラをチェック。静まり返っていても、急に現れることも多いので気が抜けない。そうこうしていると、ヤツは現れた。

 今日はもう遅いので、観測スポットへは行かずベランダから撮影。街明かりが邪魔して綺麗には見えないが、夜の町の上空にオーロラが舞う姿もなかなかのものだ。この画像もロールオーバーイメージなので、マウスカーソルを画像の上に持っていってみよう。

12/05 晴れ ラッキーガイ Tromso/Svein邸に居候

 昨夜も遅くまでオーロラに興じた。このままいつまでもオーロラを見ていたい気分なのだが、実際そうもいかない。無事にオーロラを見ることが出来たので、明日にはここトロムソを立ち、次なる目的地「マドリッド」へ行くことになっているのだ。何故「マドリッド」?ということだが、理由は至って単純。カブでは行かなかったし、ホームページを見てくれているマドリッド在住の日本人留学生の「ちえ」さんが「来たら案内しますよー」と言ってくれたからだ。正直言うと、もうスペインはええかなぁと思っていたんだけど、せっかくの機会なので行くことにした。日本からだと大変だけど、ヨーロッパ内だと簡単に行けるからね。

 マドリッドの話はよしとして、今はまだ「トロムソ」。今日が最後の日だと思うととても寂しい。残された時間もわずかなので、今日は昼前から行動を開始した。まずは昨日、一昨日とオーロラを撮影した湖に連れて行ってもらった。とても美しい場所なので、是非とも昼の景色を見ておきたかったのだ。太陽こそ出ていないものの、空は明るい。おなじみになった凍りついた道路を走り抜け、そこへ到着した。

 眼前に広がっている景色はオーロラが無くても十二分に美しかった・・・(2枚ともロールオーバーイメージなので計4枚です)

 北極圏の風景に立つSveinさん

 足元を見ると、葉が氷に閉じ込められていた

 夜にしか見えないもの、夜には見えないもの。ちなみに、すぐ上の写真の中央からちょっと右のところにある尖った山は、この辺りで「悪魔の牙」と呼ばれているらしい。この風景に「悪魔の牙」、そして足元の氷の中には葉っぱがポツリ。はっきりと見えているが、もちろん触わることは出来ない。出来るのはただ見ることだけ・・・何か人間の「儚さ」を感じた気がした。

 湖の後はトロムソの町で昼飯。ノルウェーの伝統的なクリスマス料理だというものを食べた。羊肉、豚肉、ソーセージなどの肉類を焼いたものとジャガイモ、赤キャベツの酢漬けなどのセット。ボリューム満点でいい味だったよ。

 そして今夜ももちろんオーロラは現れた。明日は朝5時半起きなので、今夜はベランダからだけだったが、今夜が最後。ここ北ノルウェーには、手で「winds' lights」を扇いでやると光が強くなるという面白い話がある。「強くなれ!」と念じながら扇いでいると少し強くなった気がした・・・

 今夜のオーロラはこれ。今回も2枚とも「ロールオーバーイメージ」です。

 風のように流れる「winds' light」

 もちろん頭上にも現れる

 オーロラを見ながら、今夜もトロムソのビール「マック・ウェル」で「ヒーヴィー ハー ヴゥァー!(北ノルウェー語の『乾杯!』)」。明日の朝は早いのに深夜までSveinさんと語り合った。今日で最後だというのに眠るなんて勿体無い。遥々トロムソまで来たこと、Sveinさんと再会出来たこと、素晴らしいオーロラを見ることが出来たこと、そして毎夜のようにビール片手にSveinさんと語り合ったこと・・・オレにとっては「一生の思い出」。そしていつかまた、再会できることを切に望んでいる・・・いい人に出逢えて本当に良かった。

 「日本からオーロラをわざわざ見に行ったけど、結局見えなかった・・・というのはよく聞く話。オーロラは自然のものなので、そういうこともあるだろう。でも今回のオレには確実にオーロラが見えて、写真も撮れるという確信があった。

 あれはノールカップへ向う途中で嵐に遭った時のこと。オレは漁師のIngeさんに拾われた。そして、漁について行ったり、魚釣りに連れて行ってもらったり、トナカイを見たり。ある日Sveinさんと真っ白なトナカイを見た後、彼はカブを預かってもらったシェルのガソリンスタンドへ連れて行ってくれた。そしてオレに話してくれた「実を言うとな、あの後あの現場でキャンピングカーが2台、TAKUと同んなじように風に流されて、横の斜面に落ちたんや。見てみい、それがコレや」・・・スタンドの駐車場には、もともとキャンピングカーだったとは到底思えないスクラップが転がっていた。画像を載せたいのはやまやまなのだが、PC盗難の時に一緒にその画像も無くなってしまった。「TAKUはほんまにラッキーガイやで。」そして夜、オーロラの話をした時もSveinさんはこう言った「まぁ、オーロラが見えるかどうかは全くの運次第やけど、心配することあらへん。なんせTAKUは『ラッキーガイ』やからな(笑)」・・・

 しかし、本当に幸運だった。Sveinさんと知り合えたことはもちろん、8泊してそのうち4日オーロラに出逢えている。また、天気が良かっただけで無く、気温もかなり高かったのでそれほど寒くなかった。普段なら氷点下を上回ることは稀らしいが、オレの居た間は氷点下を下回ることがほとんどなかった。さらに風が無かったこともかなり大きい。オレの持っているドイツで購入した「ヘボ三脚」では「風が吹くと一巻の終わり」。風が無かったのでそれを使うことが出来て、無事にホームページに載せることもできた。まさにオレは「ラッキーガイ」だとしか思えないよ(笑)


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