カブでヨーロッパ一周編

 ミネラルショーとその後 [ルクセンブルク・ドイツ・ベルギー・フランス] (2001/10/25-11/1)

・10/25 ドイツの正しい走り方
・10/26 ミネラルショー開幕!
・10/27 Peterを惹きつけた標本
・10/28 謎は深まるドイツの標識
・10/29 Trier観光
・10/30 出発準備
・10/31 ハロウィンの夜はウォッカで
・11/01 フランスの穴場

通貨単位:DM(ドイツマルク)/1DM=約57.2円 LF&BF(ルクセンブルクフラン&ベルギーフラン)/10LF&BF=約29円  FF(フランスフラン)/1FF=約17円


10/25 曇り/雨 ドイツの正しい走り方 Munchen/Four Points Hotel Munchen Central Arabella Sheraton(5つ星ホテル!!)/0km

 ミュンヘンまでは約600km。Peterは「近いもんさ」と言うが、かなりの距離。朝8時半にはルクセンブルクを発ち、ドイツの代名詞「アウトバーン」をかっ飛ばす。

 Peterの愛車は新型VOLVOのステーションワゴン(2.4T V70)。低速トルクはモリモリでパワーも申し分無い。アウトバーンをガンガン走ってもノープロブレム。ドイツに入ればアウトバーンはご存知の通り速度無制限。といっても多くの区間で速度規制がされているので、全てが無制限というわけではない。Peterがおもむろに「今、何キロくらい出てると思う?」と言ったが、その時の速度が約180km/h。なだらかな登りの直線では210km/h・・・Peterは決してスピード狂では無いが、アウトバーンにおける彼のVOLVOなら当たり前の速度なのだ。普通に走っている時で160km/h。日本の道路では考えられないが、ドイツではこれが正しい走り方。カブで走っていては絶対に分からないが、これが本当のドイツの道路網なんだろう。

 途中マクドナルドで昼飯を食ったのだが、結果的にこれが幸いした。ミュンヘンの手前80km位で突然の渋滞。「普通こんなところで渋滞なんてありえないから、多分事故だろうね」とPeterは言ったがその通りで、すぐ後に救急ヘリが飛んでいき、パトカーと救急車、事故処理のトレーラーがサイレンを鳴らし追い越していった。しばらく後、グシャグシャにつぶれたBMWが対向車線を走るトレーラーに乗せられていたので、多分それが事故車だろう。オレ達が停車したところから事故現場までわずか2km。少しタイミングが悪かったら・・・と思うとぞっとした。ここでのロスが約45分。事故現場では他に中破した2台を見たが、かなりの事故だったようだ。やはり速度無制限ってのはそれだけ危険も伴う。

 結局午後3時にミュンヘンに到着。チェックインしたホテルは驚くこと無かれ!オレが一番驚いたんだけど、なんとあの超高級ホテルでおなじみの「シェラトン」グループの5つ星ホテル。普通ならツインで一泊600DM(約35,000円)という一ヶ月の食費にもなりそうな額なのだが、Peterはヨーロッパコミュニティーで働いているので特別優待価格で利用できる。割引後でも260DM(約15,000円。1人分で7,500円)もするんだけど、こういう機会じゃ無かったら利用することも無いだろうからいい思い出かもしれない(笑) しかも部屋はめちゃめちゃ広い!ベッドの上にチョコレートが置いてあったりと至れり尽せり。あまり書くと貧乏人と思われるのでこの辺にしておこう(笑)

10/26 曇り/雨|晴れ ミネラルショー開幕! Munchen/Four Points Hotel Munchen Central Arabella Sheraton(5つ星ホテル!!)/0km

 超高級ホテルは朝食もリッチ。そのリッチな朝食の後は早速メッセ(見本市会場)へ。

 ミネラルショーは今日から始まるのだが、今日は招待客のみで、明日からは一般客にも公開される。Peterはもちろん特別パスを持っているので無料だが、オレは招待客なのでチケットを買わないといけない。そのチケット代ってのがまた高い。1日券が44DM(約2,500円)で、3日券が62DM(約3,500円)。もちろんオレは3日券を購入。さらにパンフレットも有料で一部38DM(約2,200円)もしてくれる。会場に入る前にこの出費は痛い。

 前述の通り今日は招待客のみ。言い換えれば、明日からは一般客が入ることになるので、今日中にいい標本をゲットしておかないといけない。とはいえ会場が広すぎる・・・さらにどの店も机の上に所狭しと標本を並べているので、ざっと見て回るだけでも一苦労。目星をつけても、その店に再びたどり着くのにも一苦労。とにかく歩いて歩いて歩きまくらないと、いいものには出会えないのだ。

