カブでヨーロッパ一周編

 イングランド南部化石発掘 自爆編 [イギリス] (2001/11/06-11/09)

・11/06 潮の干満
・11/07 無数のアンモナイト
・11/08 太古の恨み?
・11/09 なんと骨折・・・酒盛り準備するもののドクターストップ

通貨単位:£(ポンド)/1£=約175円


11/06 曇り 潮の干満 Folkestone/CHELSEA HOTEL/***km

 朝10時からWaterloo駅でレンタカーを借りることになっていた。インターネットで予約しているので、駅へ行くだけ。Waterloo駅はユーロトンネル(ドーバー海峡の海底トンネル)を通る国際列車の発着駅なので、フランス語での表示もある。レンタカーのオフィスが少しわかり難いところにあったが、予定時間前には到着した。

 今回借りた車は「FIAT PUNT」というイタリア製コンパクトカーで排気量1,200cc。動きさえすればいいのでこれで十分。初めての車は操作方法などがわからないことがあるが、ご多分に漏れずパワーウィンドウのボタンがなかなか見つけられなかった。さらにギアをバックに入れる時、シフトノブ下に付いているトリガーを引かなければいけないというのは苦労しまくった。この車は結構よく出来ていて高速を130km/hくらいで走っても全く不安感は無い。1,200ccでパワーは無いが小回りもきくし扱いやすい。ちなみにヨーロッパではほとんどの車(レンタカーを含む)はマニュアルなので、オートマしか運転できない人は厳しいぞ。

 そんな小トラブルもあったものの第1の目的地「Sheppey」海岸へ。ここはロンドン近郊の化石産地。数多くの化石が産出するらしい。

 目的地にはすぐに到着したものの海岸へ降りるのに一苦労。トゲトゲの草が生え茂る斜面を下る。鉱物や化石の採集は多くの場合イバラの道や崖を登ったり降りたりするのだ。いざ海岸へたどり着くが、これまた不運なことに満潮の時間と重なっていた・・・波打ち際を少し探したが波を警戒しないといけないので、本格的に探すことが出来なかった。小さな巻貝の化石を見つけたが、あまり大したことなかったので採集せず次なる目的地「Folkestone」へ早々と向うことにした。

 今は冬なので日没が極端に早い。夕方5時で夜という表現がふさわしい。Folkstoneはドーバーの近くなのですぐに到着したが、夕方になっていた。暗くなる前に宿を決めておきたかったので、案内看板に従いツーリストインフォメーションでまずホテルとB&Bのリストをもらう。1人あたり1泊12.5£(約2,200円)とイギリスではかなり安いと思われるホテルに泊まることになった

 宿を決めた後することは1つ。もちろん酒の調達である。オレは控えめに500mlのビール1本にしようと思ったんだけど、実くんの「1本は切ないでしょー」という誘惑に負け2本購入。言うまでも無いことだが、2本でもかなり切なかった(笑) 明日は3本か?

11/07 曇り/雨 無数のアンモナイト Lyme Regis/禁煙B&B/***km

 今日は朝から行動。Folkestoneも有名な化石産地でここでのターゲットは黄鉄鉱になったアンモナイトだ。どういうものかといえば、金属質になったアンモナイトの化石でなかなか美しい。そんなものが海岸を散歩するだけで拾えるというのはイギリスならでは。日本じゃなかなかこうはいかない。

 崖を下ることなく海岸線へ出て早速探す。天気が気になるが雨は降っていない。肝心の化石はというと・・・出て来る出て来る!全体が綺麗な金属質になっているものはかなり稀だが、アンモナイトの一部分やその他の化石が無数に転がっている。2時間くらい採集したところで雨が振り出した。1日粘ればいいのが見つけられたと思うが、合羽無しで雨の中は辛い。というわけで次なる目的地「Lyme Regis」へ車を進めることにした。

 途中、ストーンヘンジを横目に見て西へ進む。結構距離があるので到着は夕方になってしまった。宿のリストをもらいたかったのだが、かなりの田舎町のため、昼の2時までしか営業していないというふざけたインフォメーションで目論見は失敗。

 この町はイギリスを代表する化石産地なので町には化石店なんかもある。地元産の化石も多く取り扱っており、素晴らしい化石が並んでいる。そこのおばさんに近くのB&Bの場所を聞き、今夜はそこへ泊まることになった。禁煙なのが玉に傷だが、なかなかいいB&Bだ

 今夜の酒はビール2本とワイン。日本でワインというと高価なイメージがあるが、ヨーロッパは安くて美味しいワインが簡単に手に入る。明日の大猟を祈りつつ眠りについたが、翌日は痛い目にあってしまった・・・

