カブでヨーロッパ一周編
そこはスペイン [スペイン] (2001/04/17-04/20) ・04/17 いつのまにかスペインへ
・04/18 ビルバオの名所
・04/19 雨で足止め
・04/20 Cantabria山脈越え通貨単位:Ptas(ペセタ)/100Ptas=約 66.6円
04/17 晴れ いつのまにかスペインへ Bilbao/Hostal ARANA/178.2km今日はいい天気。スペインを目指すには絶好かもしれない。YHは国道から程近いところにあるので、いつもとは違い迷わず町から出られた。
しばらく走行すると、国境と思われるところまでやってきた。が、ただの大きいロータリーで、その手前に警官が2人立っているだけ。車もそこをゆっくりと素通りするだけ。あれっと思ううちにスペインに入ってしまった。もちろんパスポートのチェックなんて無し。しかし、フランスを出国する時にカルネにスタンプをもらうように言われていたので、またフランスに逆戻り。
国境に立っている警官にスタンプをくれと言ったら「ヨーロッパ内はノープロブレムだ!」という、スペイン人の警官(もちろんほとんど英語はダメ)に事情を気合で説明すると「National Policeへ行ってみたらいいかも」と言って場所を教えてくれた。2キロ程離れた警察へ行ってフランス人警官に聞くと(英語はまったくダメ)何か言ってくれたが全く意味不明。だから違う道の国境(道路ごとに国境がある)の警官に聞いたら「少し戻ったところでもらえると思うよ」と言って、場所を教えてくれた。そこはオートルートの国境で、側道から入れるらしい。今度はそこのインフォメーションで聞いてみたら最初に通った国境の側の建物へ行けという・・・全くどうなっているんだ。
仕方がないのでそこへ行ってみると、そこはスペイン領内。つまりスタンプをもらえたとしてもスペインのものでそれでは全く意味がないのだ・・・というわけでスタンプは諦めてBilbaoを目指すことにした。このたらい回しのおかげで何時間無駄にしたと思ってるんだ!全く。まぁ、もらえなかったものは仕方が無い。フランスに再入国するまで多分チェックはないだろうから、次にフランスを出国する時に考えればいいか。
国境を越えるとそこは別世界。マドモアゼルがセニョリータになったぞ!まぁ、それはさておき、まず両替(トラベラーズチェックは使えなかった)手持ちのフランスフランをペセタへ。こういう国境での両替も今年で最後らしい。来年からは統一通貨「ユーロ」になるので旅人にとって面倒ではなくなるが、何か寂しい気持ちがするなぁ。
スペイン領内を 走り出すと、今までとは景色が全く違って田園風景はどこへやら。山がちの道の後、海岸線へ出た。そこは大西洋。大きく広がる海は絶景。丘陵地と海岸線を交互に抜ける景色は最高だった。スペインはフランスより案内標識が不足気味のような気がする。分岐点に看板があったのでは遅すぎるぞ。おかげで、進路変更できず、またオートルート走行。こう何回も同じ事をやっていると自分でも呆れてしまうよ。でも、道路の番号(N10など。日本でいう国道何号ってやつ)が案内標識に書いてあるのは助かる。フランスでは番号表示はオートルートだけだったからスペインでは少し安心できるだろう。
それからは順調に走り、無事Bilbaoに到着。町の中が分かりにくく、一方通行だらけで迷ったが、インフォメーションを見つけたので一安心・・・が閉まっている!日曜でもないし、まだ夕方なのにどうして?これではどこにホテルがあるのかわからないぞ。でも、そこからちょっと走った所にホテルを発見し、値段も手ごろで、部屋もきれかったのでチェックイン。フロントのに居た人は英語も話せた。しかし、スペイン語の巻き舌英語なのでなかなか聞き取れない。スペイン人にしても、イタリア人にしても彼らの英語はよく分からない。でもそれは日本人とて同じことなんだけどね。
まだ明るいのでBilbaoの町をぶらぶら。小さいガスボンベ(キャンプのコンロ用。EPI-gasのものがあった。オレのコンロはイワタニプリムスのものだが、実はこの2社の口金は共通)とスペイン・ポルトガルの道路地図(1/1,000,000のヨーロッパ全域の地図ではオートルート以外の道がよく分からなかったので苦労した)さらに、スーパーマーケットでインスタント食品などを購入。まぁ、今日は色々あって本当に疲れた・・・厄日かな?