 Peterは30年以上もコレクターをやっているので知り合いも多い。一緒に見て回ったのだが、至る所で知り合いに出くわす。コレクターやディーラー、博物館や鉱物関係の出版社の人等々。他にマダガスカル巡検の参加者にも再び会いマダガスカルを懐かしんでしまった。

 人に会う度にPeterの言葉が変わる。英語、ドイツ語、フランス語、スウェーデン語・・・なんとPeterは7ヶ国語を話すことができるらしい。また喋れないが聞き取りは出来るの言葉を合わせると16ヶ国語(17だったかも)にものぼる。

 結局、朝9時から夕方6時過ぎまで会場を歩き倒した。オレは興味深いものやお買い得の標本を数点購入。Peterは望んでいるような「ファンタスティック」な標本を見つけられなかったらしい。日没後のメッセ会場を後にオレ達は例のホテルへ戻ることにした。

 ホテルへ戻ったあとは近くにあるドイツ料理のレストランで夕食。民族衣装を着て踊っているお姉さんの姿を拝みながらビール。料理の味も悪くなく、なかなか楽しい時間を過ごすことができた。

 明日も朝からメッセへ行く予定なので早めに就寝。超高級ホテルのベッドの寝心地は最高だぞ!

10/27 晴れ/曇り Peterを惹きつけた標本 Munchen/Four Points Hotel Munchen Central Arabella Sheraton(5つ星ホテル!!)/0km

 いい天気の中メッセへ向う。9時前にエントランスに着いたが、すでに人だかりが出来ている。閉館の午後6時まで一日中歩き回ったわけだが、今日はこのショーについてちょっとだけ紹介しておこう。

 このショーは「MINERALIENTAGE 2001」という名称で、「鉱物の日 2001」という意味。売り物は「鉱物」だけではなく「化石」や「隕石」、「宝石」と石に関するものなら何でも可といった感じ。

 左は「アクアマリンの結晶」。宝石にもなり得るクオリティーなので、お値段もかなりのもの。

 一方右は「鉄隕石のスライス」。鉄隕石の中には、断面に右写真のような幾何学的な模様を持つものがある。他には「火星隕石」や、どうやって入手出来たのかは知らないがアポロが持って帰って来たという「月の石」などもあった。

 化石に関してもマンモスの牙や恐竜の骨、アンモナイトなど多岐にわたる。カット宝石を専門に扱う店もあり、宝石目当てで来ている人も多いようだ。

 今日はPeterと別行動を取っていたが、Peterはいい標本を見つけたらしい。ノルウェーの銀の標本で「ファンタスティック」らしい。しかしそのお値段が問題。日本円で何と600万円!Peterは今までに車を売って鉱物を買ったことが2回あるそうだ。「独身だったら間違いなく買うんだけどなぁ」と言いながら、買うか買うまいかかなりお悩みの様子。ホテルに戻ってからもずっと悩んでいた。しかし、600万だよ、600万・・・

 夕食はPeterの知り合いと一緒にすることになった。旧市街にある有名なビール工場併設のレストランで、オレをあわせて20人近くも集まった。各国コレクターや研究者、博物館関係、学術雑誌関係の人達。もちろん日本人はオレだけだが、みんなオレにも会話を振ってくれるので楽しい時間を過ごすことが出来た。もちろんビールを飲んだが、ホテルに帰ってきたのは深夜。ちょっと疲れてしまったよ。

10/28 曇り/雨 謎は深まるドイツの看板 Luxembourg/Lyckberg邸/0km

 今日から時間が冬時間に変わった。昨夜は疲れきってしまったが、1時間時計を遅らせるのでそれだけ長く寝ることができた。なんだか得をした気分(^_^

 もちろん今日も朝からメッセへ。面白い道路標識を見つけたので紹介しておこう。アウトバーンにある標識なんだけど「MINERALIENTAGE 2001」まで案内してくれている。世界広しと言えど、鉱物ショーの標識が出るのはミュンヘンくらいじゃないかな(笑)

 今日でミネラルショーは閉幕。Peterは出来るだけ早く帰りたいとのことだったが、一緒にルクセンブルクへ来る予定になっているロシア人鉱物学者のイグルーとアンナ夫妻を待つことになった。彼らも早く出発するつもりだったのだが、なかなかそうもいかないらしい。でも午後3時過ぎには仕事も片付き、ルクセンブルクへの岐路についた。

