カブでヨーロッパ一周「追憶」編

 極寒のチューリヒ居候記 [スイス] (2001/12/14-12/17)

・12/14 とにかく寒すぎ!
・12/15 スイスの温泉もまた良し
・12/16 のんびり執筆活動
・12/17 列車はパリへ

通貨単位:CHF(スイスフラン)/1CHF=約68.18円


12/14 曇り/晴れ とにかく寒すぎ Zurich/田中邸に居候

 目覚ましをかけずに眠ったが起床は8時前。昨夜は11時間も眠った計算になる(^_^;;

 今日はBuchsからチューリヒへ。11時15分発の特急で約1時間15分。停車駅は「Sargans」と「チューリヒ」の2駅なので楽々。切符も昨日購入済み。ヨーロッパの列車網は本当に発達しているので、わかり易いし乗りやすい。

 チューリヒ到着後は切符の購入。目的地に着いたら、まず次の目的地への交通手段を確保するのが正しいやり方(だとオレは思う)。なぜなら、どこへ行くにも駅が起点だし、切符を買いに来るだけでまた来ないといけないのは二度手間だから。今回購入したのは、最後になるパリ行きの夜行列車の切符。これでパリへ戻ると、オレのヨーロッパの旅も終了ということになる。また、この切符を買うだけで1時間近く時間を費やしてしまった。切符売り場で買おうとしたら「システムが止まっているから隣の窓口で買ってくれ」といわれ、そこで散々待たされてしまった。

 待たされはしたが、無事購入できたので良しとしよう。その後はトラム・トロリーバスと乗り継ぎ、5月にお世話になった田中邸へ。この時期のバックパッカーは珍しいのだろうか、車内で冷ややかな視線を受けつづけた(笑)

 今日は強烈に寒い。温度計が無いのではっきりとはわからなかったが、確実にノルウェーでオーロラを見た時以上。トラムを待っている少しの間でもキツイ。田中邸に到着後温度計を見せてもらったら、なんとマイナス8度・・・しかも、この温度計は少し高くでるらしく、テレビではマイナス13度というとんでもないものだった。圭子さん(田中夫人)曰く、夜はマイナス20度くらいまで冷え込んでいるらしい。こんなに寒いのはチューリヒでも珍しいんだって。

 オレが行った時にちょうどイギリス人の友達が来ているということで、一緒に話をした。オレの「ジャングリッシュ」でオーロラの話やカブの旅の話をしたが、なかなか喜んでもらえたようだ(^_^

 夕方にはドクターも帰ってきた。「無事にチューリヒまで戻ってきて・・・」と言ってもらえたのは、オレにとってとても深く感じることが出来た。さらにそのオレの為にとっておきのワインを出してくれた。ボルドーの赤で銘柄は忘れたが、とにかく美味かった。こういうワインを一度飲んでしまうと、おいしいワインを探求してしまいそうだ(笑) でもオレはコレクターではないので、いいワインでもすぐに開けてしまうんだけどね(^_^;;

 オレからのドクターへのお土産はあの「KNOCKANDO」。ここまで一滴も飲まなかった自分の我慢強さを誉めてやりたい(笑) 久しぶりに飲んだ「KNOCKANDO」の味もまた格別。シングルモルトはコレだ!と言いたくなる。ドクターもこの味を気に入ってくれたので、ここまで重たい思いをして持ってきた甲斐があったってもんだ。

 ドクターもかなりの酒好きで、酒を片手に語り合う時間もまた格別。時間を忘れ、何時しか夜はふけていった・・・

12/15 曇り/晴れ スイスの温泉もまた良し Zurich/田中邸に居候

 今日はドクターが温泉に連れて行ってくれることになった。ハンガリーは温泉で有名だが、スイスにも温泉はあるらしい。もちろん温泉と言っても日本の温泉とは異なり、温水プールという表現が正しい。場所はチューリヒから車で約30分のバーデンという町。愛車「チェロキー」で息子の「よしくん」と3人でアウトバーンを走る。

 外は今日も極寒だが、道路は完璧に除雪されているので何の問題も無い。ノルウェーのようにアイススケート状になった道路をガンガン走るのも凄いが、ここまで完璧に除雪整備されているのもまた凄い。

 目的の温泉は予想していたよりもかなり良かった。室内プールはまぁまぁだったが、屋外はまさに露天風呂。温度は36度とちょっと低い気がするが、ぬるめの温泉ならそんなものだろう。何よりいいのがまわりが雪だということ。舟を浮かべて日本酒があれば言うこと無しなのだが、流石にそこまでするわけにはいかない(笑)

