カブでヨーロッパ一周編

 スウェーデンでもホームステイ 後編 [スウェーデン] (2001/07/20-07/24)

・07/20 優雅な生活
・07/21 バーベキューの日
・07/22 スウェーデンの誕生パーティー
・07/23 日本人と似ている
・07/24 スウェディッシュ恐るべし 2

通貨単位:SEK(スウェーデンクローネ)/1SEK=約13.5円


07/20 雨|晴れ 優雅な生活 Angon/Peterのサマーハウスに居候/0km

 予定通り6時起床。外は雨が降っていて雷まで鳴っているのが気になるが朝食のオートミールをかきこむ。オレはこのオートミールというやつがあまり好きでは無かったのだが、おいしく食べる方法をヨーテボリで編み出した。普通はジャムなどの甘いものをかけて食べるのだが、味がおかゆに似ているのでサバ缶をかけてみたところ以外にマッチする。Peterはサバ缶をかける人をはじめて見たと驚いたが、これがなかなかの味。なかなかナイスな食材でパンに挟んでも美味いので、今後は大いに利用することになりそうだ。

 そうそう。雷が鳴っている時に、日本の子供達は雷様におへそにとられないように必死に自分のおへそを守るんだよ、と話したら大ウケだった(笑) でも何で雷様はおへそをとるんだろうね?

 今日訪れたペグマタイトはLi(リチウム)という元素を含む珍しいものなので期待していたが、雨もすぐに止みその期待に答えるかのようにいい雲母の標本を採集できた。Peterが言うにはこれだけいい標本が採れるのは20年振りらしく、Peter自身も庭石にするために40kg程も持って帰った位だ。オレも20kg近く採集したが、輸送代が気になるところ。といっても貴重な標本だから、幾らかかっても送るんだけどね(^_^;;
 他にも現在研究中(といっても今は休業中なんだけど)の鉱物も多数採集することができたので、帰ってたら早速分析しよう。どんな結果になるのかが楽しみだ。

 昼食は今日の来客であるPeterの奥さんの両親と一緒に。泊まらせて貰っているお礼としてオレが「うどんすき」を振舞った。味はまずまずだったんだけど、大根がすこし苦かったため子供達にはウケが悪かった。でも大人達は満足してくれたようで救われたよ。

 昼食後はさらなるルクセンブルクからの来客とともに、もちろん海水浴。今日は昨日より暖かく気温は30度近い。でも乾燥しているので快適な暑さ。とはいえ海水が冷たいのは昨日学習したのでオレは木陰で昼寝。
  泳ぎ疲れたら日光浴をしてホント彼らは贅沢な時間を過している。日本人からすると信じられないような生活だが、人生を満喫している気がするね。オレも将来はこんな生活をしたいもんだ。

 来客が帰った後はまたまた海水浴。1日に2、3回は海へ行くことが日課。近くのビーチに行くと真新しい綺麗なヨットが1台停泊していた。すぐ近所の人のもので彼らは3週間ノルウェーからイギリスと船旅を楽しんできたそうだ。そのヨットに乗せてもらい船内を見せてもらったが、学生の一人暮らしのアパートより明らかに広い。そのかなり大きなヨットを見て「僕の家族にはこれくらいの船がちょうどいい大きさだね」と一言。Peterは今現在船外機付きの小型ボートを持っているのだが、次はヨットを購入するらしい・・・なかなか信じられないが本当の話。

 そろそろメールもチェックしたかったので、海水浴後はPeterに公衆電話まで連れて行ってもらう予定だったが、そのヨットの一家が親切にも電話を貸してくれることになった。ヨットの上で会った時からそこの家の子はオレをたいそう気に入ったようだ。とてもかわいい男の子で、見慣れない日本人が気になって仕方が無いといった感じ。確かにスウェーデンでも穴場中の穴場なので、日本人を見かけることはまずないから無理もない。

 それからようやく日本から壊れたパーツがスウェーデンへ到着したのだが、このあたりでは荷物の配達はやっていないようで、大きな郵便局まで取りに行かないといけない。その郵便局というのが100kmも離れたヨーテボリっていうんだから信じられない。Andersに頼み荷物を受け取っておいてもらい、日曜日に親戚の誕生日パーティでヨーテボリへ行くついでに受け取れることになった。この部品が手元に来ない限り出発できないからね。