 そうそう、昨日の600万の標本に関してPeterは購入を諦めたらしい。「車を売って借金するのは家族は不幸せだし、もし僕が明日事故で死んでしまったら、鉱物の為の借金が家族に残る。それはあまりに馬鹿げてるからね」・・・やっぱりPeterは家族思いのいいお父さんだ。

 そんなPeterとイグルー・アンナ(右写真:後日撮影)と共にアウトバーンをまたまた疾走。そういえば以前に不可解な看板があるという話を書いたが、以前スイスでお世話になったドクター田中氏をはじめ、数名の方がメールでその謎を解いてくれた。結論を言えば「水資源保護区域」という意味らしい。噛み砕けば「ここの地下水は飲料に耐えうるものなので、汚水なんかを流しちゃだめだよ」ということらしい。スイスとは異なり、ドイツにおいて飲める地下水を守ることは非常に重要な事なのだろう。

 ここで終わればめでたしめでたしなのだが、世の中そう甘くは無い。アウトバーンでさらに不可解な看板に遭遇してしまった・・・残念ながら撮影は出来なかったのだが、白い看板に「座薬」そっくりな絵が書かれている。字は書かれていなので、全く意味がわからん。しかも「座薬区間解除(斜めに線が引かれいてるもの)」の標識まであった。写真を撮れなかったのが心残りだが、どう見ても「座薬」だったぞ。

 ますます深まるドイツの看板。そんなオレの悩みをよそに、VOLVOは夕方8時過ぎにはルクセンブルクまで帰って来た。イグルーとアンナにとってドイツとルクセンブルクの国境は驚きだったようだ。アウトバーンにある国境で「80km/hの速度制限」の標識があるだけで素通り。EU内では当たり前なんだけど、ロシアからは想像もつかないことなんだろうな。

10/29 曇り Trier観光 Luxembourg/Lyckberg邸/0km

 今日はPeterに連れられイグルー・アンナと共に「Trier」という街を観光することになった。Trierはドイツとルクセンブルクの国境近くにある町で、ドイツに属している。ローマ建築が残っている古い町で、ワインでも有名な所だ。

 ローマ建築跡や教会などを見学した後、美味いワインを頂く。右写真はワインを作っている工場のレストラン前にあった車。面白い形がとても気に入ったのでPeterに写してもらった。

 ヨーロッパには車検制度が無いので多くの古い車が現役で走っている。日本では見かけないものも多いので見ていて楽しい。

 Trierの後はルクセンブルクへ戻り、またまた鉱物。今日はPeterのコレクションを堪能。何度見てもため息が出るほど素晴らしい。時間を忘れて見入ってしまった。

10/30 晴れ 出発の準備 Luxembourg/Lyckberg邸/0km

 今日もPeterに連れられイグルー・アンナとともにお出かけ。ルクセンブルクの自然史博物館へ行き無料で見学。7月に来た時と同様に保存標本も見せてもらった。新しく入った標本も何点か有りなかなか興味深かった。博物館で昼飯の後は個人行動。オレはそのまま郵便局へ歩き、ミュンヘンで購入した各種標本とお土産類を日本へ発送。

 荷物の後は散髪。小奇麗な散髪屋なのにシャンプーとカットで550LF(約1,600円)。散髪代に関してはヨーロッパの方が圧倒的に日本より安い。というより日本がクレイジー高いだけか。

 寒くなってきたのでセーターも購入。ルクセンブルクは税金が安いので物価は安い。これからベルギー・イギリスと移動するので、今のうちに買っておくのがベストだろう。ロンドンは強烈に物価が高いらしいし・・・

 夕方家に戻ってくると、Peterがミュンヘン往復で汚れたVOLVOを洗車するというのでお手伝い。そういえば夏に来た時にも洗車の手伝いをしたっけな。ぴかぴかに洗った後はお待ちかねの夕食。チキンをホワイトソースっぽいもので煮込んだ最高に美味い一品で、ブルゴーニュワインと共に頂いた。余談だがオレはボルドーよりブルゴーニュの方が好きだったりする(笑)

 食後はさらにワイン。今度のワインは半端じゃ無い。昨日Trierへ行った時にPeterが買ったドイツの貴腐ワインで「アイス・ワイン」という格を与えられているもの。これはブドウの収獲を故意に遅らせ、貴腐と呼ばれるカビが生えた状態になるまで待ってから収獲し醸造したもの。糖分濃度が高い甘口の白ワイン。わずかしか生産できない為、値段もそれだけ高くなる。ワインの出来によって上から「トロッケンベーレンアウスレーゼ」「アイスワイン」「アウスレーゼ」・・・という格付けがなされる(だったと思うが、かなり昔の記憶なので不安)。今日のものは375mlのハーフボトルで値段は・・・万単位とだけ言っておこう。で、肝心のお味の方は・・・まさに最高のワイン!!「まったりとして以下略」のお味(笑)

