カブでヨーロッパ一周編

 鉱物と共に 中編 [スウェーデン] (2001/08/20-08/24)

・08/20 西へ進もう
・08/21 宝捜し?1
・08/22 宝探し?2
・08/23 またまたトナカイ肉
・08/24 パンクするも着実に南へ

通貨単位:SEK(スウェーデンクローネ)/1SEK=約13.5円


08/20 晴れ|曇り|雨 西へ進もう Hoting/PENSIONAT VILAN(B&B)/362.4km

 予定より2日も延泊したキャンプ場を出発。起床はなんと8時。昨日は早く寝たからそれ程辛くも無かった。早起きしたのは色々とお世話になった重松一家と写真を撮ろうということになっていたからだ。朝9時から大学に行くらしいので、8時半に撮影という運びになった。

 彼ら一家が泊まっているキャビンの前でカブを置いてパチリ。カブとオレが目立ちすぎてしまった(笑)

 子ども達は小学校1年生のお兄ちゃんと2歳の妹。かわいい盛りで彼ら一家とはとても楽しいひと時を過せたな。そうそう、昨日書き忘れていたけど、彼ら一家から交通安全のお守りとして折鶴をもらったよ。

 写真撮影の後は洗濯。たった1時間程できれいになるんだから洗濯機と乾燥機はやはり偉大だ。12時に出発する予定だったが、だらだらしていたら出発が1時になってしまった。キーを返してチェックアウトを済ませ、とても親切にしてくれた女性店員のカリンさんと記念撮影。一泊タダにしてくれた他に、絵葉書を買おうとしたらそれもタダでくれた。他のスタッフも親切な人ばかりだったので楽しい滞在ができたな。感謝感謝。

 Skellefteaを発った後はウーメオへ向かい、その後は西に進路をとる。今日は久しぶりに黙々と走り、夕方8時半頃目的地だった「Hoting」という小さな町に到着。こんな町を目的地にしている日本人はオレくらいのものだろうが、ここはPeterに教えてもらった「第2の鉱物スポット」に程近い町なのだ。産地までの地図も書いてくれているのでここで連泊しまた鉱物を採集してやろうという魂胆だ。

 まず道路沿いに見つけたキャンプ場でキャビンを借りようと思ったが、410SEKの部屋しか空いてないので諦め、「他に安いところは無いか?」と聞くと近くのB&Bを教えてくれた。

 そのB&Bはちょっと変わっていて、どこから見ても普通の家にしか見えない。まぁどこのB&Bでも普通の家なのだが、必ず目立つところに看板を出している。しかしここにはそれが無い。幹線道路沿いにあるにも関わらず、B&Bとは気付けないのだ(笑)
 よく見ると家の前に、
申し訳程度の小さな看板がひとつあった・・・これでは道路を走っているクルマからは絶対見えないぞ!英語は通じなかったが親切そうなおじさんがやっていて、察するところそんなに商売をする気は無いみたい。値段さえ決めて無いのか「3泊したい」と言ったら、しばらく考えた末「500SEKでいいよ」だって。部屋はキレイしキッチンまであるので3泊してこの値段ならお得だろう。

 明日は目的の鉱物産地へ行ってみよう。夕方から天気が崩れ出したのが気にかかるが、明日の天気を祈りつつ今日は早く寝ることにした。

08/21 曇り|晴れ 宝探し?1 Hoting/PENSIONAT VILAN(B&B)/29.0km

 窓から外を眺めるとあいにくの雨。ベッドでまどろみを楽しみつつ様子をうかがっていたら、昼頃に雨が止んだ。この期を逃すと出発できなくなってしまいそうなので鉱物採集の準備をする。まずこの地域の詳しい地図をガソリンスタンドで購入。Peterからもらったスウェーデンの鉱物産地ガイド(何故かドイツ語版)のコピーとPeterに書いてもらった手書きの地図を見比べ作戦を練る。

