カブでヨーロッパ一周編

 ベネルクス紀行 [ベルギー・オランダ] (2001/07/06-07/09)

・07/06 ベルギー入り
・07/07 僕はもう疲れたよ
・07/08 広いオランダ
・07/09 世紀末的な街

通貨単位:BF(ベルギーフラン)/10BF=約29円 G(オランダギルダー)/1G=約46円


07/06 雨|晴れ ベルギー入り Antwerpen/HOTEL IDEAL/318.9km

 朝5時。右の眉毛当たりの痛みで目が覚めた。とりあえずバファリンを飲んだら痛みが少しマシになった。マダガスカルから帰ってきてから調子がいい日が無いのは辛いものだ。

 今日、Lyckberg一家は故郷のサマーハウスに出発することになっていたので、合わせてオレも出発。こういう日に限って雨が降りやがった。全くツイていない。またスウェーデンでね、ということで彼らより先に出発。その時オレがお礼を言ったら、Peterが「ルクセンブルクまで来て、家に泊まってくれてありがとう」と逆にお礼の言葉が返ってきた。マダガスカルでは本当に大変だったけど、彼を含めて多くの素晴らしい人と出逢えたことは、オレにとって今後も財産になるだろうな。

 雨が降っていても、いざ出発さえしてしまえばなんとかなる。と思っていたら横断歩道の白線でリアがスリップしてコケそうになった。でもコケなかったのでOK。

 ルクセンブルクを抜け、無事ベルギーに入る。もちろん国境などはなにも無い。看板ひとつ。しかし、途端にガソリンスタンドに表示している値段が変わった。これらの国は共にベルギーフランが通用するのだが、ルクセンブルクではガソリン1Lあたり30フラン台で軽油は20フラン台だったのに、それぞれ40フラン台と30フラン台になった。全く同じものなのに何か損をした気分になる。

 それはさておき耳の調子はすこぶる良い。全く一昨日までがウソのように違和感が無くなった。凄いぞDr.Beck。でも朝の頭痛がまたぶり返してきた。まったく耳の次は頭かよ・・・
 もしかしたら鼻の薬(液体)の副作用かもしれないと思い、今のところ鼻の状況は良いのでしばらく使わないでおくことにした。さらに飲み薬の影響か無性に眠気が襲ってくる。安全のため少し眠くなったらすぐ休憩を繰り返していたので、今日は時間の割に距離は伸びていない。昼過ぎにはあまりに眠たかったので、駐車場の木陰でウトウトと1時間も眠ってしまった。

 それでもなんとか目的地アントワープに到着。頭も痛いので早く宿を決めたいところだが、看板に従い中心街へやって来るものの宿は全く見当たらない。またベルギーの市内看板は不親切で、インフォメーションを案内する看板が無い。ツーリストインフォメーションでホテルの場所を聞けたら手っ取り早いのだが・・・さらに悪いことに警察が至る所で交通規制をしていた。理由はわからないが、とにかく行きたい方向へ行けないのは問題。おまけに知らぬ間にトンネルに入り、いつの間にか郊外へでて高速道路に変わっているというパターン。市内へ戻るのにこれまた苦労した。そんなこんなで迷いまくり、頭痛もひどかったので偶然見つけた小洒落たホテルに止む無くチェックイン。値段はちょっと高いがデータポート付きの電話にも惹かれて妥協。ここで2泊して頭痛の様子を見よう。アントワープの観光もしたいしね。

 薬を飲んだらだいぶ頭痛がおさまってきたので、夕食を食べにいくついでにちょっとだけ観光。

 右の写真はステーン城という10から16世紀まで使われていた要塞の一部で、今は海洋博物館となっている。早速見学したかったのだがすでに閉館していた。日没が10時なのに、4時半に閉めるなっちゅうの!

