カブでヨーロッパ一周編

 ドナウの流れと共に [オーストリア・スロヴァキア・ハンガリー] (2001/10/08-10/13)

・10/08 国境内は免税天国
・10/09 キノコ博物館
・10/10 プラマイゼロの1日
・10/11 アウトドア用品店巡り
・10/12 恐怖の温泉体験
・10/13 日本人宿を出発!

通貨単位:OS(シリング)/1OS=約8.1円 SK(スロヴァキアコルナ)/1SK=約2.6円 Ft(フォリント)/1Ft=約0.42円


10/08 曇り/晴れ 国境内は免税天国 Wien/Jugendgastehaus Wien-Brigittenau(ユース)/321.6km

 ウィーンまでの距離を考え朝10時には出発するつもりだったが、何故か出発は11時半。こんなことでは着くのが夜になってしまうぞ・・・と思っていたが、やはり夜になった(笑)

 チェコからオーストリアへと国境を越えたのだが、今日の国境は今までには見たことが無い「国境」だった。EU圏内を除いて、普通国境を越えるには2つの「ゲート」を通過しないといけない。もちろん、ひとつが「出国ゲート」でもうひとつが「入国ゲート」なんだけど、この間には狭い場合で数十m、広い場合で数kmの距離がある。その区間はどちらの国でも無い(有る?)ことになっているので「免税」が適応される。チェコ-オーストリア国境はその数kmの間に各種免税店、レストラン、カジノ、両替所、果てはモーテルまであり驚いてしまった。「ミニ・アンドラ」という言葉がぴったり当てはまる感じだった。

 免税で飯を食いたかったが、日没の時間が迫っているのでそそくさと通過。そういえば、給油時にペットボトルのコカコーラを2本買ったが、その値段がおかしかった。チェコでは「19Kc(約60.8円 )」、オーストリアでは「19OS(153.9円)」。同じ「19」でも違いすぎる。やはりオーストリアは物価が高い!というよりチェコは安かった!

 結局午後7時頃ウィーンにたどり着いた時、あたりはもう真っ暗になっていた。ドナウ川沿いに見つけたでかいユースにチェックインしたが、かなり疲れた1日だったよ。

10/09 曇り|晴れ キノコ博物館 Bratislava/HOTEL DEVIN/79.6km

 ウィーンには1泊だけで、今日はさらに国境を越えスロヴァキア入り。少し前にパスポートの「スタンプを押される場所」について書いたけど「オーストリア出国」のスタンプは予想外のところに押された。なんとポーランドの入国・出国スタンプの真上に重ねて押しやがった・・・EU諸国のスタンプがちょっと大きいのはわかるけど、いい加減過ぎやしないか?さらにテキトーに押しているので、どこの国境を通過したかがスタンプから読み取れない。まぁ別にいいんだけどね(^_^;;

 そんなわけで、スロヴァキアの首都、ゆっくりと流れるドナウ川沿いの町「ブラチスラヴァ」にやってきた。ウィーンからの距離はしれているので昼頃到着し、電話付きのホテルにチェックイン。宿を決めた後は市内観光。まず国立博物館で鉱物コレクションを観賞。どこでもそうなのだが、国立博物館には鉱物以外にも様々な分野の展示がある。ここの目玉は「キノコ」のコーナー。「生もの」である「キノコ標本」を展示するというわけにはいかないので、模型を展示していたがこれが非常にリアル。ブヨブヨしてそうな感じを実に良く表現していた。さらに特設展示もこの「キノコ」だったのだが、こっちは「生もの」のキノコの展示だった。でも展示というよりは「市場」で、発泡スチロールのトレイに山からとってきたキノコを並べているだけ(笑) もちろん手でさわることも、においを嗅ぐことも出来る。さらにお土産コーナーもおかしくて、キノコのカレンダーやポストカードはわかるけど、瓶詰めのキノコの水煮や栽培用の胞子まで売っていた。これじゃ「博物館」というより「農協」だよ(笑)

 ちなみにスロヴァキアはオーストリアと比べてもちろん物価が安い。日本にハガキをエアメールで送る場合の切手代が12SK(約31円)にはびっくりした。もちろん飯も安いので、夕食は腹いっぱい食ってやったぞ。

10/10 晴れ プラマイゼロの1日 Budapest/スーザンの家/191.1km

 スロヴァキアは狭いので、昼前に出発したが昼過ぎにはハンガリーに入った。スロヴァキア出国前にガソリンスタンドで非常に腹が立った以外は問題なく快調に走ることが出来た。

