カブでヨーロッパ一周編

 ドイツ南部を流離う [ドイツ・ルクセンブルク] (2001/10/19-10/24)

・10/19 世界最古の地球儀
・10/20 ドイツの道路標識
・10/21 宝石の町「イーダー・オーバーシュタイン」
・10/22 冷や汗
・10/23 Lyckbergファミリーとの再会
・10/24 素晴らしいお父さん

通貨単位:DM(ドイツマルク)/1DM=約57.2円 LF&BF(ルクセンブルクフラン&ベルギーフラン)/10LF&BF=約29円


10/19 曇り 世界最古の地球儀 Nurnberg/Jugendherberge Nurnberg(ユース)/188.6km

 深い霧の中チェコからドイツへ。視界は約100m。森の中の道を走っていたかと思えば突然町が現れた。何が出てくるかわからないので霧の中の走行は普段以上に疲れる。

 チェコの出国をあっさり通過し、免税店でチョコレートを購入。ヨーロッパではどこでも売っている有名なイタリア製のチョコで、中にナッツが入っていてとてもおいしい。でも値段がどこの国でもバカ高いので、ここで大量にゲット。

 ドイツ入国もオーストリア同様で簡単に済むと思っていたのが誤算だった。きっちりしているドイツだからか、パスポートだけでなくカブの登録証、保険の提示を求められた。すぐにOKかと思いきや警官が色々と調べる(コンピューターに登録している?)のに、えらい時間を食った。

 今日の目的地はドイツの「ニュルンベルク」。そこへ行く目的は、国立博物館にあるという現存する「世界最古の地球儀」を見るためだ。それだけしか目的はないので1泊だけの予定だったが、国境で意外に時間をとられて今日中に見られるか怪しくなってきた・・・

 ニュルンベルクに着いたのが午後4時前。古城を改築したというユース(でも中身は至って普通)にチェックインし、駆け足で博物館へ向う。「夕方5時閉館」とガイドブックに載っていたが、何時まで入場出来るかは不明。入り口には4時半を少し回って到着した。

 おもむろに「学生です」とチケットを買おうとしたら、売り場のおばさんは「もう時間が遅過ぎるわよ」と言い、「ほとんど時間が無いからチケット無しで見てもいいわよ」と言ってにっこり微笑みタダで入れてくれた。頭のかたい人でなくて良かった(^_^

 そしてようやく、1492年にマルティン・ベハイムによって作られた地球儀と御対面!右写真がそれで、写真撮影は出来なかったのでポストカードを接写したものを載せた。当時の世界観で描かれているのでアメリカ大陸はまだ無く、ジパング島はアジアとヨーロッパの間に描かれている。ヨーロッパ・アフリカに関してはかなり正確で、マダガスカル島までちゃんと描かれていた。

 見れば見る程、興味が湧いてくる。色々な角度から隅々まで見てやったぞ。

 少し時間が余っていたので他の展示も見て回ったが、多くのジャンルがあり、とても全部は見られなかった。まじめに見たらまるまる1日はかかるだろうな。タダというのはちょっと心が痛んだので、お土産コーナーで絵葉書を購入。それがこの右写真というわけ。実物はもっと黒ずんでいるんだけど、雰囲気はこんな感じ。

 地球儀の後は同じ部屋の日本人秋元君と、ニュルンベルクで有名だというソーセージ屋でソーセージとビールの夕食。ユースに戻って、同じ部屋のイギリス人とノルウェー人とともに4人でさらにビール。ドイツはビールで有名だが、オレはチェコの方がウマいと思う。

 とりあえず目的の地球儀は見たことだから明日にはここを発ち、次なる目的地「イーダー・オーバーシュタイン」へ向うことにしよう。

10/20 曇り|晴れ ドイツの道路標識 Idar-Oberstein/Edelstem Hotel/355.3km

 ドイツのユースの朝は特に早い。9時15分チェックアウトというのは辛いが、距離を稼ごうと思っている日はちょうどいいかもしれない。

 「これからどこへ行くの?」と問われた時、「イーダー・オーバーシュタイン」と答えると、ドイツ人以外は「それってどこ?Why?」と聞き返す。旅行者にとってはマイナーな町だが、以前からここへ行ってみたかったのだ・・・

 ところで、ヨーロッパで見かける道路標識は「優先権の有り無し」の看板以外は、日本と同じものも多い。「進入禁止」や「鹿飛び出し注意」は同じだし、ほとんどの標識は感覚的に理解できる。でもドイツにはちょっと変わった看板があるので紹介しておこう。

 左の看板は恐らく「速度」に関するものだと思うが、「戦車」があるところがドイツらしくておかしい。ドイツ以外では全く見かけないが、ドイツではどこにでもある。有事の際の軍用車両用のものじゃないのかな。でも市街地の細い道で「100」と書いてあるものがあったり、「24」という中途半端な数字だったりする。もしかして重さなのか?

