カブでヨーロッパ一周編

 今度はアルプスへ! [イタリア・オーストリア・リヒテンシュタイン・スイス] (2001/12/10-12/13)

・12/10 アドリア海の女王
・12/11 水の都ヴェネチア
・12/12 自主制作映画?
・12/13 アルプスをナメていた・・・

通貨単位:L(イタリアリラ)/100L=約7.75円 S(オーストリアシリング)/1S=約7.22円 CHF(スイスフラン)/1CHF=約68.18円


12/10 晴れ アドリア海の女王 Venezia/hotel Rossi

 4時半起床。列車や飛行機の旅だとこういう時間帯に起きるという事態になる。もともと朝は弱いというわけではないが、カブで旅しているときにはありえない状況だ。今日はマドリッドからイタリアのヴェネツィアへ飛ぶことになっている。エールフランスなのでパリで乗り換えがあり、えらい大回りをすることになった。

 5時15分頃タクシーを拾い空港まで行ったのだが、数日間だが世話をしてくれたちえさんが空港まで見送りに着いてきてくれた。ちえさんはスペインへ来てまだ半年も経っていないのに、タクシーの運ちゃんとも普通に会話し、マシンガンのように話す「エスパニョール」と対等に話している・・・本人は「まだまだ」と言っているが、オレもこれくらい英語を話せればなぁ、としみじみ思うよ。

 忙しい中マドリッドを案内してくれたちえさんに礼を言い、搭乗ゲートへ向う。定刻通りに乗客は全員乗り込んだが、飛行機は一向に動く気配が無い・・・しばらくするとアナウンスがあり、「空港の方が準備できていないのでしばらくお待ちください」とのことだった。結局40分も待たされ離陸したが、最後の最後までスペインの「時間のルーズさ」にやられてしまった。

 エールフランスはその名の通りフランスの航空会社。機内アナウンスは基本的に航空会社の所属する国の人がやるので、エールフランスならフランス人がやる。行きにフランクフルトから乗ったSpanairというスペインの航空会社のアナウンスはもちろんスペイン人がやった。出発国・到着国・英語の3ヶ国語でアナウンスがあるが、フランス人の英語はかなり聞き取りやすい。しかし、スペイン人の英語は何を言っているのかさっぱり・・・機内アナウンスは決まりきったことを言っているので、聞き取れなかったことなど今まで無いが、Spainairは別。最初の「Ladies and gentlemen.」を聞いた瞬間に「わかりにくー!」と思ったが、最後の「Thank you very much.」まで何もわからなかった・・・まぁ、スペイン人の英語はネイティブでもよーわからんような事を言ってたけど。

 それはさておき、予定ではパリで乗り換える時間は十分にあったのだが、飛行機が遅れたのであまり時間が無くなってしまった。機内アナウンスで乗り換え案内があり、あらかじめ搭乗ゲートが隣のホールであることがわかった。結構距離があるのでシャトルバス乗り直行。搭乗ゲートからはバスで飛行機の止まっている所まで行く。その飛行機が止まっている所というのが、マドリッドから乗って来た飛行機のすぐ近くだった・・・

 もちろん飛行機は遅れることもなく無事離陸し、昼過ぎにヴェネツィアに到着した。空港に着いてまず気が付いたこと。そう、アルプスが見えるのだ。カブでは相当苦労したあのアルプスも、今度は列車。つまりヴェネツィアの後はアルプスへ向うつもりをしている。

 空港からヴェネツィア行きのバスに乗り込み約25分。町外れの大きなバスターミナルで下車した。以前から「ヴェネツィアには車が走っていない」と聞いていて、それってどんなものなんだろう?と興味があったし、昔は「アドリア海の女王」とまで言われた町を是非この目で見たかったのでわざわざやって来たのだ。

 空港のインフォメーションで地図をもらってきたので、大体の地理はわかる。それ程遠くないので徒歩で鉄道の駅を目指す。車はこのバスターミナルまでで、町の中は歩行者道路と運河が交通を支えている。やはり有名なところなので観光客だらけ。宿は駅の近くの小奇麗な電話付きホテルで1つ星。1つ星とは思えない良い感じだが、値段も1つ星とは思えない・・・1泊約5,500円もする。とはいえホームページも作りたいし、アップロードもしておきたかったので妥協することにした。近くに他のホテルもあるが2つ星以上だし、大きな荷物を背負って歩き回るのもだるいし。また、部屋は4F(日本でいう5階)だったので、階段を上がるだけでも一苦労した。しかし、聞いてはいたがヴェネツィアは宿代が高いぞ!

