カブでヨーロッパ一周編
バルト脱出計画 [リトアニア・ラトヴィア] (2001/09/29-10/02)
・09/29 フェリーが無い!
・09/30 日曜日の「クライペダ」
・10/01 ラトヴィアの港から
・10/02 退屈な船内通貨単位:Lt(リタ)/1Lt=約30円 Ls(ラット)/1Ls=約195円
09/29 曇り/雨|晴れ フェリーが無い! Klaipeda/VIESBUTIS GODUNAS HOTEL/343.4km
昨夜も迫さんとビールで乾杯。寝たのは2時過ぎだったが、気合で朝10時には荷造りを終えた。「さぁ、出発!」とまずGPSの電源ボタンを・・・電源が入らない。以前ポルトガルでも同じ事があったので、その時の原因だったヒューズを疑ったが問題なし。乾電池を入れると動いたので本体も問題なし。ということは、コードのどこかが断線していることになる。テスターがあれば断線のおおまかな場所が特定できるが、そんなものはもちろん持っていない。どうしようもないし、今日のルートは一本道なのでGPS無しで出発した。
延々と続く殺風景な郊外の道路を走るが、かなーり寒かった。防寒インナーをつけている完全装備のライダースーツなんだけど、やはり走ると冷えてくる。先日のスモークサウナで水温5度くらいの川に飛び込んだのが原因かもしれないが、ヴィリニュスで「風邪」をひいてしまった。熱は無いしのどの痛みはすでに治ったので大したことはないだろうけど、鼻詰まりが気になる。
今日の目的地はバルト海沿岸の「クライペダ」という町。ここからドイツの「Mukran」へフェリーが出ているらしい。「KLAIPEDA IN YOUR POCKET」という情報誌の最新版にもフェリーが就航していると書いてあったし、フェリー会社のホームページには9月と10月の最新版時刻表(偶数日16時30分クライペダ発)まで載っていた。ちょうど明日がその「偶数日」。
寒さを堪え、夕方4時半頃「クライペダ」へ到着。明日のフェリーの予約をしておきたかったので、宿を決めてからすぐフェリー乗り場へ向った。途中まで看板はあったが、途中で無くなるのはいつものこと。人に聞いてなんとかたどり着いたが、とてつもなくデカい港だ。
で、受付のおばさんに「明日の夕方の船でMukranへ行きたい」と告げると、「Mukran行きは乗客は載せられない」とぬかしやがった。意味が判らないので問い詰めると今年の6月まではあったけど、今はカーゴだけしかダメらしい。「あんたんとこのWEBサイトに9月10月の予定として書いてあったぞ!」と言っても「それは古い情報ね」と一言。何の為のWEBサイトやねん!むちゃくちゃ腹が立ったが、怒りを抑えて今度は作戦変更。「オレのバイクは立派なカーゴで、オレはその乗務員や」と言ったが「不可能ね」とまた冷たい答え。「なんとかゴリッとやってくれ」と言っても全く融通がきかない・・・
仕方ないので、違う方法を考え無いといけない。ここから他にドイツへ行くフェリーは「kiel」着のが今晩23時59分発と明日日曜の朝10時発、その次は月曜の23時59分にあるしい。オレはベルリンからチェコへ抜けるつもりをしているので、ドイツでも西の方にある「Kiel」ではうまみが無い。他の航路を調べると、ここから北約100kmの「Liepaja」というラトヴィアの港から「Rostock」行きが出ているようだ。Rostockからだとベルリンまで1日の距離。火曜日の午前2時発で水曜日早朝着の便があるようなのでどうしたもんかいな・・・
実を言うとこれだけ把握するのにかなり苦労した。おばさんの英語は上手かったのだが、頭が悪い(失礼!)。オレは「とにかくドイツへ行きたい」という意思表示をしているのに、オレの「Kiel行きの次のフェリーはいつ?」という問いに「クライペダは木曜日」と答えやがった。もちろんオレは「クライペダ発は木曜日」と理解した。Kiel行きはメジャーな航路なのでほとんど毎日出ているはずだと疑わしく思い、スケジュールを見せてもらった・・・やはりスケジュールにはほとんど毎日発になっているではないか。「何が木曜日やねん」というオレの次なる問いに、「クライペダが木曜日。サンクトペテルブルグは何曜日。ヴィリニュスは何曜日。」と答えた。ここでようやく謎が解けた。