カブでヨーロッパ一周編

 ヴィリニュス滞在記 [リトアニア] (2001/09/22-09/28)

・09/22 日没後「ビリニュス」着
・09/23 刻まれた記憶
・09/24 出発できない
・09/25 だらだらするのも悪くない
・09/26 「おでん」を作るゾ!
・09/27 感動!スモークサウナ
・09/28 日没の時間

通貨単位:Lt(リタ)/1Lt=約30円


09/22 曇り|雨 日没後ヴィリニュス着 Vilnius/OLD TOWN HOSTEL(ユース)/302.2km

 ヨーロッパをバイクや車で走るには「グリーンカード」と呼ばれる保険に加入していなければならない。マダガスカルから帰国後にパリで再度買ったグリーンカードは西ヨーロッパだけをカバーしているものだったので、エストニア・ラトヴィアの入国時にはその国用の短期保険を買った。しかし情報によると、西ヨーロッパ諸国以外では、全ヨーロッパで通用するグリーンカードが買えるとのことだった。都合よく滞在していた電話付きのホテルの1Fに保険会社の窓口があったのでダメもとで聞いてみると、当たり前の用に買うことが出来た。旅程を考えて3ヶ月有効のものを買ったが、値段は激安。パリでは同じ3ヶ月のものが約25,000円だったのに、リガではなんと約6,000円。保証内容については良くわからないが、まぁ似たようなもんだろう(笑) これでとりあえずこの旅の終わりまでの保険の確保はできた。ちなみに全ヨーロッパとはいえ除外国もあり、ラトヴィア(自国だから?)、リトアニア、ユーゴスラビア、モロッコ、イラクなど。

 その保険屋のお姉ちゃんが、日本のパスポートやその他の書類を珍しがって「見てもいい?見てもいい?」と興味深々に問うので、保険の購入だけで一時間もかかってしまった(笑) そんな訳で12時過ぎに出発。ラトヴィアは1時間進んでいる為、リトアニア時間では11時過ぎということになる。市内から国道へ出るのに少し道に迷いはしたが、親切な人が詳しく道を教えてくれたので大して時間のロスは無かった。

 しかし今回は国境を越える時にカスタムでいちゃもんを付けられた。何も申告するものは無いので「Nothing」と言ったが「カードを見せろ」とか訳のわからんことを言う。オレが「何のカードやねん!」と言うと「カードやカード」とよくわからん。「だからー・・・何のカードなんか教えてくれ!」と力強く言い返すと「そんなもん知るか!」といって諦めてくれた(笑) 意味不明のやりとりだったが、印象は良くなかったぞ。

 でも、リトアニアに入るとそんな気分もすぐに吹き飛んだ。道路沿いには多くの子供が遊んでいたが、遠くから走って来るオレを見てみんな大声で何かを叫び手を振ってくれる。もちろんオレもそれに応えたが、ほのぼのしていてなんだか嬉しくなった。

 予定通り途中の大きそうな町で宿を探すが、宿が見つからない。探し方が甘かっただけだろうが、時間もまだあったのでそのまま先へ進むことにした。道路が途中から高速道路に変わり、そのままヴィリニュスへ向かう。この国の高速道路は今までとはちょっと変わっている。普通高速に入る前には歩行者と自転車・モペット禁止の看板があるのだが、それが無い。でももちろん歩行者なんて居るはず無いと思っていだが、ところがどっこい!路肩でキノコや果物を広げて売っている人や、歩行者、自転車に乗った子供まで走っているのだ・・・

 そんなわけで日没後まで走り、結局「ヴィリニュス」まで来てしまった。駅の近くにユースがあるということだったので、まず駅を目指す。町の中には駅への標識があったので、無事ユースへたどり着いた。

 夕食はここに宿泊していた東大生バックパッカーの2人組からパスタをご馳走になった。ちょっと塩辛かったが、腹いっぱい食べさせてもらった。もちろん酒もいただき、いい気分で眠ることができた。

09/23 曇り|雨 刻まれた記憶 Vilnius/OLD TOWN HOSTEL(ユース)/0km

 昼前から、東大生パッカーと共に近くの青空市場を散策。野菜や果物、肉が中心だが、リトアニアは蜂蜜が有名な国なので、蜂の巣から作ったロウソクが売られていた。彼らはこれからカウナスという少し東にある町へ向かいその後ワルシャワへ向かうらしい。

 彼らと別れた後は市内観光。この町にも旧市街と新市街があるが、いい加減「旧市街」も飽きてきたというのも事実なんだけどね(^_^;;