07/21 曇り|晴れ バーベキューの日 Angon/Peterのサマーハウスに居候/0km

 ご近所と一緒に山の手入れをするということなので、その手伝いをした。居候させてもらっているので、仕事があればちょっと嬉しい(笑)
 作業自体は 見栄えが悪かったり、影になったりする大きな木を切り倒し、それを道路まで運ぶもの。かなり骨の折れる労働だったがいい運動になった。

 今日は以外にも海水浴は無し。というのも、年に1度のこの手入れの日は、ご近所同士で海岸でバーベキューをすることになっているからだ。海岸へバーベキューセットや机、ビールやジュースなどを持っていき、ご近所総出でわいわい。バーベキューといっても日本の焼肉とは違って炭火でソーセージを焼きパンに挟んで食べるというシンプルなもの。

 もちろん子供もいっぱいでとても賑やか。見慣れないヤツがいるぞってことで子供達に大人気(笑)
 デジカメを持っていたので写真を撮ってくれとせがまれ、
中でも左写真の女の子にえらくなつかれてしまった。なかなか良く撮れた写真なのでページに掲載!どこの国でも子供達の屈託の無い笑顔は見ていて楽しいものだ。

 バーベキューの後は家へ戻りハンモックでうたた寝。このあとさらにキノコ狩り。こんな生活をしていると、正直ここから出発したく無くなってくる。

 とはいえいつまでもいるわけにもいかないので、パーツを入手したら早めに出発することにしよう。寒くなる前に北欧を脱出したいしね。

07/22 曇り|晴れ|雨 スウェーデンの誕生パーティー Angon/Peterのサマーハウスに居候/0km

 今日はみんなで早起き。先日ここへやってきたPeterの妹の家で、娘の誕生パーティーが開かれるからだ。6時半起きの7時15分出発というのだから、今朝2時過ぎまでホームページを作っていたオレには少々キツイ。場所はヨーテボリの近くなので100km近いドライブ。といっても1時間程度だが、車内の記憶は無い。

 家に着き一服したあと、ヨーテボリ市内のAndersの家へ移動。Peterの奥さんは市内で買い物をすると言うことで車に乗ってどこかへ行ってしまった。PeterはAndersから数種類の鉱物標本を受け取り、オレは待っていたカブの部品をようやく受け取ることが出来た。さらに電話を借り、メールチェックとページの更新。その後はAndersの愛車ムスタングで妹の家へ再移動。途中で食べたクレープが昼飯。マッシュルームとチーズとハムを挟んだピザのような(というよりそのもの)味でなかなかウマかった。

 誕生日パーティーといっても日本人が想像しているものとはちょっと違った。親戚一同が集まるのは予想していたが、子供は子供達でだけで遊び、大人は大人で会話に花を咲かせる。確かにケーキも出てきたが、決してろうそくなんて立てないし、ましてや歌を歌うなんてありえない状況。日本の生活で例えると、正月に親戚が集まる感じ。彼らが言うには、これが典型的なスウェーデンの誕生パーティーなんだって。ちょっと意外だった。

 それにしてもスウェーデン人はみんな英語が流暢だ。今日集まった親戚も、Andersの家に集まっていた彼の友達達もみな流暢。オレがそばにいる時は気を利かせて英語で会話をする程。スーパーやキオスクはもちろん、若い人から老人まで英語を使いこなしている。そうそう、Andersの友達達がオレの英語を誉めてくれた。お世辞に違いないけど、なかなかいい気分。帰国したらもっと英語を勉強しようと思ったね。英語が使えると世界が広がる。そう言えばPeterは以前日本へ来たことがあるらしいが、梅田で道を聞いた時に誰一人として分かってくれなかったとぼやいていたよ・・・
 Peterの家での会話はもちろん英語。日本で家族と生活している時と変わらない程に会話しているが、上手く言えなかったり、言いたいことが口からなかなか出てこない時も多く、本当にイライラする。もっと勉強やっときゃ良かったなって、今になって後悔しているよ。