「クライペダ」「サンクトペテルブルグ」「ヴィリニュス」は船の名前だった・・・船の名前なら「the Klaipeda」と言え!どう見ても旅行者であるオレが「次のフェリーはいつ?」と聞いたのに、「今夜発のクライペダ号が次に来るのはいつ?」と理解するとはタダのアホとしか言いようが無いぞ!「とにかくドイツへ行きたい」と言っているのに、「クライペダ号」にこだわってる訳無いやろ!さらに「月曜日の23時59分発のフェリーはいつKielに着くのか?」という問いにも「木曜日の早朝。30時間の航海です。」との答え。???「木曜日の早朝ということは50時間以上かかってるやろ!」と言い返しても「間違いなく木曜日の早朝です」と言う。本当は水曜日の早朝だったんだけど、計算する力も足りないようだ・・・
このおばさんとの対応に疲労困憊。その後に、強烈に寒い真っ暗の道をカブで疾走し宿まで帰った。鼻が両方とも詰まっている。とりあえず風邪薬を飲んでおこう・・・
09/30 晴れ 日曜日の「クライペダ」 Klaipeda/VIESBUTIS GODUNAS HOTEL/0km
風邪の調子はいまひとつ。とはいえのども痛くないし、熱は出てないので薬を飲んでいればじきに治るだろう。
昨夜色々と考えた結果、明日月曜日に「Liepaja」へ移動し、そこから「Rostock」へ渡ることにした。早朝着なので水曜日中にベルリン入りできるだろう。でもあのおばさんの話だから「そのフェリーもカーゴのみ」なんて結末では無かろうか・・・一抹の不安は残るんだよね(^_^;;
というわけで今日はクライペダの観光。天気はいいが寒い。また今日は日曜日で店もほとんど閉まっている。普段、広場には琥珀売りの露店が出ているらしいがそれも休みだった。掘り出し物を探すつもりだったのに残念。またここには沖に砂州があり、そこにあるという海洋博物館へもフェリーに乗り行ってみた。ガイドブックには「規模が大きい」と書いてあったが、実際はそれ程でも無い。バルト三国では大きいのかも知れないが、星2つってところだね。砂州からは巨大な港が見え、積荷最中の船を見ることが出来た。
日曜日でもやっているものといえば「市場」。この町にも市場があったのでそっちの方はまずまず楽しめた。野菜や果物、日用品や衣料等々。やはりバルト三国の物価は安い。スイカも1kgあたり約30円。とはいえかなり寒いので、スイカを食べる気にはなれないけど。
市場だけでそう何時間も潰せるものでもないので、早々と宿へ帰ってきた。ホームページのデータもたまっていることだし、アップしておこう。
10/01 曇り/雨 ラトヴィアの港から Liepaja - Rostock フェリー上/Scandlines/125.9km
フェリーは深夜2時発。クライペダからリエパーヤまで100km程の道のりなのでのんびり出発。チェックアウトを12時に済ませ市内をうろつく。昨夜雨が降ったようで地面は濡れていたが、雨は降っていなかった。まず琥珀を求め広場へ行ったが店は一軒も出ていなかった。もうシーズンが終わったということかもしれない。かなり寒いし、観光客も全然見かけないからね。何もすることも無いので午後2時頃リエパーヤを目指すことにした。
リエパーヤはラトヴィアにあるので国境を越えないといけない。今まで出国時にチェックなどなかったが、リトアニア出国時にはパスポートとカブの登録証を見られた。ラトビア入国時にはそれだけでなく、グリーンカード(保険)の提示と振り分けバッグの中身まで見られた。これまた都合悪いことに、薬をいれていたビニール袋が入っていたのでちょっと面倒なことになった。あまり英語が通じないので説明がなかなか伝わらない。身振り手振りでなんとかわかってもらえた(あきらめてもらえた?)ようだが、疲れてしまった。
小雨が振る視界の悪い中、ひたすら一直線の平坦な道路を走る。5時頃リエパーヤに入ったが、フェリー乗り場を見つけるのにはやはり苦労した。大きな分岐(4つ角)までは親切に看板で導いてくれたのに、その分岐には看板が無い・・・最初は直進しハズレ。次に左折してこれもハズレ。最後に残った右折もハズレ。じゃぁ、どれが正解やねん!とキレそうになったが引き返してみると逆方向に看板があった。これでは港へたどり着けるわけ無いやろ!