 旧市街はやはり似たようなものだったが、新市街にはいくつか興味深いものを見ることが出来た。そのひとつが左写真の国会議事堂。まわりに張り巡らされたコンクリートのバリケードがわかると思う。これは1991年1月、旧ソ連軍武装部隊がヴィリニュスを取り囲んだ時、非武装の市民が命を掛けて議会を守ろうとした時のものだ。バリケードの一部はそのままで保存されており、当時の落書きまで見つけることができる(マウスカーソルを右画像の上へ持っていってみよう)。
 この落書きはパリのメトロに書かれているものとは本質的に異なることは言うまでも無いこと・・・これも年々色褪せて薄くなっているようなので、あと10年も経たない内に読めなくなってしまうだろう。でも彼らの心に刻み込まれた記憶はいつまで経っても消えるものではないのだ。

 さらに「工芸博物館」へも行ったのだが、ここに展示されている「秘宝」には面白い逸話がある。かつてこの町のカテドラルには多くの宝物があったのだが、第二次大戦の勃発と同時に忽然とその姿を消した。そこである専門家グループが極秘に調査を行い、1985年にカテドラルの壁の中から時価1億USDというとんでもない秘宝を発見した。しかしこの事実を公表してしまうと、それらの秘宝はソ連に持って行かれることは言うまでもないことだった。そこで彼らはその秘宝をリトアニアが独立するまで隠し通した・・・

 彼らの願いがかない、独立後の1998年にそれらの「秘宝」はその存在が明らかにされ、今日その一部がここで公開されている。右写真がその秘宝。ちなみにこの写真はテレカを接写したもの(撮影禁止だったからね)。

 この国のいくつかの歴史に触れた気がした1日だった。

 夜はドイツ在住ポーランド人バックパッカーのグレゴリー(職業はドイツ料理のコックらしい)とイギリス人パッカーのガラスとともにパブでビール。ジョッキ1杯で約1USDなのははまりそうだ(笑)

09/24 晴れ|曇り|晴れ 出発できない Vilnius/OLD TOWN HOSTEL(ユース)/0km

 ヴィリニュスから少し離れたところに「トラカイ」という城のある町があるらしい。今日はそこへ行くつもりだったが、なんとなく気分が乗らず行かなかった。グレゴリーと一緒にスーパーへ行き、その後は旧市街の露店で琥珀を物色。ルーペを取り出し、ひとつひとつ入念に品定めしていく。昆虫が入っているものは有名なんどえよく見かけるのだが、植物(木の皮や芽、草など)が入っているものは非常に珍しい。しかしひとつの露店でその植物入りを見つけた。ここで小さい標本だが、蚊が数匹入っているものを3個と木の皮入りと草入りをそれぞれ1個の合計5個を購入。もちろん値切って80Lt(約2,400円)。この国で2,400円はかなりの額だが、日本で買うと蚊が1匹だけ入っている小さい琥珀でも1個3,000円は確実にするだろう。植物入りはさらに高価になるので、まぁいい買い物だと思う。

 今日はユースで九州男子バックパッカーの迫(さこ)さんと出会う。これが全ての始まり。彼はしばらく前からロシアビザ待ちでここに滞在しているらしいが、一昨日・昨日とドイツ人に連れられ、どこぞの町であった「テクノ・パーティー」へ行っていたとのことだった。

 もちろん今夜もビールを求めパブへ行ったのだが、今日はこのユースのオーナー(と思われる)であるグレッグ(宿の情報ノートによるとヴィリウスだが・・・どっちが本名?知ってる人教えて)がオレ達2人をオススメの店へ連れて行ってくれた。ちなみにグレッグは片言の日本語を話す。というのも、ここは日本人が集まるユースだから。彼が日本語を話す様はとても愛嬌があってオレはとても好きだ。「あなたは『エセ大阪人』ですか?」と問われた時には爆笑してしまった。「エセ」の意味はわからないとのことだったので説明してあげた。オレは「エセ」じゃなくて「本物」の大阪人なんだよ、と言ったが上手く伝わったかどうか・・・

 昨日立てた今後の計画では、明日の朝エストニアのバルト海沿岸の町「クライペダ」へ発ち、明後日のフェリーでドイツへ渡る予定だった。でもグレッグの一言でオレは延期せざるを得なくなった。「木曜日に森の中のスモークサウナへ行こう」。今日は月曜日だが、こんなことを言われては出発するわけにはいかないよな。

 結局9時ごろ店に入り、店から出たのは深夜2時前・・・これで明日の「朝」出発なんで出来るわけないけど(^_^;;