 その腹が立った話を書いておこう。ハンガリーへ入る前にガソリンを満タンにしておこうと思い道路脇のガソリンスタンドに立ち寄った。そのスタンドというのがいい加減な店。給油ノズルが壊れているのを修理すらしていない店で、そのおかげでガソリンがこぼれやがった。ヨーロッパのスタンドはセルフ方式なので、ガソリンがこぼれた時用に紙を常備しているのが普通なのだが、その店は怠慢で紙が無かった(ペーパーホルダーが3つもあるのに3つとも切れていた)ので、「紙か布かその類の拭くものをくれ」。というと「無い」と抜かしやがった。店にいてるのだからティッシュくらいはあるに違いないし「オレの不注意ではなく、あんたんとこのノズルが壊れてたこぼれたんやから、紙を出すのが礼儀ってもんやろう!」と言い返しても頑としても動かなかった。オレはそういう理不尽なのは大嫌いで、こういう態度をとる店員が許せ無かった。とはいえどうにもならないので、配布用の広告用紙を2、3枚持っていってこぼれたガソリンを拭いた。するとその店員は店の奥からピストル(多分本物)を持ってきてちらつかせながら「文句あるのか」というような感じで何か言って来た。「当たり前じゃ!文句無いわけがないやろ!」と言い返してやりたかったが、こんなことでピストルを出してくる奴は狂っているとしか思えない。とはいえピストルを見せられたくらいで逃げ腰になるのは、腹の虫が収まらない。だから「もう、さっきの紙で拭いたからええわ!」と強く言い返してから、その店を去った。納得はいかないが、こんなところで「旅も命も The END」ってのはもっと納得いかないし(^_^;;
 今思い出しても腸が煮え繰り返る思いだが、そういう人間1人のためにスロヴァキアを悪く思いたくはない。スロヴァキアはのんびりしている楽しいところで、いい人も多かったし。

 それはさておき、今日のお宿はバックパッカーならみんな知っているブダペストの日本人宿。「ヘレナ」に行ったのだが、満員のため同じビル内で姉妹がやっているという「スーザンの家」に泊まることになった。客はもちろん日本人オンリー。毎日これでは海外に居る気がしなくなりそうだが、たまにはいいもんだ。

 元コックだという原田さんが作った最高に美味い親子丼を頂いた後は、宿泊者達と「オペラ」へ行くことになった。オレは今まで「オペラ」というものに行ったことが無かったのでこれが初体験ということになる。右写真の仰々しい建物が「国立オペラ劇場」(後日撮影)。ロビーにいる客はみんないい格好をしていて、金持ち以外は立入禁止という空気が流れている・・・でも笑ってしまうのがその料金。もちろんオレ達は一番安いチケットを買ったのだが、なんと1人600Ft(約250円)。

 その日のオペラは3回の休憩をはさみ全部で4幕まであり、上演時間は3時間以上。安いチケットでもしっかり見えたし、言葉はわからなかったけどストーリーはなんとなくわかった。1つの舞台で多くの人が歌い演じる様は優雅で、オレには不釣合いな気がしたけどかなり楽しかった。終わりよければ全て良し。これで今日はプラマイゼロになったかな。

10/11 晴れ アウトドア用品店巡り Budapest/スーザンの家/0km

 日本人宿の夜は遅い。色々と喋っていて寝たのは朝方。もちろん今日の行動は昼からになってしまった。

 ブダペストへ来た目的の1つとして、寒い冬に備えてハイカットのトレッキングシューズと暖かそうなジャケットの調達。それと6月にパリで買った靴下が2足とも破れてしまったのでそれも新調したかった。同じ宿の出町さんも冬に備えてジャケットを買うつもりだったと話していたので、一緒にアウトドア用品店を巡ることになった。宿の情報ノートから何軒かをピックアップし、徒歩でブダペスト中を歩き回ったがさすがに疲れた。左写真は町の一風景。人通りが絶えないかなり賑やかな町だ。

 大きな町だけに店の方はなかなか良い品揃え。日本ではあまり有名では無いけど、オレのお気に入りである「GARMONT」というイタリアのシューズメーカーの物が何種類かあったのだが、手持ちの現金が無かったので冬に備えて厚手のクールマックス(化繊の一種)の靴下2足だけを購入。それでも所持金が危なかったのでカードを使ったのだが、今考えたらシューズも一緒にカードで買えば良かった。相変わらずのマヌケっぷり。ジャケットに関してはそれ程おいしい値段では無かったので買う気がしなかった。いざとなればライダースーツを着れば問題ないしね。