 荷物を置いた後はまず駅へ行き、これからのルートを調べてもらう。鉄道専門のインフォメーションがあり、行き先を告げるだけでルートや時刻表をプリントアウトしてもらえるのは便利。しかもここはスペインと違い、英語がかなり通じる。ATMで現金を引き出し街へ。マドリッドで現像出来なかったポジを持って写真屋へ行くが、ネガなら20分というところでも、ポジなら数日はかかるというところばかり。しかし、親切な店員がいる店で、ポジでも即日で現像してくれるという店を教えてももらった。結構距離があるので、そこへは明日行くことにしよう。

 夕食はもちろんパスタ。日本やその他の国でパスタを食べると、必ずと言っていい程「スプーン」が一緒に付いてくるが、本場イタリアでは付いてこないのだ。スプーンを使うのは小さなガキくらいらしいよ。味は良くも無く悪くも無く・・・本場とはいえどこでも美味しいというわけではないようだ。

12/11 曇り/晴れ 水の都「ヴェネチア」 Venezia/hotel Rossi

 今日は朝から行動開始。まずは駅で次なる目的地への切符を購入。明日の夜行列車でオーストリアのチロル州の州都「インスブルック」で乗り換え、リヒテンシュタインへ向うつもりだ。

 切符を買った後は「ヴァポレット」と呼ばれる「渡し舟」のようなもので運河を移動。前述の通り、ヴェネツィアは車が走っていない(というより、道が狭すぎて車は通れないのだ)ので、バスのかわりに船がある。自家用車ではなくて自家用舟。カジノなんかには、道路の入り口の他に運河には小さな桟橋があったりする。パトカーもパトボート(っていうのか?)。たくさんの小さな舟がゆっくり走っているので、見ていて楽しい。しかし、今日は曇っているので、かなり寒い・・・マドリッドではTシャツ、シャツ、フリースのジャケットの3枚で十分だったが、ここでは寒すぎる。とりあえず昨日聞いたポジを即日で現像できるという写真屋へ行き、すぐにホテルへ帰ってきた。

 朝から行動を開始したにも関わらず、寒いのでホテルでごろごろしてしまい、再び街へ出たのは陽も暮れかかった午後4時過ぎ。ぶらぶらと宛ても無くさまよい歩いたが、なかなかいい雰囲気の町だ。そのまま歩きながら写真屋へ向かい、現像済みの写真をGet。オーロラの写真だけど、正直に言うとまぁまぁってところだった。

 夕食にまたまたパスタ(実は好物)を食べて、ホテルで執筆活動。今日はのんびり出来た1日だったきがするよ。

12/12 晴れ/曇り 自主制作映画? Venezia-Innsbruck夜行列車

 チェックアウトは12時だと思い込んでいたが、10時45分にフロントからかかってきた電話で目が覚め11時だと知った。15分前にそんなこと言われても出来るか!まぁ結局20分くらい遅れた急かされたが、特に問題はなかった。

 今日の夜行でヴェネツィアを発つので、荷物をホテルで預かってもらい市内観光。列車は夜10時43分発なのでそれまで時間がありすぎる。狭い路地をさまよったり、ヴァネツィアン・ガラスの土産物屋を冷やかしたり・・・それでも時間は余った。仕方ないのでインフォメーションで映画館の場所を聞き、夜は映画を見ることにした。

 とても小さな映画館で、見られる映画は2つ。ひとつは今大人気らしい「ハリーポッター」。もうひとつはイタリア映画で、上映時間の関係から後者のイタリア映画を鑑賞することにした。イタリアで見るイタリア映画はもちろんイタリア語のみで字幕も無い。客も15人程で、なんとも救いようの無いような「自主制作映画」っぽかった。言葉がわかればいい映画かもしれないが・・・さらに映画が終わった後に「監督」風の人が現れて、「何かご質問は?」というような展開に進みディスカッションになってしまった。確かに暇つぶしにはなったんだけど、疲れ過ぎたぞ(笑)

 苦労の末に時間も潰せ、ホテルから荷物をピックアップし駅へ。駅には各地への夜行列車を待っていると思われる人が結構いた。もちろんオレもそのひとり。今回は「クシェット」というベッド席(寝台より低ランクの席)を予約していたので、車両もシートも決まっている。ちなみにこの列車は途中で車両の切り離しがある。オレの乗ったのはミュンヘン行きなので、インスブルックに止まる。他にチューリヒ行きやニース行きの「部分」もあるので、椅子席の場合は気を付けないといけない。