09/25 晴れ だらだらするのも悪くない Vilnius/OLD TOWN HOSTEL(ユース)/0km

 起きたらやっぱり昼だった。このユースは限りなくいい加減なので、いったい何時にチェックアウトなのかも不明(笑)
  それでいてこれだけ心地良いユースも少ないと思う。昔ユダヤ人の住居だったものを改築している古い建物だし、設備が充実しているわけでもない・・・

 そんな訳で昼間はあても無くぶらりと市内を散歩し、夜はユースのキッチンで迫さんとビールで乾杯。

 結局、今日も昨日同様だらだらしてしまった。

09/26 晴れ 「おでん」を作るゾ! Vilnius/OLD TOWN HOSTEL(ユース)/0km

 もちろん今日も起きたら昼前だった。今日は昨日と違ってすることがあった。一昨日グレッグ達と飲みに行った時にオレが「日本食をご馳走する」と言ったからだ。

 タイトル通り「おでん」を作ることにした。というのも時間はたっぷりあってヒマだというのがひとつ。彼らの考えている「寿司」などの有名な日本料理とは根本的に違うということもある。さらにオレは「本物」の大阪人だと思っているので、是非「関西風おでん」を食べさせたかったのだ。

 まずは食材の買出し。日本では簡単に手に入る食材もこちらにはほとんど無い。「ちくわ」「はんぺん」「こんにゃく」「すじ肉」は予想していたが「大根」が無かったのは痛かった。で、結局「ジャガイモ」「ゆでたまご」「鶏肉」「イカリング(ここではかなりレアだと思うが、スーパーの冷凍コーナーに1パックだけあった)」「蟹カマボコ(意外だったが、これはかなり一般的)」の5品。ユースの宿泊客にもご馳走してやろうと大量に作ることになった。

 日本から持ってきた「だし」を使って5時間以上煮込む。かなりいい味に仕上がり、薄味の関西風がウケたようでみんな「うまいうまい」と言って汁まで飲んでくれた。かなり大量だったのに、作った本人のオレが腹いっぱい食えなかった程だ。みんなに喜んでもらえたので、作ってよかったな。

09/27 晴れ 感動!スモークサウナ Vilnius/OLD TOWN HOSTEL(ユース)/0km

 迫さんと共に起きたのは昼前。昨日のおでんのだしがかなり残っていたので、そのだしを使った「炊き込み御飯」と「うどん」が昼飯。だし自体がかなりいい味だったので、どちらも美味かった。これもユースの客に振舞ったが大ウケ。日本食の素晴らしさを再認識した気がした。

 今日は約束どおり夕方から、グレッグが宿泊客をスモークサウナへ連れて行ってくれた。乗車定員7人のミニバンに9人が乗り込み揺られること約1時間半。ベラルーシとポーランド国境に近い森の中にひっそりとたたずむ村へ到着。もちろん辺りは真闇に包まれている。

 ここのサウナは今まで入ったサウナとは違い「本物」のサウナ。どういうことかと言えば、最近は電気で暖めているサウナばかりだけど、ここは焼き石に湯をかけるという原始的な方法。オレが燻製になるかと思う程の煙のにおいに包まれながら汗を流す。限界に達したらそのまま川へダイブ!水温は5度くらいだったが、最高に気持ち良かったぞ。滞在を延長したモトは十分取れたと思う。

 かなり疲れてユースへ帰ってきたのは深夜11時半頃。でも、休むことなくサウナのメンバー達とそのままパブへ直行。ビールを飲んでディスコで踊って・・・深夜2時前に戻ってきたが、さらに今度はユースのキッチンでビール・・・毎日こんな生活をしてたら長生き出来ないだろうなぁ(^_^;;

09/28 晴れ 日没の時間 Vilnius/OLD TOWN HOSTEL(ユース)/0km

 予想通り起きたのは昼の1時(笑) 完璧に昼と夜が逆転してしまった。

 最近日没がめっきり早くなったので、夜遅くまで走ることが出来ない。これは大問題。これから南へ下るので、ますますその時間も早くなるし。やはり朝から出発しないとほとんど走れなくなってしまうよなぁ・・・さらに困ったことに、日に日に寒くなってきたように感じる。これも大問題。

 それはさておき、今日も迫さんと共にクッキング。今日はなんとカレーライス。日本から持ってきた「こくまろカレー」を使い、超具だくさんカレーが出来上がった(具材が多すぎたが、ボリュームがあって良し)。ここ数日は懐かしい日本の味ばかりになったが、これも今日まで。明日は絶対ここを出発するつもりだ。

 しかし、このユースはなんとなく連泊してしまう空気がある。長く居るつもりは無かったのに、今晩で7泊目。まだまだ居られそうだけど、そうもいかない(笑) 明日は絶対に出発するぞ!


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