 産地ガイドの英訳とPeterのアドバイスをあわせるとこうだ。まず今居る「Hoting」という町から「Sundet」という集落を目指す。集落からさらに2km進み右へ曲る。約800m進むと送電線をくぐるのでそこを右へ。そこから700m進むと道が二手に分かれているので右側へ進み、さらに300m進みストップ。ここで古い鉱山へ行く道を見つけ出し、その道を100m程歩くと林が切れ、そこにズリが広がっている。さらにPeter曰く「Maybe dig also 1-1.5m.」。つまりそのズリを1から1.5m掘り、埋まっているであろう目的の鉱物を探せというのだ(笑)

 と、まるで宝捜しのようだが、ここまで親切なガイドだとアドベンチャーは味わえない。以前大学の友人(コイツもまた強烈な変わり者でオレと匹敵するかもしれない。でも親友なんだな)と共に「大昔に埋もれてしまった」と言われ続けていた鉱物産地を再発見したことがある。この時は古い文献を頼りに山の登り始めから数百歩、そこから稜線を数百歩・・・といった感じで何時間も森の中を迷い歩き見つけ出した。

 それはさておき、ここは「ベリル」というベリリウムを含む鉱物の産地で、とても魅力的なシャープな六角柱の結晶が採れるらしい。「ファンタスティックだ!」というPeterの言葉を信じ、曇り空の中カブを走らせる。未舗装路を走り目的地周辺まで来たら、数台のクルマが止まっていた。ここへ来る人の目的は1つ。そう、オレと全く同じ目的だった。彼らはドイツから例の産地ガイドを見て来たらしい。オレが来る10分程前に来たばかりだったが、すでにズリの場所を見つけていたので探す手間が省けた。

 右写真の石がゴロゴロしているところが鉱物産地。かなり大きな石もあり1.5mも掘るのは苦労するなぁ・・・と思っていたが、表面にもパラパラと美しい六角柱が転がっている。早速採集開始!

 掘った方がいいのかもしれないので、ちょっとだけ掘ってみると、出てくる出てくる!やはり多くは埋まっているようで、キチガイのように掘りまくった(笑)

 これだけ掘ったのは久しぶりで、前述の友人と宮崎県で水晶を探した時以来。おびただしい数の蚊が寄って来たがそれも無視。おかげで左手首だけで20ヶ所以上も刺された。

 体力の限り掘り続け、7時頃とうとう限界に達した。いい標本も多数採れたので意気揚々と帰路につく。腹も減ったので途中にあったピザ屋に立ち寄り、デカいピザをたいらげる。満腹で宿へ戻り、ベッドで横になっていたが何だか気分が悪くなってきた・・・

 さっき食べたピザにあたったのかもしれない。味は普通だったが、これ以外の原因は考えられない。悪いことに吐き気だけでなく熱まで出てきやがった。腹は壊していないが1時間おきに嘔吐という状態なのでベッドで横になっても眠れない。夜中の3時頃ようやく眠たくなってきたので、整腸剤と腸内殺菌の薬、さらに胃薬とバファリンを飲み気合で眠った・・・

08/22 晴れ/曇り 宝探し?2 Hoting/PENSIONAT VILAN(B&B)/24.9km

 9時頃目が覚めた。気分も良く昨夜の状態がウソのようだ。さらに天気もいい。というわけで今日は朝から鉱物採集へ出発!

 まず、ICA(「イカ」と読むらしい。スウェーデンのスーパーマーケットのチェーン店。ヘンな名前)でビニール袋とコーラを買い準備万端。今日は昨日のように狂った程では無かったが、それでも掘った。休憩がてら付近の林を散策し、野生のブルーベリーをつまみ食い。日当りがいいからか熟していてウマイ。さんざん食って再び掘る。夕方4時頃には引き上げたが、もちろん今日も大漁。

 もう一度ピザを食う気にはなれなかったので、今日はキッチンで自炊。といっても簡単に白菜と玉葱の和風スープ。油を使わない和食はしつこくなくて良い。デザートにバナナ2本をつけてもわずか9.5SEK(約130円)。安くてウマイし、たまには自炊もいいな。