 美味いワインの後はビデオ鑑賞。Peterがロシアのウラルへ巡検で出かけた時のビデオを見せてもらった。そんなこんなで深夜に及び、明日出発する予定だったのだが、もう一泊させてもらうことにした。

10/31 曇り/雨|晴れ ハロウィンの夜はウォッカで Luxembourg/Lyckberg邸/0km

 今日は朝からたまりにたまった日記を書くことにした。ミュンヘンでは一日中忙しく、ほとんど時間が取れなかった。基本的に毎日書くことにしているが、なかなかそうもいかないもので、日没過ぎまで走った後やユースのドミに泊まる時にはPCを出す気力が湧いてこない。

 今は秋休みということで、LinneaちゃんとDavidくんの学校はお休み。Peterと奥さんは仕事に出かけたし、イグルーとアンナも町に出て行ったので3人でお留守番。子供達は夏から着々と作りつづけている巨大な自由工作の続きをしたり、ソファーでゴロゴロしたり、昼飯としてオレが作った「辛ラーメン(韓国のラーメンでちょっと辛い)」をつついてみたり・・・とお互い楽しく過ごした。もちろん数日分の日記も書いたが、結構疲れてしまった。

 夕食の後はまたしても鉱物。何度見ても素晴らしいとしか言いようの無い標本を心ゆくまで堪能した。

 Peterご自慢の標本を持ち記念撮影。実はオレが持っている「トルマリン」という宝石になる鉱物は数百万円相当の品だったりする。イグルーとアンナと共にまたまた時間を忘れて観賞させてもらった。

 そろそろ寝ようかということになったが、その前にウォッカ。日本では焼酎にフルーツを漬け込んだりするが、北欧やロシアではウォッカに漬け込むらしい。ある種の花を漬け込んだというホームメイドのウォッカで乾杯。明日はここを発つつもりだから、ルクセンブルク最後の夜はウォッカになってしまった。ちなみに今晩がハロウィンになるらしい。日本じゃあまりなじみがないけど、こっちではクリスマス級のものなんだって。

11/01 晴れ フランスの穴場 Givet/HOTEL LE ROOSEVELT/135.9km

 朝から出発し今日中にイギリス入りしようと思っていたが、なかなかそう思い通りにいかないのがオレの旅。8時に起きたものの、トラブルを抱えている(頻繁にフリーズする)Peterのパソコンドクターをやることになった。と言っても、本体と後から付けたCD-RWドライブとの相性によるトラブルなので手の施しようが無い。「必要なデータ類をCDに焼こうにも、忙しいから説明書を読む暇がないし、よく分からないんだ・・・」とPeterは言うので、CD-Rに焼きこむ原理、ソフトについて、使い方などを説明し必要なデータをCDにバックアップしてあげた。ただそれだけなんだけど、えらく感謝されてしまった。ちょっとはお世話になったお礼ができたかな(^_^;;

 家族みんなが別れを惜しんでくれて、涙をこらえてながら出発。いつもこの瞬間が辛いんだよなぁ・・・で、結局出発したのは昼の2時。これではイギリス入りはおろかほとんど距離も稼げない。11月に入って日没も早くって来たし。今日は一日晴れていたけど、日中の気温は10度。結構寒くなってきた。

 日没後まで走り続ける予定だったが、日没直前にかなりいい雰囲気の町にたどり着いたので、ここで泊まることにした。ルクセンブルクからベルギーに入り、ベルギーの港からドーバーへ渡るルートを取っているのだが、途中10km弱だけフランス領に入る。ここはそのフランス領の町「Givet」。写真は日没後の姿で川沿いにたたずむ姿が美しく、小さい町だが穴場といった感じ。

 道路沿いの電話つきホテルに宿を取り、ミュンヘンから帰ってきてからすっかり忘れていた、切れたヘッドライトの交換。さらに点火プラグ交換とチェーンの張り調整。明るいうちにメンテナンスが出来て助かった。メンテナンスの後は日記を書き、メールチェックとたまっていたホームページのデータをアップロード。

 明日は朝から出発し、日没前にはロンドンに入る予定。今夜は早く寝よう。


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