カブでヨーロッパ一周編

 スウェーデンでもホームステイ 前編 [スウェーデン] (2001/07/15-07/19)

・07/15 とうとうスウェーデンへ上陸
・07/16 ヨーテボリの見所?
・07/17 移動日
・07/18 スウェディッシュ恐るべし
・07/19 古びたコンロ

通貨単位:DKK(デンマーククローネ)/1DKK=約15円 SEK(スウェーデンクローネ)/1SEK=約13.5円


07/15 曇り/晴れ とうとうスウェーデンへ上陸 Goteborg/Lyckberg(兄)邸に居候/62.6km

 のんびり9時起床。昨日までの晴天はどこへやら。雨こそ降っていないものの道路は濡れている。雲も厚く今にも天気は崩れそうだ。

 出発は11時。荷造りを済ませB&Bの主人に2泊分のお金600DKKを渡そうとすると、500DKK札を1枚だけ取って「これだけでいいよ」と言ってくれた。親切でいいB&Bだった。

 今日の目的地はスウェーデンのヨーテボリ。この街からヨーテボリ行きのフェリーが発着している町までは約60kmと近い。風も強いが今日も追い風。この前は南から吹いていたが、今日は西から吹いていてオレを後押ししているかのようだ。

  途中マクドナルドで昼飯を食べのんびりと走る。マクドナルドへ行く気は無かったのだが、今日は日曜日のため多くの店が閉まっているので仕方が無い。こういう場合は手軽で便利なので助かる。

 全く迷うことなくターミナルまでやってきたが、そこにはハーレーオーナーズクラブみたいな団体がいて爆音を響かせていた。見たところ20台以上はいる。日本ではなかなか見られない凄い光景。

 彼らの後に並びチケットを買おうとしたら「予約はしているのか?」と聞かれた。もちろんそんなものはしていない。「今日は全部埋まっています」とつれない返事。とはいえ今日の夕方にヨーテボリに着き、Peterのお兄さんの家に厄介になる予定だったので、なんとか今目の前にいる船に乗ってやりたいところ。 「キャンセル待ちはできないのか?」と聞いたら「パスポート」と言われたのでパスポートを渡す。すると「275DKK」(ちなみにこの時の残金は280DKK)というので金を払ったらチケットを渡され、16番レーンに並べと言うのでとりあえず並ぶ。そこでチケットを確認してみると、なんと今日の21時30分発、ヨーテボリ着が明日の0時15分の切符。まさかこの時間まで待つんかいな?と思っていたら、オレの並んでいる16番レーンも次々と乗船していく。係員も面倒くさそうにチケットを取っていくので、時間までは確認していない。しめた!とばかりにチケットを渡し颯爽と船に乗り込んでやった(笑) 船に乗ってしまえばこっちのものだ。

 内海を走るかなり大きなフェリーだからか、バイクをロープで固定しないのには驚いた。ふつうはロープで引っ張って、船が揺れても動かないように固定するものなのだが、平らなところにサイドスタンドで止めるだけ。全部で50台くらいのバイクが並んでいたが、倒れたらえらいことになるぞ、と思いながらもそのままで放置。またここでハーレー軍団の人と仲良くなった。日本人が変わったバイクでそばに居たら、気になるのは当たり前だろう。今までの旅の話やこれからの旅の話をしたら大笑いされた。まぁこれが普通の反応だろうな(笑)

 このフェリーは約3時間の短い船旅なので客席は無い。まぁ金を出したら個室みたいなのもあるんだけど、一番安いチケットだともちろん席はない。でも船内は国際フェリーなので免税店(空港並みにデカかった)やレストラン、喫茶店や両替所などもあり時間を潰すのは簡単。とはいえフェリー代を払ったオレにとって残金5DKK(約75円)ではジュースすら買えない(笑) こういう時用に、いくらかフランスフランを持っているのだが、今日はバイクに縛り付けているカバンの中。船が動いている3時間ずっと、テラスで昼寝をするしかなかった。

 とはいえたかが3時間なのですぐにヨーテボリに到着。Peterからもらっていた地図のおかげで迷うことなくお兄さん(Anders Lyckberg)の家へ来ることが出来た。

 彼の家もやはり石であふれていた。食器棚には所狭しと鉱物標本が並べられている。趣味で宝石のカットをしていて、さらに週末はナイトクラブでディスクジョッキーもしていたり、公園で露店を出して鉱物を売ったりもしているちょっと不思議な人だが、本業は小学校の先生。ちなみに今は夏休み中。

07/16 曇り|雨|曇り ヨーテボリの見所? Goteborg/Lyckberg(兄)邸に居候/0km

 起床は11時。Andersも11時起きだったので助かった(笑)