 左はまだいいが、問題は右の看板。これが「謎」の看板で、オレはまだ理解できていない。これも至る所で見かけるが、この絵自体が意味不明。「Wasser」って書いているから「水」に関することだと思うけど、次の「Schutzgebiet」がわからない。この看板の先800mに何かがあった訳でもない。そんなだから、これが出てくるたびに悩んでしまうのだ・・・誰か知ってる?

 こんな看板まであるくらいなので、行き先を表示する看板は完璧に整備されている。今日走った道は、地図上では非常にややこしいルートだったが、驚異的にも全く迷わず安心して走行出来た。ドイツを走っていると「GPS」は正直必要ない。

 朝9時15分チェックアウトのおかげで目的地「イーダー・オーバーシュタイン」には夕方5時過ぎに到着した。この町については明日書くことにしよう。

10/21 曇り/雨 宝石の町「イーダー・オーバーシュタイン」 Idar-Oberstein/Edelstem Hotel/0km

 タイトルの通りここは宝石業で有名な町。以前は「イーダー」と「オーバーシュタイン」は別々の町だったらしいが、合併しこんな長い名前になってしまったらしい。宝石店が軒を並べる通りがあったりする。しかしオレは鉱物は好きだが、カットされた宝石にはあまり興味はない。しかも今日は日曜日なので店は全て閉まっている。「日曜日は博物館」というのは基本中の基本なので、まずはこの町の目玉である「ドイツ宝石博物館」へ。

 この町は「メノウ」で世界に名を馳せたところなのだ。かなり昔はメノウやアメシストを採掘していたらしいが、それ以上にこの町の名を有名にさせたのが「メノウの着色」。天然に産出するメノウは様々な色をしており、中でも黒と白のまっすぐな縞を持つものは「オニキス」と呼ばれ、赤と白の縞のものは「サードオニキス」といって8月の誕生石にもなっている。そのメノウを人工的に着色するある手法を、ここ「イーダー・オーバーシュタイン」が世界で最初に開発し独占していた。ちなみに現在では日本の企業も様々な色に着色する技術を持っている。

 そのせいメノウやアメシストの展示がしっかりしている。その他の宝石に関してもいい展示で、各種ダイヤモンドの前では多くの人が見入っていた。他にも人工宝石のカット石もあって、なかなか興味深い。サファイアやルビー、エメラルドなどは人工のものが市場に多く出回っており、天然物に比べると値段は爆安。しかし人工のダイヤモンド(イミテーションじゃないよ)は今のところ製造コストがかかるため、まだ天然物よりも高い。でも近い将来には製造コストが下がってくると思われるので、ダイヤモンドも安く買えるようになるだろう。さらに「人工宝石」は「天然宝石」よりも断然美しい。とはいえ「人工」と聞くと一気にありがたみが無くなるんだよなぁ・・・

 博物館の後、宝石店のショーケースを覗いたが、やはりメノウとアメジストが中心。ブラジル産のものがほとんどで、これも時代の流れということなのだろう。日本でも山梨県は水晶で有名だが、現在土産屋で売っているものはほぼ全てブラジル産なんだよ。

 昼飯の後は徒歩で昔の鉱山を見学できるという場所へ。かなり歩いて疲れたが、完全に観光地化されており大したことはなかった。また、ここは外国人には超マイナーな町なので、見学ツアーの説明もドイツ語のみ。まぁ全部知ってる内容だろうからいいんだけど。そんなだから30分のコースがかなり長く感じられた。

 そこから落ち葉でいっぱいの山道を下り、今度は水車の動力を利用して宝石を研磨していたという研磨工場へ。この景色を見ていると、もう秋だなぁと感じてしまった。

 研磨工場も鉱山同様に見学ツアーになっていたが、オレが行ったのが最終が始まった後。でも係りの人が気を利かせてくれて、そのツアーが終わった後、オレ1人で見学させてくれることになった。しかも今度は愛想のいい兄ちゃんの英語の説明付き。ここは昔は水車の動力を使っていたらしいが、今では電気のカッターとグラインダーを使っている。「水車なら1日かかったのが電気ならわずか10分さ」と笑いながら話していた。

 最近の宝石はコンピュータで機械をオペレートし精密にカットされている。しかし、ここは今でも昔ながらの方法で職人が手作業でカットしているのを見ることができる。天然宝石、しかも手作業でのカットだと聞くと温かみがある気がしないかい?