 列車が動き出すと車掌がやって来る。そこでチケットとパスポートを預ける。クシェットだと、オレの降りるインスブルックの手前で車掌が起こしに来てくれるので、寝過ごしてしまうという心配は無い。そう思うと安心でき、今夜はぐっすりと眠り込んでしまった。もちろん椅子席だとそんなサービスは無いよ。

12/13 晴れ|雪 アルプスをナメていた・・・ Buchs/名前忘れた

 腕時計の目覚ましをセットしていたが、やっぱり車掌に起こされた。列車は定刻通り4時半にインスブルックに到着。待っていたのは白銀の世界だった。とにかく一面の雪。列車にも雪が積もっている。雪国出身ではないので、それだけで感動してしまう(^_^;;

 ここで乗り換えて、お次はリヒテンシュタインとの国境近くにある「Feldkirch」へ。今度は椅子席だが、たかだか2時間半なのでクシェットは必要ない。まだ陽は昇っていないが、雪だらけであることは容易にわかる。「Feldkirch」にも時間どおりに着いたが、インスブルックに比べて雪は少ない。部分的に残ってはいるが、白銀の世界という程でも無かった。でも、寒い。何度かは知らないが肌がピリピリするほどの寒さ。

 今度はここからリヒテンシュタインを経てスイスに入るが、目的地「Sargans」への列車は1時間半も待たないといけない。とりあえず「Sargans」までのチケットは買ったが、何も無い場所で時間を潰すのも辛いので、「Buchs」行きの各駅停車に乗り込むことにした。ちなみに「Buchs」は「Sargans」の少し手前にある駅で、スイス領内。5月にカブでこの国境を通過した時には、パスポートチェックがあったが、今回は無かった。ローカルの各駅停車だったからだろうか?

 見覚えのあるリヒテンシュタインの景色を眺めながら列車は走る・・・しかし、たった25分でその「Buchs」に到着してしまった。予想はしていたが、「Feldkirch」よりも質素な駅で、ここで時間を潰すのはさらに辛いので、今日はここで宿を取ることにした。駅前のホテル案内看板で駅から近くて安そうなところをピックアップしアタック。最初にアタックしたレストラン兼ホテルが、朝食つきで48CHF(約3,300円)とスイスにしてはお得だったので、ここで決定。

 ここの人は英語を話さないが、レストランで朝からビールを飲んでいるちょっと変わった親父(英語できる)が、話してくれた。掃除が終わるまでレストランで待つことになったが、その親父さんがコーヒーをおごってくれ打ち解けてしまった。彼はオレにスイスについて色々と興味深いことを教えてくれた。「スイスについてどう思う?きっと君はいいところだって思っているだろうけど、それはスイスのうわべなのさ・・・スイスの本質はそんないいもんじゃないんだよ」と5月にチューリヒのドクター田中氏がしてくれた話に通じるような内容だった。さらに彼の身の上話まで聞くことになってしまい、これがかなりヘヴィーな内容だった・・・(^_^;;

 「45分待ってくれ」ということだったのに結局2時間も待たされた。部屋に荷物を置いた後は少し休憩し、昼飯を軽く食べてリヒテンシュタインへ繰り出すことにした。

 明日は昼前からチューリヒに移動するつもりなので、リヒテンシュタインの前に時刻表を調べ、ついでに切符も購入。そうこうしているうちにリヒテンシュタインの首都「ファドゥーツ」行きのバスが来た。

 見覚えのある道路を走ると、とても懐かしい気持ちになる。あの時の自分が走った道路を今再び走っている。もっと思い出に浸りたい気分だったが、バスは終点の「ファドゥーツポスト」到着した。ここバス停はその名の通り、首都ファドゥーツの中央郵便局前。リヒテンシュタインと言えば、まず切手なのでここからスタート。相変わらず切手の出来は素晴らしく、文句のつけようが無い。今回も何種類かを購入したが、オレのややこしいリクエストに嫌な顔ひとつせず対応してくれた職員さんには感謝!郵便に力が入っているから、サービスも一流なのかもしれない。

 切手の後は街をぶらぶら・・・のつもりが強烈に寒い。しかも今度は雪が降り出し、まさに吹雪!道路は瞬く間に白くなり、気楽に歩ける状況ではなくなってしまった。仕方ないのでまたバスに乗り「Buchs」へ戻ってきた。出発した時は大した雪では無かったのに、ここも真っ白になっていた。やはりここはアルプスのふもとだということを痛感した。

 すぐにホテルへ戻ってきたけど、ベッドの上で寝転がっていたらいつのまにか眠ってしまった。夜行列車は寝ている間に移動できるが、結構疲れはたまる。7時頃目が覚めたが、夕食を食べに出て行っただけで、またまた眠ってしまった・・・


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