 今日は彼に連れられてヨーテボリの観光。といってもガイドブックには載っていない場所を観光(?)した。まずカフェで朝食(といっても12時過ぎなんだけど)を取った後、知り合いの子供(13歳)を連れてゴーカートへ。ゴーカートと言っても200ccも排気量がある立派なレーシングカート。もちろんカブより早い(笑) オレ以外の2人は経験者だが、オレは初体験!友人が言うにはダイレクト感があって最高に楽しい!ということなのでワクワク。室内カート場で、路面はかなり滑りやすくしている。カートは基本的にコーナーはドリフトで曲るので運転しやすく、操作に忠実に車体が反応しとても楽しかった。右足がアクセルで左足がブレーキという慣れない操作に戸惑いながらも、なんとか1位になったので面目は保てた(笑)

 その後はヨーテボリ近くの鉱山跡を見学。オレが研究しているペグマタイト(日本語では巨晶花崗岩といって、粒子が普通の花崗岩よりも大きい岩石。ちなみに花崗岩とは墓石に使われている岩石ね)鉱山でいくつかベリル(宝石になったら緑色のものはエメラルド、青いものはアクアマリンと呼ばれる)や他の珍しい鉱物を採集することができた。もちろん宝石にはなり得ない不透明なものだけど、緑色で結構綺麗。ちなみに日本じゃなかなか採集できないんだよ。

 全く腹は減っていなかったが昼飯としてデカいピザをたいらげた後、アマゾナイト(長石という鉱物で青や緑色のもの)があるという所へ移動するも、あいにくの雨。Andersが言うには典型的なスウェーデンの夏の天気だそうで、しばらく待つと止むということだったが1時間以上待っても止まず。仕方無く小雨の中そのポイントへ歩いて向かう。時間があまりなくて鉱物自体は少ししか採集できなかったが、途中で野生のブルーベリーをつまみ食いしたり、とてつもなくデカいキノコ(直径30cmはあった)を見たりと満足のいく内容だった。

 今日はなかなか疲れた1日だったが、彼のマンションから見たヨーテボリの夕景を書いておかねばなるまい。町の中心まで歩いて行ける距離にある高台の上という立地条件で、部屋もとても広い。これで家賃が7万ちょいっていうんだから、日本で住むのがバカらしく感じてしまうよ。

07/17 晴れ|曇り 移動日 Angon/Peterのサマーハウスに居候/96.9km

 洗濯機を借りることが出来たので、朝のうちに汚れた服を洗濯。旅をしていると洗濯機のありがたさが身にしみてわかる。手で洗うのはまだいいとしても、脱水(といっても絞るだけなんだけど)には骨が折れるからね。にも関わらすTシャツを洗濯し忘れて、いつものバカっぷりを露呈してしまった(笑)

 今日は朝のうちにヨーテボリから100km程離れたPeterのサマーハウスに移動する予定だったが、Andersが愛車ムスタングで夕方までヨーテボリの各所に連れて行ってくれることになり、楽しく過ごすことが出来た。

 夕方4時頃、お世話になった彼の家を発ち移動開始。ヨーテボリから市外へ出る道が高速しか見つからなかったので、高速を走行。といっても巡航速度が低かったので、カブでも全開なら特に問題なく走れた。だから市外へ出るだけでなく、国道と交差しているわかりやすいところまで走ってしまった(^_^;;

 途中もうおなじみになったカーフェリーに乗り、全く道に迷わずPeterのサマーハウスがある島へ到着。もらった手書きの地図を頼りに進んでいくと、分岐になっているところでPeterとばったり遭遇。親切にもオレが道に迷わないように「TAKU ->」 というダンボールの看板を立ててくれていた最中だった。それにしてもいいタイミングだった。

  彼に連れられサマーハウスに到着。なんと築150年という木造の家で、味があって素晴らしい!とても綺麗に手入れされていて見ているだけでも飽きない。大きな庭(というより公園サイズ)には芝生と大きな木がたくさん生えていてこれ以上はない程のいい環境。さらにキノコ(食べられる)やブルーベリーも生えており、早速キノコ狩りもさせてもらった。

 彼と一緒に夕食のバーベキューの準備をしている時に「事故」が起こったことを除けば最高の1日だったのだが・・・Peterの子どもDavid君(弟)が投げたブーメランがLinneaちゃん(姉)の鼻に直撃し大騒ぎになった。怪我の詳細は今のところ不明だが、とても心配だ。ただの打撲ならいいんだけどね・・・

07/18 曇り|晴れ スウェディッシュ恐るべし Angon/Peterのサマーハウスに居候/0km

 心配していたLinneaちゃんの怪我も大した事は無かったようで、今朝はケロっとした顔で普段どおりだった。何はともあれよかったよかった。左写真はハンモックで本を読むLinneaちゃん。