07/07 曇り/雨 僕はもう疲れたよ Antwerpen/HOTEL IDEAL/0km

 タイトルの通り、僕はもう疲れた・・・という訳ではないので安心してもらいたい。何故こんなタイトルをつけたかと言えば、ここアントワープはネロ少年と愛犬パトラッシュの悲劇的運命を描いた「フランダースの犬」の舞台になっている場所だから。

 ちなみにオレの体調はというと、頭痛も無くなり耳の調子もいい。ようやく全体的に回復した。といってももうしばらくは薬を飲まないといけないけどね。何はともあれ嬉しい。

 というわけで、市街へ繰り出す。今日もいたるところで交通規制をしているが、徒歩なら全く関係なし。ただでさえ一方通行の多いデカい街で、規制までされた日にはカブではお手上げである。

 偶然見つけたインフォメーションで地図をゲットできたので、まずネロ少年が最期に見たルーベンスの絵があるというノートルダム大聖堂へ。たぶん右の絵「キリストの降架」が、物語の中でいつも布が掛けられていて見ることが出来なかった絵だと思う。ネロ少年はこの絵の前で最期を迎えたらしい。

 といっても宗教画には興味の無いオレにとってはあまり感動はなかったけど(笑)

 昼飯の後は昨日見られなかったステーン城(海洋博物館)へ。かなり期待していたが、展示自体はそれ程でもなかった。しかし古い要塞を改築しているとあって、建物の作りはなかなかよく楽しめた。

 もらった地図によるとダイヤモンド博物館があるらしいので中央駅まで歩く。アントワープはアムステルダムと並びダイヤモンドの研磨でも有名な町だ。途中には宝石店が建ち並んでいて、ショーウィンドウに並ぶダイヤを眺めている人も多い。結局目的の博物館は改築中の為見学出来なかったが、ダイヤはパリで満喫したからまぁいいか。

 そうこうしていると雨が降り出した。ホテルへ戻ってきた瞬間に土砂降りになったので濡れずにすんだ。明日はここを発ちオランダへ向かおうと思っているので、雨が降らないことを望むばかり。今日は早めに寝ることにしよう。ちなみに夕食はベルギー名物だという馬肉のステーキ。高かったが、それに見合う味だったので満足した。でも付け合せが皿いっぱいのフライドポテトというのはイマイチだったけどね。

 全く関係はないが、日本では今日「七夕」である事にふと気付いた。だからといって特に何というわけではないが、日本の文化が少し懐かしく感じた・・・

07/08 雨/曇り 広いオランダ Amsterdam/HANS BRINKER HOTEL/207.8km

 ご存知の通り、オランダの国土は狭い。でもこれがカブにとってはとてつもない広いところだったから困ったもの・・・

 厚い雲に覆われた港町アントワープ昼前にを発ち、小雨の降る中オランダ入り。国境は看板1つといつも通りだ。しかし、オランダに入って1つめの町から苦労は始まる。まずATMで現金を引き出す。ここまでは良かった。問題はここから。

 オランダの道路網は「高速道路のみ」なのである。所々に国道もあるが、原付は走行禁止。つまりカブではどこも走れないということ。ではどうするかと言えば、自転車専用道路を通ることになる。オランダは平坦な地形ということもあって、自転車用の道路が発達している。これが結構広い道で原付はここを通らないといけない。とはいえ、自動車の通る道路のようにきれいに舗装されているわけではないので結構デコボコしている。オマケに案内看板が不親切・・・

 まず、ロッテルダムを目指し標識に従って走るが、これが結構難しい。車の案内看板は大きくて目立っているのだが、自転車用のはとても小さい。またロータリーに標識がない場合もあって、すぐに道に迷う。さらに工事中のところも多く、迂回ルートも用意あることはあるのだが、えらく遠回りしないといけないし、その案内の看板もただ数字だけが書いてあるだけなので、なんのことやら最初は分からなかった。迷いまくったが、それでもなんとかロッテルダムの近くまでやってきた。その後チーズで有名なゴーダへ。途中土砂降りの雨にやられたが、無事ゴーダへ到着。