港のオフィスでRostock行きを告げると、「8時からチケット売り場が開くからそれ以降に来てください」と言われた。まだ2時間以上あったので残ったリトアニアリタをラトビアラットに両替し、雨の振る中市内へ。この町もご多分にもれず「旧市街」がある。うろうろするうちに迷い込んだが、雨の日の石畳の道は非常に滑る。おまけに視界が悪いので路面の凸凹がよく見えない。何回かコケそうになったが(内1回はマジでやばかった)なんとか耐えた。
こんな状態なので観光どころでは無く、ガソリンスタンドで給油後、併設の喫茶店でコーヒーを飲んで時間を潰した。今回コインはお菓子とジュースを買い込み完全処分に成功。ちなみにリトアニア出国時にはタバコで完全処分できた。
客がオレひとりという状況ではそう長くも居られないので、7時頃には港へ戻ってきてしまった。1時間後ようやくチケットを購入し残った紙幣をドイツマルクへ両替(ドイツのフェリー会社なので船内はマルクで支払う)。端数がラトビアのコインで返ってきたが、自販機でジュースを買い再び完全に処分。船に乗り込むのは10時半以降とのことなので、さらに2時間半も持て余すことになった。ふと外を見てみると小雨だった雨が大雨になっている・・・おまけに風もかなり強い。
ところでここ「Liepaja」は日本と関係がある港なのだ。時は日露戦争、1905年に対馬沖で日本海軍に大敗したロシアの第二太平洋艦隊(通称バルチック艦隊)はここから出港していった。この戦い(日本海海戦)は近代海戦史上まれにみるワンサイド・ゲームとしてトラファルガーの海戦(1805)と共に有名で、指揮を取った東郷平八郎の名は「東洋のネルソン」として世界に知れ渡ったそうだ・・・こんなに遠いところから日本へ向かっても、たどり着いた頃には戦う気力なんてどこにも残って無かった気がするんだけどね・・・
風は相変わらずだが雨が止んだのは助かった。出国手続き(パスポートチェックと出国スタンプ、登録証とグリーンカードの確認)を済ませ、フェリーに乗り込んだのはラトヴィア時間で午後11半。12時開店の船内のバーでビールを飲むうちに夜も更けていき、フェリーはラトヴィアの港から出港していった・・・
10/02 曇り/雨 退屈な船内 Liepaja - Rostock フェリー上/Scandlines/0km
今まで何度もフェリーを利用したが今回が1番質素。というのもこの航路は基本的に長距離トラック用で、観光客はほとんど利用しないから。客が少ないのでデッキ席は無く、トイレ・シャワー付きのキャビンが1人1室。それは快適なんだけどね。
それから風の影響でかなり揺れているし、天気も良くないので見渡す限り水平線。
とにかく退屈な船内・・・娯楽設備は小さなバーがひとつあるだけ。レストランも無く、食事は給食スタイル。お盆を持って並び、おばちゃんが皿に入れて渡してくれる(笑) ちなみに料金はフェリー代に含まれているので食べ放題。
バーで昼間からビールというのも悪くないが、正直それだけでは時間を持て余してしまう・・・朝飯を食べて寝る、昼飯前に起きて食後は昼寝。夕食の後も睡眠。一日中寝ていた気がする(笑)
ちなみに今までで一番豪華だったのは、バルセロナ-ジェノバ間の長距離フェリー。巨大なフェリーでバー、レストラン、カジノ、映画館、プールと何でもあった。次に豪華だったのは、ストックホルム-ヘルシンキ間。豪華であればある程お金を使うので、これくらいがいいのかもしれないけどね。