 ということで、朝からPeterに連れられ買出し。このサマーハウスは商店が無い島にあるので、まず島を出なければならない。といっても本土とは無料フェリーが常に往復しているので、そんなに面倒なこともない。距離も目と鼻の先なので5分とかからないし。

 新鮮な魚介類、野菜やお菓子などを大量に買い込んだ後、サマーハウスには洗濯機が無いので、近くに住んでいる彼の両親の家に洗濯物を預けに行く。彼らは庭に生えているブルーベリーやブラックベリー、ホワイトベリー、スウェーデンの苺などを食べさせてくれた。さらに庭にはPeterが今までに採集した鉱物が山のように積み上げてあって、そこからいくつか素晴らしい標本をもらうこともできた。持って旅を続けるわけにはいかない程に重いので、日本まで郵送することにしよう。

 その途中、久しぶりに大学に電話をした。元気そうなみんなの声が聞けて楽しいひと時を過ごせたが、日本での生活が妙に懐かしく感じてしまったよ・・・

 サマーハウスに戻るとPeterの妹一家が来ており、昼間はキノコ狩りをしたりとのんびり過した。Peterの妹はキノコ狩りの達人で、オレが3本程見つけた時には軽く50本は採っていた。今日買った魚介類と採ったキノコの夕食後はみんなで海水浴。でも曇っていたので気温は約18度・・・もちろんオレは遠慮したけど、みんな楽しそうに泳いでいた(^_^;;
 Peterが言うには18度は夏の間でも極端に寒い日らしい。12月の暖かい日と同じくらいだそうた。また、スウェーデンでは5月頃から海水浴を始めるんだって。時には3月のまだ雪が残っている日でも、暖かかったら泳ぐらしい。ちなみにその時の海水温は約4度。でもここで驚いてはいけない。Peterが以前ノルウェーへ行った時には氷が浮いている湖で泳いだと平然と言ったのには度肝を抜かれた。もちろん水温は0度だ・・・スウェディッシュ恐るべし!

 全く話は変わるが、パリで見た映画「パールハーバー」は7月14日から日本公開だったことを知ったので、見に行こうかどうか悩んでいる人にアドバイス。前評価があまりよくないとのことだが、ポイントを押さえていれば結構楽しめる。まずストーリーは大した事無いので期待しない。しかし映像はとにかく素晴らしく、無数のゼロ戦による爆撃シーンなどは迫力満点。でもこの映像はたった3台のゼロ戦を使って撮影、合成したらしい。そこをふまえておけば楽しく鑑賞できるハズだ。もちろん「戦争」の中でどんな惨劇が繰り広げられたのかという根本のテーマについても、日本人の立場からみればいい映画だと思う。言い換えれば、この映画を見たアメリカ人が「戦争」について考え直すかどうかはわからない内容なんだけどね(^_^;;

07/19 晴れ 古びたコンロ Angon/Peterのサマーハウスに居候/0km

 午前中、近くのペグマタイトに連れて行ってもらい、帰宅後は家の粗大ゴミ捨ての手伝い。木製のボロボロになってしまった足場の解体や、庭の片隅に積み上げられた木材の整理などなど目一杯働いた。物置の中も整理したのだが、そこにオレを惹きつけて止まないものがあった・・・

オレはアンティークに興味があったわけでは無いが、Optimusという有名なスウェーデンの会社のものすごく古いコンロに目が止まったのだ。Peterが言うには50年以上前のものらしい。結構錆びていてキレイとは言いがたいが、どうしてもそのコンロが欲しくて、Peterに「もらえないか?」と問うと、二つ返事で「欲しかったら持っていっていいよ」と言ってくれた。というわけでその古びたコンロはオレのものになった訳だが、素晴らしいデザインでなんとも言えない魅力がある。とりあえず日本へ送って、帰国後に錆びを取って磨くのが今から楽しみだ。

 またここは本当に素晴らしい環境にあるので来客も多い。なんと今週はほとんど毎日来客があるというのだから驚き。もちろん今日も来客あり。

 昼食の後はやはり海水浴。今日は暖かい(といっても気温は約25度)のでオレも一緒に泳いだが、海の水は冷たくすぐに出てきた。子供達はそんな冷たい水の中でいつまでも遊んでいるのだから、やっぱりスウェーデン人はスゴイ・・・

 泳いだ後は日光浴。気持ち良過ぎて2時間程熟睡してしまった。家に帰ってきたあとは右写真のDavid君とサッカー。それにしても子供はタフ。ほとんど一日中走り回っているのにこの元気・・・あの小さい体のどこにそんなスタミナがあるのかが不思議だ。

 明日も別の来客があるということだが、早朝から少し離れたペグマタイトへ連れて行ってもらうことになっている。6時起きなので今夜は早く寝ることにしよう。


戻る