 今日やったことはそれだけで、少し勿体無い時間の使い方をしてしまったな・・・

10/12 晴れ 恐怖の温泉体験 Budapest/スーザンの家/0km

 予定では今朝ここを発つつもりをしていたけど、ブタペストに居るうちにやっておかないといけないことがあった。昨日見た靴を買いたいというのと、さらにもうひとつ。ハンガリーで有名なものと言えば「温泉」。日本人であるからして、温泉には入らずしてここを発つことは出来ない。

 もちろん今日も行動は昼から。全く懲りていない(笑)

 温泉は出町さんと夕方から行こうということになったので、まずはシューズ。切符の買い方が異様にややこしい(1路線利用の乗り換え無しで3駅までなら70Ft、3駅以上は100Ft、乗り換え1回で5駅までなら150Ft等々。さらに頻繁に検札があるので間違えるわけにはいかない・・・いい加減にして欲しいぞ)メトロを利用し昨日の店へ。4つ目の駅がその店の真上になるはずなのに、どういう訳か1つ先の駅に着いてしまった・・・

 大通りを引き返し、まず昨日目をつけていたGARMONTの1モデルを履いてみるが、ソール(靴底)の角度がオレの好みと微妙に合わない。やはり欧米人にあわせて設計しているからだろうか?(ちなみに日本で売っているGARMONTの靴は日本人用に設計している)
 仕方が無いので他を物色しているうちにドンピシャのものに当たった。「LA SPORTIVA」という同じくイタリアのメーカーのもので、つま先もソールも問題なし。坂道を登るときも下る時もいい感じだったので今日はカードで購入。気になるお値段は約40,000Ft(約17,000円)とかなり高いが冬を考えるとやはり必要だろう。日本なら幾ら位なんだろうなぁ・・・そもそも日本で売ってるのか?「ZERMATT」というモデルなので知ってる人がいたら教えて下さい。

 時間もまだあるので市内を散策。ドナウ川沿いを歩いてみたり、露店の土産物屋を冷やかしたりするのもなかなか楽しい。

 いよいよ温泉の時間がやって来た。2人では心もとないと思っていたが、ヘレナに泊まっている安彦さんも一緒に行くことになったので心強い。ブダペストには何箇所も温泉があるが、オレ達が選んだのは「キラーイ温泉」というところ。ここは「ラダシュ温泉」と並び「あること」で有名な温泉で、ここを知らないことにはブダペストは語れないからだ・・・そう、ここは「ゲイ」の社交場として有名なところなのだ。もちろんオレにその気はないよ(笑)

 今朝ブダペストを発った元コックの原田さんは、脱衣場でいきなり「ハリウッド級」のホモに出くわしたとのこと(笑) そんな話を聞いていたのでかなりビビっていたが、脱衣場には違和感はなかった。そこで「怖いもの見たさ」で来たという「テレザ(別の日本人宿)」に泊まっているチャリダー(自転車で旅をしている人)と知り合い、4人で一緒に大浴槽へ・・・ここから先は書くことが出来ない。全員がゲイというわけでは無いが、かなりヘヴィーなところだった。ここへ行こうという人はそれなりの心構えをしていってください(笑)

 そんなこんなの1日だったが、今日は充実していたかな(笑)

10/13 晴れ 日本人宿を出発! Nagykanizsa/SZOBA KIADO PRIVATZIMMER CAMERA/225.6km

 ここ数日、天気は快晴でちょっと暑すぎる位。バルト三国は相当寒かったが、南に来たからか天気がいいからなのかかなり暖かい。日中ならフリースが必要ないのは街歩きには助かるがライダースーツには暑過ぎる。走行中はいいんだけど、荷物を運ぶと汗びっしょりになってしまう。

 だらだらと居てしまいそうな日本人宿だったが、そんな時間は無いので今日は気合を入れて出発。

 10時出発を目論んでいたが、目論んでいただけだった(笑)
 今日はクロアチア方面へ向い、ハンガリー内でもう一泊するつもりをしていたので、やはり出発は昼になった。親切にも見送ってくれて、それだけでなく荷物を運ぶのまで手伝ってくれた。

 ドナウ川を外れて南西方向へ進んだので、眩しかったことを除けば道中は至って平穏。何も無い平原にどこまでも続く直線の道路やキラキラと光る湖畔の道路、一面に畑が広がっているところなど。天気のいい日にのんびりと走るのは気持ちがいいもんだ。

 国境の30km程手前の町「Nagykanizsa」にはまだ日が高いうちにたどり着いた。今日の宿は住宅街にあるB&B。周りにスーパーやレストランが無いのが難点だが静かないいところで、のんびりと近所の黒ネコを撫でたりして遊んでいるうちに日も暮れてきた。

 ここからクロアチアの首都ザグレブまでは近いので数時間あればたどり着けるだろう。ということは明日も昼出発かな(笑)


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