カブでヨーロッパ一周「追憶」編
最後のパリ滞在 [フランス] (2001/12/18-12/20) ・12/18 最初も最後もやっぱり「パリ」
・12/19 Chateau de Cagliostro
・12/20 さらばヨーロッパ!通貨単位:FF(フランスフラン)/1FF=約17円
12/18 晴れ 最初も最後もやっぱり「パリ」 Paris/藤本邸に居候
気持ちよく眠っていたら突然たたき起こされた。どうやらフランスとの国境手前らしい。眠い目をこすりながら入国カードを記入。カブで入国した時は素通りだったのに、こんな面倒な書類を書かないといけないのは納得出来ないが、文句を言うわけにもいかない。パスポート、乗車券とともにその入国カードを渡し、再び眠りにつく・・・
次にたたき起こされたのは、パリの一歩手前。預けたパスポートと一緒に、眠い目をこすってまで書いた入国カードが返ってきた・・・全然意味無かったやろ!
とまぁ、そんな元気も出ないまま列車はパリの東駅に入った。クシェットだったとはいえ、毎度の事ながら結構疲れた。でも寝ている間に移動してくれるのは、時間節約になるので助かるんだけどね。今夜のお宿は決まっているので、早速コインロッカーに荷物を預け市内へ繰り出すことに。と言っても、まだ早朝なのでどこも開いていない。コーヒー1杯でマクドナルドで時間を潰す。
最後のパリ観光だが、観光スポットになっているところには春の間にほとんど行ってしまったので興味は無い。シャンゼリゼでブランド品をGet!ってガラでも無いし(笑)
まずは、パリでまだ行っていなかったエッフェル塔が一望できる場所にある海洋博物館へ行ってみた。が、なんと今日は休館日。明日ならやってるよと言われたので、定番になったエコル通りのキャンプ用品店群へ。フランスならではの気の利いたアイテムでも買おうと思ったが、そんなに大したものは無かった。しかし「ウィンドウショッピング」というのは結構な時間を費やすようで、いつのまにか夕方になってしまった。
今晩は藤本さんの家でお世話になることになっていた。約束の時間まで時間が余れば映画館にでも行こうと思っていたが、そんな暇もなくなってしまった。藤本さんと連絡をとり、ロッカーの荷物をかつぐ。家は少し前に行ったことがあったので、迷うはずもなく到着。
夕食はオレのリクエストで「お好み焼き」。前にムール貝をご馳走になった時に無性に恋しくなったからだ。「お好み焼き」とは言うが、パリで手に入る食材だけなので日本のものとは違うイメージのものだが、味は似たような感じでおいしかった。もちろん「白御飯」と一緒に食べたが、この事に関するコメントをしておこう。オレはガキの頃から「ごはんとお好み焼き」はセットだと思っていたがどうやらそうではないらしい・・・お好み焼きはれっきとした「おかず」なのに、ロンドン滞在中に実くんに散々言われた(笑) これってやっぱりおかしい?
12/19 曇り Chateau de Cagliostro Paris/藤本邸に居候
明日は朝から空港へ向わないといけないので、今日が実質パリ最後の日。やることはたくさんある。まずはバスで「オペラ・ガルニエ」へ行き、近くにある日本通運のパリのオフィスで「カブの輸送」について最終的な打ち合わせ。数日後に船は出港し、来年の2月頭に門司港に入港する予定らしい。
その後はメトロを乗り継ぎ、昨日の海洋博物館に再チャレンジ。係員の言った通り今日は開いていた。そこの見学から始まり、次はお土産の購入。シャンゼリゼ通りのツーリストインフォメーションでエッフェル塔のぬいぐるみや、ミシュランの店であのムクムクのぬいぐるみを購入。あのミシュランのシンボルマークになっているヤツの名前は「ミシュラン」ではなく「ビバンダム」だって知ってた?まぁ、そんなことどうでもいいんだけど、フランスっていったらやっぱりアレでしょ!
夕方からは映画を見ることにしていた。というのも、昨夜藤本さんから「今ちょうど日本映画祭りみたいなのをやっている」という情報を得ていたからだ。で、オレが選んだ映画が今日のタイトル「Chateau de Cagliostro」。最初このタイトルを見た時一瞬何かわからなかったが、すぐに理解することが出来た。日本語に訳すと「カリオストロの城」。そう、日本人なら誰でも知っている「ルパン三世」の劇場版映画だ。名作中の名作とも呼び声の高いこの作品は宮崎駿さんが監督を務めたのだ。ビデオでは何回も見たことがあるが、ルパンは大好きだし、とても懐かしくなったので見ることにした。
日本語音声で英語とフランス語字幕だったのだが、ちょっと面白いことを知った。フランス語字幕ではもちろん「ルパン」は「Lupin」だと思っていたが、なんと「Rupan」だった。さらに英語字幕では「The wolf」だった。なんで「狼」やねん!とツッコミたかったが、多分アメリカでは「アルセーヌ・ルパン」という名があまり知られてないのでは?と思うと、妙に納得してしまった。
また、フランス人が笑うタイミングが日本人のそれとはかなり違うことも知った。ルパンが華麗な大アクションをした時は会場全体が湧き拍手喝采が起こったのにはちょっとビックリした。さらに、五右衛門が画面に出てきた瞬間も大爆笑。やはり「侍」はそれだけでインパクトが強いのだろう。
パリ最後にふさわしい1日だったか?と言えば疑問も残るが、それなりに楽しく過ごすことが出来た。いよいよ明日はパリを発つ。約9ヶ月間は長いようで短かったなぁ・・・
12/20 晴れ さらばヨーロッパ! Paris-Bangkok/飛行機
お世話になった藤本邸を朝9時に出発。昨日同様オペラで今度は空港へ向うバスに乗り換え。これでしばらくパリも見納めだ。飛行機の離陸は13時20分なので余裕で空港へ到着した。
空港ではまず出発インフォメーションの確認。バンコク行きは?っと確認すると、12時20分発になっている。しかし十分すぎる余裕を持ってきたので問題は無い。そんなこと聞いてないぞ!と思ったが、航空券を入れていた紙袋の中に入っていた1枚のメモ用紙にはしっかりと「12時20分に変更」とオレの字で書いてあった。そういえば、スイスでリコンファーム(予約の再確認)をした時にそんな事を言っていた(笑) 最後の最後までこんな調子なので、日本に帰ってからが自分で不安になってくる(^_^;;
免税店で見つけた思い出の「KNOCKANDO」と、愛用の「ラッキーストライク」を手にバンコク行きタイ国際航空のエアバスA300型機に乗り込んだ。飛行機はほぼ定刻通り離陸。そしてオレは心の中で世話になったヨーロッパに別れを告げた。
今回の旅として、「カブ」と「ヨーロッパ」という組み合わせを選んで良かったと思う。カブではなくて中型、大型バイクだとしても、アジアもしくはアメリカ、オーストラリアでも・・・何処を選んでも後悔はしていないだろうが、たくさんの国と文化が集まっているこの地で、カブだったからこそ出逢えたかもしれない、多くの親切な人に心から感謝している。確かにカブだったから辛い思いをしたことも少なからずあるが、それも今ではいい思い出だ。抱えきれない宝物を心にしまって、オレは帰路についた・・・オレは今、最高に幸せだ!
完