11/08 曇り/雨 太古の恨み? London/実くんの部屋に居候/***km

 今日も朝から行動。ここも海岸でアンモナイトの化石を見つけることが出来る。昨日は金属質だったが、こっちはガラス質。綺麗な化石を昨日の店で見ていたのでわくわくしていた。

 昨日のように至る所で見つけられるというわけでは無かったが結構見つかる。やはり割れていない完全なものは稀だが、なかなか美しいものを見つけることができた。

 ここの産地にはひとつ問題があり、美しいアンモナイトを含む岩が非常に堅いということだ。ハンマーで叩き割って化石を見つけ出すのだが、なかなか一筋縄ではいかない。気合を高めて割ると、肝心のアンモナイトも一緒に割れてしまったりと難しい。ハンマーで石を割るときの注意事項の第1条は「自分の手を叩かないように注意すること」なのだが、そんなことも気にせず夢中になって割りまくった・・・

 そう。やってしまったのである。石ではなく左手親指の爪の部分を強打!手袋をしていたがその手袋から血がにじみ出てきた・・・とにかく痛いので化石採集は諦め、すぐに町の薬局へ向うことにした。

 薬局で親指を見せると「あぁ、ハンマーでやっちゃったのね」と速攻で見破られてしまった(笑) やはりここは有名な化石産地だから、こういうアホが後を絶たないのだろう。とりあえず消毒薬と包帯、痛み止めを購入した。

 この状態で化石を採るわけにもいかないので、実くんと相談の結果ロンドンへ戻ることへなった。ここで化石を採った後、さらに西へ向い「Land's end」という面白い地名の岬へ行く予定だったがそれも切り上げ。「Land's end」はまたの機会ということになってしまった。

 高速を使っているとイギリスは狭いと感じる。昼過ぎにLyme Regisを出発したが、午後8時にはロンドンへ戻ってきた。明日は朝から医者へ行くことにしよう。しかし自分の手をハンマーで叩くとは、我ながら情けない・・・これは太古の昔に土に埋まり化石になったアンモナイトの安らかな眠りを妨げた呪いとしか考えられない(笑)

11/09 晴れ/曇り なんと骨折・・・酒盛り準備するもののドクターストップ London/実くんの部屋に居候/***km

 朝9時に病院の予約を入れる。日本人病院なので予約も全て日本語だ。幸いまだ手元にレンタカーがあったので、車で病院へ行くことにした。病院はわかりやすい場所にあり、予約を入れた10時15分の少し前には到着した。

 医者も日本人で、アンモナイトに呪ろわれた事情を説明したら笑われてしまった。イケてないことに今はレントゲンの現像機が故障中らしいく、来週もう一度来なければいけなくなってしまった。骨折の可能性も否定できないのでしっかり調べようということだ。

 一旦実くんの部屋へ戻り、今度はレンタカーの返却。明日まで借りることにしていたが、ロンドンでは駐車場代もバカにならない。そういうわけで1日早く返すことにしたのだ。

 レンタカーを返す直前に実くんの携帯のベルが鳴った。今朝行った病院からでレントゲンの現像機が直ったらしい。来週ってのは何だったんだ?と思ったが、今日の夕方でもいいというので夕方4時に予約を入れることにした。

 それまでは時間があったので、実くんオススメだというスコッチウィスキー「KNOCKANDO」を買いにいくことにした。中心街近くにあるウィスキーを専門に扱う店で買ったが、700mlのボトルが23£(約4,000円)。日本でも一部のバーでは飲めるらしいが、かなり高価なウィスキーらしい。今夜の酒盛りの準備も整い、再度病院へ。

 病院へ到着するやいなやレントゲン室に案内された。角度を変えながら数枚撮影。結果は・・・なんと骨折。骨折と言っても腱(指を動かす為に筋肉と骨格をつないでいる部分)よりも先の部分が欠けている感じなので、医者が言うには放っておけばいいらしい。添え木をしていたほうが治りが早いらしいので、午前中の処置の上から添え木をあててもらい、包帯でぐるぐる巻きにされてしまった。さらに医者は一言付け加えた「爪からまだ出血してるから、酒は止めてください」・・・これは痛すぎる。ここへ来る前に買った「KNOCKANDO」の気持ちはどうなんねん!

 結局骨折という結果だったので、一週間後の金曜日にまた病院へ行くことになった。またレントゲンを撮って治り具合を見るらしい。「待ってる間にアイルランドへ行ってきてもいいよ」と医者は言っていたが、親指がつかえないのは不便なのでもうしばらく実くんの部屋で居候させてもらうことになった。

 今夜は医者の指示に従い禁酒。禁酒なのはオレだけで、実くんは「KNOCKANDO」を「これこそ命の水やわぁ」堪能している。悔しい気持ちでいっぱいでゲームに励む。いつの間にやら「KNOCKANDO」の1/3が消えうせていた・・・


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