10/22 曇り 冷や汗 Idar-Oberstein/Edelstem Hotel/0km

 今日は終日のんびりと過ごしたわけだけど、晩方パソコン作業をしていて大ピンチに陥った。その前に今日1日について書いておこう。

 昼前に近くの公衆電話に向かい、ページをアップロード・・・が、またもやサーバーが反応しない。とりあえず宿に戻ってきて試行錯誤の結果、ひとつの結論が出た。前に同じ症状が出たのがドイツの「Gorlitz」という町。この時はベルリンアクセスポイントのひとつに接続した。そして今回接続したのもその番号。そう、オレが思うにその「ベルリンアクセスポイント」経由ではftpサーバーに接続する際、認証を通過出来ないような設定になっているとしか考えられない。というわけで夕方、ミュンヘンの番号でチャレンジたら、あっけなく認証をクリアし無事アップロードすることが出来た。国際ローミングもなかなか奥が深い。

 午前中は「オーバーシュタイン」の観光。といってもぶらぶらと街を歩いただけ。ここは山間の町だけにちょっとおもしろい物を見ることが出来る。左写真中央の岩山の斜面に建物が張り付いているのがわかると思うが、それはなんと教会。ちょこんと壁に張り付いている様子がかわいらしい。この教会は数少ない町の名物なのだ(笑)

 宿へ戻り久々の昼寝。ここ最近全然してなかったが、なんと気持ちのいいことか!2時間くらいゴロゴロしてしまったよ(^_^;;

 昼寝の後は「イーダー」の観光。こちらもぶらぶら歩いただけだが、「次なる標的」の為にまたハンマーを買ってしまった。以前スウェーデンでもハンマーを買ったが、今回必要なのは違うタイプのもの(ハンマーも奥が深いぞ)。それ以前に前のハンマーは既に日本に送り返している。ちなみに、その標的とは「化石」。これからイギリスへ向うつもりをしているのだが、ロンドン近郊でとんでもなく化石が採れるところがあるらしい。化石にはそれ程興味は湧かないが、せっかくなので行ってみようと思っている。

 ハンマーの後は鉱物標本を扱っている店を覗き歩いた。「トパーズ」と書いて「トパーズでは無い鉱物」を堂々と売っている店もあり、なかなか手強い(笑)

 宿に戻った後はパソコン作業。ベルリン以降ほとんど時間が取れなかったので、スマートメディアをFDドライブで使用するアダプタの設定をしておくことにした。その時、大ピンチに陥ったのだ・・・

 ソフトをインストールするもののディスクを認識しない。仕方が無いので一度アンインストールし、さらにインストール。でもうまくいかなかったので再起動。

 ここでブルーの画面になりWindowsが起動しなくなってしまった!そういう時用に「Sefeモード」という緊急用の起動オプションが用意されているが、それでも起動しない。オレのマシンはWindows2000なので、他に「前回正常起動時の設定で起動」というオプションもある。それでトライするもダメ。パリへ戻って再インストールか?と冷や汗が出てきたが、諦めずに色々トライしてみた・・・

 そしてとうとう起動に成功した!再起動しても問題なく立ち上がるし、いつも通りの状態に戻った。というわけなので、これからも続けて旅先からアップロードしていきます。ご期待ください!

 いやぁ、しかし良かった良かった。

10/23 曇り|雨 Lyckbergファミリーとの再会 Luxembourg/Lyckberg邸/131.2km

 今日の目的地はルクセンブルク。実を言うと10月26から28日にドイツのミュンヘンで国際的な鉱物・宝石・化石のショーが催される。ミュンヘンショーはツーソンやデンバーと並ぶ世界的なイベントなので是非行きたいと思っていた。以前お世話になったルクセンブルク在住のスウェーデン人Peterも行くらしく、それなら一緒に行こうということになったのだ。

 ルクセンブルクまでの距離は近いので、まず朝から公衆電話でメールチェックとページのアップロード。前回アップに成功したミュンヘンのアクセスポイントに接続。メールチェックは問題なく出来たが、またまたftpサーバーが応答しない・・・いったいどうなってんの??