08/23 曇り|晴れ またまたトナカイ肉 Ostersund/STF Vandrarhem Jamtli(ユース)/148.8km

 今日ここを発つ予定をしていたので、朝のうちに採集した鉱物を郵便局から日本へ送り返す。小さめのダンボールだったが隙間無く鉱物で埋まり、その重さは約6kg。「あれっ!?少ないんじゃない?」と思われるかもしれないが、今回の鉱物は指くらいの太さの六角柱(ちょっと太めの鉛筆サイズ)なので、そんなには重たくならない。今回採ったものでは透明のものは無かったが、この「ベリル」という鉱物、透明で緑色だったら「エメラルド」、水色だったら「アクアマリン」と呼ばれる宝石の一種なんだよ。定型サイズのダンボールだったからか送料は意外と安かった。

 ダラダラと荷造りし、B&Bというチェックアウトの時間が決まって無いところだったので、出発したのは午後2時半。もう一泊してもよかったのだが、旅程が大幅に遅れているので少しでも南へ下りておきたかった。

 今日は風が全く無かったので、途中通り過ぎた湖の水面はまるで鏡のように全ての風景を映していた。こんな日は湖畔でのんびり昼寝するのが正しい人間の在り方だよなぁ・・・なんて考えていると、150km足らずでリタイヤ(^_^;;
 「Ostersund」という結構大きそうな町に入り、ユースを見つけたのでそこで泊まることにした。

 ここのユースのおっちゃんはお節介焼きなのか、頼みもしないのに美味しいレストランやいい雰囲気のパブの場所などなど、観光案内までしてくれた(笑)
 公衆電話の場所も聞いたので早速パソコンを持って外へ出る。

 今日もいつものカプラー通信なのだが、最高に安定した環境で接続できた。なぜならば病院の中の公衆電話だったから。治安はいいし、雑音ももちろんない。個室になっており机と椅子まで用意されている。今後は積極的に利用しようかな。

 その後はオススメのレストランで夕食。ここ最近ロクなものを食べてなかった気がしたので、ユースのおっちゃんご推薦のレストランでまたまたトナカイ肉。値段はかなり高かったが、今回はステーキ(今まで食ったのは薄切り肉が多かった)。もちろん注文は「レア」(実は「レア」が大好き)。お味の方は・・・もう最高!今までで一番美味かった。もしこれと同じモノが日本で食べられるなら、1万円払っても惜しくないね。どんな味かを伝えなれないのが残念この上ない。

08/24 晴れ パンクするも着実に南へ Mora/Kristineberg Hotell & Vandrarhem(ユース)/320.1km

 ユースをチェックアウトギリギリの11時に発ち南へ進路を取る。天気もいいので防寒インナーをつけたのライダースーツだとちょっと暑い。スウェーデンの風景は右写真のような両側に林が広がる道が多く、フィンランド程ではないが湖もある。それほどアップダウンもないので快適だ。とはいえ2桁台の国道だからか頻繁に工事区間が現れる。工事といっても、日本の場合は未舗装なのは数百メートルで終わるが、この国では数キロにも及ぶ。未舗装でもちゃんと馴らしている路面ならいいが、時々こぶしくらいの大きさのいびつな石を敷いているだけのところもあり、荷物満載のカブにはチト辛い。

 今日はこの旅初めての「パンク」に見舞われた。近くにスペースは無かったが、見通しのいい直線だったので道路沿いで修理。しかーし、その原因が判った時には腹が立った。クギを踏んだのならまだしも、先日フィンランドのロバニエミでタイヤを交換した際「ほとんど自分で替えた」と書いたが、タイヤの組替えだけは任せていた。チェンジャー(機械)を使っていたのだが、チューブを噛み込んで傷をつけられていたみたい・・・こんなことならタイヤだけ買って自分で組替えればよかったよ。ホイール側が大きく裂けていたので修理不可能。予備のチューブを使うことになってしまった。

 そんなトラブルもあったが着実に南へ進み、7時頃には今日の目的地「Mora」という名前の町に到着。いつものように看板に従いユースへ行くも満室。しかし、そこで教えてもらった別のユースに泊まることが出来た。ホテルのようなユースでなかなか快適。キッチンもあったのでガソリンスタンドで「出前一丁」(スウェーデンではほとんどの店で売っている)とビールとバナナを買い夕食にした。鍋のまま箸でラーメンを食って、ビールを飲む。これじゃ日本にいる時と全く同じではないか(笑)


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