 夕方に帰宅後はそんな英語でPeterとお互いの旅やコンピューター関係の話で、疲れているにも関わらず時間を忘れ2時間近くも盛り上がった。彼も今までかなり激しい旅をしてきたようで、お互い似たもの同士なのかもしれない(笑)

07/23 晴れ/曇り 日本人と似ている Angon/Peterのサマーハウスに居候/0km

 今週は毎日朝からLinneaちゃんが乗馬クラブへ行くことになっているので、家族そろって早起き。乗馬クラブで彼女を降ろした後、近くの町へ連れて行ってくれた。「Fiskebackskil」というスウェーデンの典型的な港町と、その対岸に見える「Lysekil」という町へ行ったのだがなかなか楽しめた。港町の作りはもちろん日本のものとは全く違うが、何処となく雰囲気は似ている。右写真の対岸の町は素晴らしい花崗岩がある。ここの花崗岩は世界でも有名なもので、ニューヨークやパリの石畳の道にも使われているそうだ。

 午後4時にLinneaちゃんを迎えに行き、帰宅後は庭の手入れ、海水浴、サウナと続く。庭の手入れでは邪魔な木を切り倒す作業を手伝ったが、これがなかなか難しい。力だけでなくコツもいり、日本の「のこぎり」に慣れているオレにとっては、直径15cm程の木を切るだけでも往生した。

 スウェーデンに来てからずっと感じていたことがある。それは日本人と似ている部分が非常に多いということ。例えば、木造の家に住み、中では靴を履かないという伝統や生活の点。交差が難しい狭い道で対向車が来た場合どちらかが広い部分で待たなければならないが、そこで「ありがとう」「どういたしまして」の合図があるマナーの点。また、子供も大人もゴミはゴミ箱に捨てる。日本人は当たり前の行為だと思っているだろうが、フランス人なんかは当たり前のようにポイ捨てする。自然や物事に対する考え方が似ている。アメリカ人の考えていることはよく分からん、といった点も(笑) さらに、Peterが奥さんのことを「ママ」と呼んだこと。子供が主体になっていて、明らかに日本と一緒だ。他にも挙げるときりがない程。場所も違う、気候も違う、何もかも違ってもおかしくないのに、「人」はものすごく似ている。これこそオレがここで一週間も居候している理由なのかもしれない・・・

07/24 曇り/晴れ スウェディッシュ恐るべし 2 Angon/Peterのサマーハウスに居候/0km

 昨日「日本人と似ている」と書いたが、全てが似ている訳ではない。昨日今日と、海岸にある公衆サウナへ行った。すでに無くなった慣習らしいが、入り口の説明書にあるように枝でピシピシたたくのをリクエスト。前から気になっていたので是非やってみたかったのだ。そこでPeterからとてつもない事を聞いてしまった。

 今は夏なので、サウナで熱くなった体を海に飛び込んで冷やすというのは、オレの考えられる範囲だった。もちろんオレもそうした。確かに水は冷たい(20度弱)が、サウナの後なら問題はない。では冬はどうするか・・・ここからが本題。

 なんと、熱くなった体は一面に積もった雪の上を裸で転げまわって冷やすというのだ!でも、ここで話は終わらない。ここは海の近くなので、冬の海は1メートル程の厚さの氷で覆われる。そこに穴を開けて海の中に飛び込むのだそうだ。これにはオレも腰を抜かしそうになったが、ここでも話は終わらない。ラップランド(スウェーデン北部)の話を聞いた後、オレは腰を抜かした(笑)

 ラップランドでも分厚い氷に穴を開けるのだが、直径2から3メートルの穴を10m程離して2つ開ける。そう。片方から飛び込んで、もう片方の穴から出てくるというわけ。もちろん命を落とすこともあり、かなりのリスクを伴う。ラップランド出身ではないPeterは「これはヤバイからしない」と言っていたが「海に飛び込むだけならノープロブレム」だそうだ。海水なので水温は0度以下。日本のようなヘルシーな食事では無いこの国の、高い平均寿命の源が生活習慣だとすれば、意外と健康にはいいのかもしれない。でもね・・・(^_^;;

 いつまでもここに居るという訳にもいかないので、明日ここを発つことに決めた。今日はその準備と採集した鉱物とコンロを日本へ郵送。いよいよ北上開始だ!


戻る