04/18 晴れ/曇り ビルバオの名所 Bilbao/Hostal ARANA/0km
今日はBilbaoの観光。山に囲まれた盆地状の町で、そんなに大きくはなく、さらにメトロまであるので歩いてほとんど回れる。こういう町の中では、カブより歩く方が断然いい。一方通行も関係ないし。
Basque自治州はETA(バスク祖国と自由)によるテロ行為で紙面に載ることがあるので知っている人も多いだろう。Bilbaoはその中心都市(首都はVitoria)。しかし、この賑やかな町を見ているとそんなことは微塵も感じない。
まず明日のために、N634への出る道を視察。看板も何箇所かにあり、そんなに苦労せずに出られそうで一安心。その後、カフェで昼食をとりぶらぶら。クロワッサンにチーズと生ハムを挟んだものがとてもウマイ。さらに公園を散歩。妙な形の建造物を発見したので行ってみると、どうやら博物館のようだ。600Ptsを払い中へ。内容は現代美術というやつで、これが芸術なのか?と疑いたくなるような物のオンパレード。様々な色の蛍光灯を灯した部屋や、ただの暗闇、石を並べているオブジェ・・・残念ながらオレにはよくわからなかったぞ。他にアルマーニのデザインした服がたくさん展示してあった。結局、テキトーに見て出てきたが、非常に疲れた。
また、キリスト教圏の町には必ずと言っていいと思うけど「カテドラル」がある。その鐘の音はなかなかいい。泊まっているホテルの近くにカテドラルがあり、心地いい鐘の音が響く。そんな中で明日の計画を練るのだ。
04/19 雨|曇り 雨で足止め Bilbao/Hostal ARANA/0km
朝から雨。どしゃ降りというわけでもないが、小雨程度でもない。しばらく様子を見たがすぐには止む気配はないので、ここでもう一泊することに。フロントにはとても人のいいおばさんがいて、その旨を伝えると(英語は全くダメ。会話集がまた役に立ったぞ)、笑顔でオッケーだって。しかしいい天気が続かないなぁ。
雨の降る中、市内観光へ。この町に来た時から気にはなっていたが「ETA」とスプレーで書いてある落書きが非常に多い。壁や道路だけでなく、のどかな雰囲気の公園のベンチにさえその落書きが見られる。やはりここはそういう地域なのだろう・・・民族の問題によそ者が口を挟むとロクなことはないので、オレは何も言わないけど。
また、このバスク地方ではスペイン語だけでなくバスク語を話す人々もいる。スペイン側で約25%、フランス側で約10%。バスク語は膠着語(日本語やトルコ語に代表される、語幹にいくつもの接辞を貼り付けた単語の構造をとる言葉)に分類され、動詞の活用は非常に複雑で1つの他動詞が24もの語形をもつ。しかしその起源はよくわかっていない謎の言語らしい。そのバスク語を是非聞いてみたいが、ビルバオではみんなスペイン語を話している。だが、看板のいくつかにはバスク語を併記しているものもあった。
明日の天気を祈りつつ、そんなビルバオの街でまた一夜を明かすのであった。
04/20 雨/雹|晴れ Cantabria山脈越え Becilla de Valderaduey/HOSTEL RIA DE VIGO/347.5km
朝起きて外をみると、雨が降った跡はあるがなかなかいい天気。出発の準備が整いかけた時、外からバラバラという音がする。まさかと思い見ると、なんと雹・・・空を見る限り天気は回復しそうだったのでしばらく待ってみる。次第に雨に変わり小雨になり止んだ。この期を逃してはと思い出発。今後の計画もあるので、ここであまりもたもたしてはいられない。こんな天気の調子だといつまで雨が続くかわからないしね。結局ビルバオの街から国道に出たのが昼の11時半。
途中、海岸線の道路で大雨。ものすごくいい景色なのに残念。さらにそこから2000m級の山々が連なるCantabria山脈を越える。その途中、雹にやられた。風防に隠れて走ってはいるが、時々顎にあたってめちゃくちゃ痛い。雹は途中で止み、今度は晴れ。パワーの無いカブで苦戦しながらも山道を登っていく。目の前の山はスキー場さながらに雪が積もっていた。どおりで寒いわけだ。GPSの高度表示が千数百mだったので、相当な高地。その後も雨が降ったり止んだりで、視界が悪く極端に疲れる。オマケに風も強い。ある程度山を下りたところで、脇道に出て越えてきた山々を眺めたら最高の景色だった。後ろの山の頂上付近に雪が積もっているのがわかるだろうか?
山を下りると今度は高速区間。フランスと同じような道だが、パーキングが極端に少ない。フランスでは数キロおきにあったのに、スペインでは数十キロおき。路肩もそれ程広くないので、今後は休めるところで休んだ方がいいようだ。夕方7時頃(ちなみに日没は9時頃)、Valldadolido郊外の国道沿いにあるHostel兼レストランに流れ込んだ。Hostelは値段の割にすごくきれいだったが、レストランは失敗。
今日のルートは約半分が高速区間だったにせよ、よく走ったので疲れた。早めにポルトガルへ抜けてポルトガルと暖かいスペイン南部でのんびりするとしよう。