 2時間程浸かっていたが、とてもいい気分になった。日本に帰ったらまず温泉かなぁ(^_^;;

 夕食はドクターお手製の肉まん。竹のセイロで蒸した本格的なもので味もまた本格的。こういう美味い料理を自分で作れるんだったら、オレも是非トライしてやりたいと思う。今回の旅でも色々と美味いものに巡り合えたので、それを再現して思い出に浸るのも悪くないな。

 なんと今夜は「KNOCKANDO」を片手に「吉本新喜劇」の観賞(笑) ドクターの友人が日本からビデオを送ってくれたらしい。実を言うとオレは大の新喜劇好き。久しぶりに見たけど、あのギャグはやっぱりサイコーだね。

12/16 晴れ のんびり執筆活動 Zurich/田中邸に居候

 ドクターは友人の還暦の誕生日パーティーがあるらしく、昼前からよしくんを連れてお出かけ。こっちでは60、70、80といったキリのいい誕生日を盛大に祝うそうだ。というわけで、オレと圭子さんと「みり」ちゃん(ようやく喋りだしたころの可愛い盛り。ドクター夫妻の愛娘)はお留守番。オレも街へ出かけても良かったんだけど、この寒さだと外へ出るのもおっくうになってしまう。今日は昨日と比べて寒さは少し和らいでいるが、それでも温度は約マイナス5度だったりする(^_^;;

 しばらく日記も書いていなかったので、日中は執筆活動に打ち込んだ。

 夕食はまたまたドクターの手料理。今日は「チャーシュー」。豚肉の塊(首の部分)を昨日から自家製のたれに漬け込んでいたのだ。それを炊き込むと、いい状態に味がしみて何とも言えない程に美味なのだ・・・毎日おいしいものばかりご馳走になっているので、少し太った気がするよ(^_^;;

12/17 晴れ 列車はパリへ・・・ Zurich-Paris/夜行列車

 今夜の列車でパリへ向うので、今日がチューリヒ最後の日。ここから先必要の無いライダースーツ、極寒対策用の靴などを日本へ送り返す。このまま持っていても悪くはないのだが、かさ張りまくるし結構重い。事実、それらの隙間に細々した旅に不要なものを詰め込んだら結構な重さになった。ちなみに郵便局へは圭子さんが車で連れて行ってくれた。

 そのまま、今度はメトロに乗って中心街へ。子供2人(下の「みり」ちゃんはまだ喋りだして間もない)を連れて行動するのはとても大変なのだが、「せっかくチューリヒまで来てるのに・・・」とオレに気をつかってくれたのだ。ここまでされるとオレの方が申し訳なくなってしまうよ(^_^;;

 市内はクリスマス一色。時期的に仕方無いんだけど、本当に「一色」。クリスマスはキリスト教地域ではやはり大切なイベント。とはいえちょっとうんざりしてしまう程だ。

 夕食はまたまたドクターの手料理。今回はスイスということで「ラタトゥーユ」を作ってくれた。ちなみにラタトゥーユはフランスの物らしいんだけど、ヨーロッパということで許してくれ、とのこと(笑) 野菜を煮込んだスープなんだけど、作る過程で水を一切加えない。全て野菜からにじみ出た水分だというのだ。お味の方はもちろんGood。こういう美味いものを自分で作れるのかと思うと、自分でもチャレンジしたくなってしまった。帰国したら「TAKUのお料理教室」っていうサイトでも立ち上げようかな(笑)

 今日も酒は美味い。今夜がドクターと飲み交わす最後の酒だと思うと寂しかった・・・喉を潤す「KNOCKANDO」。ウィスキーのあの琥珀色は元々からついている色ではない。ホワイトオークの樽で12年という長い間の眠りの末についた木の色だ。オレのとってこのウィスキーには琥珀の色だけでなく多くの思い出が注ぎ込まれている・・・ロンドンで散々世話になった実くんとの出逢い、そして再会。今回世話になっている田中一家との出逢い、再会。オレはこれを飲むたびに思い出すだろう。そして少し酔っ払いながらこう思うのだ「また会いたいなぁ・・・」。

 余韻に浸りたいのもやまやまだが、そうしている時間もあまり無くなってしまった。荷造りを済ませ、世話になったお礼を伝える。玄関までドクターが見送ってくれた。「ありがとうございました」と頭を下げ涙目になっていたことを悟られないように努めた。そのまま涙を堪えバス停へ向う。

 何事も無くチューリヒ中央駅に到着。バスとトラムを乗り継いで30分程なのですぐだ。列車が来るまで時間を潰す。「最後」の夜行列車に乗り込むやいなや、眠りに入ってしまった・・・


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