 いたしかたないので宿へ戻り荷造りした後、雨が降り出す前に汚れてきたオイルを交換。ついでに空気圧もチェックし準備万端。荷物を荷台にくくりつけて、さぁ出発!という時にヘッドライトが切れた・・・もう一度荷物を解いて予備球を出すのは面倒だったので、今日1日はハイビームで走ることにした。

 今にも雨が降りそうな曇天の中。町を抜け山道に入る。出発して30分も経たないうちに雨が降ってきやがった。その後も雨は止むことなく、常に雨の中を走る1日だった。

 ドイツとルクセンブルクの国境は、やはりあっけないくらいに何も無い。12個(だったかな?)の小さな黄色の星による円の中に「LUXEMBOURG」と書かれた青い看板があるだけ。ドイツ領内でガソリンを補給しておこうと思っていたのに、いきなり国境を越えてしまった。

 ATMですぐにお金をゲットすることが出来たので一安心。日本で時々見かかるような道路沿いにガソリンスタンドが並ぶスタンド街にて給油。10軒以上はあったと思う。それだけスタンドが林立しているとやはり競争が激く、異様にサービスが良い。ドイツ国境近くにあるのでドイツマルクでも支払えるというのはまだわかるが、給油の客全員にチョコレートをくれるというのには恐れ入った。しかも小さなチョコではなくて「スニッカーズ」と同じ大きさ(わかるよね?)。しかもスニッカーズより美味いときている。オレは無鉛ハイオクをわずか2.1L(200円弱。ルクセンブルクは税金が安いのでガソリンも安いのだ)しか給油してないので申し訳無い気がしてしまったよ。

 そこから国道でルクセンブルク市へ。迷いもせず市内へ入ったのはいいが、市内で迷ってしまった。一度来ているので迷うはずが無いと思っていたが、風防とヘルメットのシールドに着いた雨滴で視界は最悪。曲がるべき道路を見逃したり、戻ろうと思っても一方通行が多く、前に進むしかない。晴れていたら一発で行ける自信はあったんだけどね。

 びしょ濡れになってLyckberg邸に無事到着。その時は留守だったが、5分と経たないうちにPeterが戻ってきた。Peterはびしょ濡れのオレを「構わないさ。Welcome back, TAKU!」と言って抱きかかえてくれた。まもなく戻ってきた奥さんも子供達も歓迎してくれた。「家に帰ってきた気分だろう?」とPeterが言ってくれたがまさにそんな感じ。付け加えて「もうここはTAKUの家なんだから、ゆっくりしてね」。彼ら一家と出会えたことは、オレにとって何よりの宝だと思ったよ。

 彼らはかなりの金持ちなんだけど、金持ちだけに暇無し。Peterはルクセンブルクだけでなくイギリスやアメリカに仕事で飛びまわっており、全く休む暇がない。また最近パソコンがクラッシュしたらしく、さらに仕事が増えたんだって。ミュンヘンのショーの後も、仕事や家族旅行と休む暇がないらしい・・・体は壊さないようにしてくれよ。

10/24 曇り|雨 素晴らしいお父さん Luxembourg/Lyckberg邸/8.4km

 Peter曰く、「仕事が早く終われば、昼過ぎに出発しよう。でも早く終わることはまず無いと思うから、明日の早朝出発が濃厚だね。」

 午前中は散髪に市内へ行ったが、予約が要ると言われたので散髪は後日にし、ぶらぶらだけして昼頃に戻ってきた。で、今こうして日記を書いているわけだが、Peterが戻ってくる様子は無い。

 結局7時前に戻ってきたが、かなりお疲れの様子。ジャパニーズビジネスマン以上に忙しい彼だが、帰って来るなりオレにナミビア行きのエアチケットを見せてくれた。来年の4月に家族旅行で行くらしい。鬼のように忙しいのに家族をとても大切にしている。素晴らしいお父さんだ。

 というわけでミュンヘンへは明日朝出発することになった。ヨーロッパ最大の鉱物ショーだけに期待は大きい。いい標本をゲット出来ればいいんだけど・・・


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