 ここへ来て1つの看板が目に付いた。写真の「ブリュッセルからアムステルダムへの340kmの道」という意味の看板で、どうやら今通っている道はサイクリングのルートになっているようだ。今日の目的地はアムステルダムだったので、この看板に従っていけば楽にアムステルダムに着けると思ったのだが、現実はそう甘くはなかった。無意味にたくさん看板があるのだが、ここぞという所で無いことが多い。また目立たないところにひっそりとあったりして、見逃すこともしばしば。さらに一度ルートから外れると全く看板がなくなる。またこのサイクリングルートは、運河の土手や街のど真ん中にある公園の中、民家が入り組んだ路地や牧場の中を走っており、サイクリングを「楽しむ」為の道なので、結果的にはめちゃくちゃ遠回りだった。さらに道路脇で草を食べているウシや馬や羊のすぐそばも走らないといけないのは困ったもの。一応原付は走行してもいい道なんだけど、のんびりと道路の上で座っている動物がびっくりして走っていくのでちょっと気がひけるんだよなぁ。入り組んだ運河や跳ね橋、風車のある風景など、オランダらしい雰囲気を存分に味わえたのは確かだけど。おかげでオランダへ入ってからは平均時速約20km。車や大きいバイクなら狭い国だが、カブにとっては広い国だった。これでもいい天気なら楽しいに違いないが、常に小雨が降っている状態では楽しさも半減。風防に付いた雨滴で視界も悪い。合計8時間の走行の末、疲労困憊でなんとかアムステルダムへたどり着いた。

 大きな都市だけに宿探しに苦労するかと思っていたが、ドミトリーのホテルを偶然見つけチェックイン。カブも中庭に置かせてもらえることになった。しかし、ロッカーが異様に小さいのは難点。振り分けバッグから荷物を出してなんとか収納したが、また入れないといけないと思うと面倒くさいぞ。

 夕食はフロントで知り合ったカリフォルニア在住の韓国人とイタリア料理店へ。ビールをジョッキ2杯(おごって貰った)とパスタで満腹。明日は朝からアムステルダムを観光するとしよう。

07/09 曇り/晴れ 世紀末的な街 Amsterdam/HANS BRINKER HOTEL/0km

 今日はアムステルダムの観光。移動しない日は雨が降らない。アムステルダムは運河が入り組んでいる、というより埋立地である。約90の島が400以上の橋で結ばれていると言えば、行ったことの無い人にも想像できるだろう。昔からの港町で、今でもヨーロッパでも有数の港湾都市である。

 朝食を済ませた後、早速アムステルダムへ来た最大の目的「海洋博物館」へ向かう。ホテルからは結構離れているが、徒歩で街を散策するというのも楽しみのひとつ。多くの人はご存知だと思うが、ここアムステルダムはマリファナや売春が合法というちょっと変わった街。街の至る所に「コーヒーショップ」と呼ばれる麻薬を売る店があり、朝からマリファナなどをプカプカとやっている光景を目にする。店の前を通ると、時々甘い香りがする・・・「来て、見て、吸ってみて!」なんて日本語で書いてある店まであったぞ。
  そういう理由もあって治安は良くない。まぁ、もっともといえばもっともだけど。さらに世界中からゲイも集まってくるようで「ゲイ・ショップ」なる店まで存在する。運河が映える美しい街なのだが、少々猥雑な空気が漂っている世紀末的な街でもあるのだ。

 そんな街を歩き、港にある博物館へ到着。バルセロナの海洋博物館には及ばないが、展示内容もなかなか充実している。さらに本物の帆船が横付けされていて、その中も見ることができた。

 まずまずの満足感で博物館を後にし、中央駅の近くで中国人だというかわいい店員さんがいたレストランでランチ。魚のムニエルみたいなやつを食べたが、値段も安かったし言うことなし!

 シティーマップに地質学博物館というのを見つけたので次はそこへ。動物園や水族館、プラネタリウムなども同じ敷地内にあり、入場料に20G(約1,000円)も取られた。それにも関わらず、地質学博物館には呆気に取られた・・・甘く見ても2流から3流の標本がわずかにあるだけ。化石に関しても展示は少ない。よくこれで「地質学博物館」と銘打てるもんだと思ったが、払った金はもちろん返ってはこない。

 疲労感に包まれ、まだ早い時間だというのにホテルへ戻ってきた。明日は10時迄にチェックアウトしないといいけないので、早く寝ることにしよう。


戻る