カブでヨーロッパ一周編

 ルクセンブルクでホームステイ [ルクセンブルク] (2001/07/01-07/05)

・07/01 ルクセンブルクへ行こう
・07/02 世界一の標本
・07/03 自然史博物館見学
・07/04 シビアなカプラー通信
・07/05 Dr.Beckの治療

通貨単位:LF&BF(ルクセンブルクフラン&ベルギーフラン)/10LF&BF=約29円


07/01 晴れ ルクセンブルクへ行こう Luxembourg/Lyckberg邸に居候/369.1km

 荷物の整理に手間取り、結局寝たのは今朝の5時。それでも9時に起きて11時過ぎには出発することが出来た。というのも、昨夜メールチェックをしたらマダガスカル旅行の参加者だったルクセンブルク在住のスウェーデン人であるPeterさんからメールがきていたのだ。数日前に送った「ルクセンブルグへ行った時に泊めてもらえませんか?」というメールの返事だった。今日ルクセンブルグに行くとメールに書いていたので、なんとしてでもパリを発つ必要があった。

 11時前にお母さんは教会へ行くというのでそこでお別れの挨拶。やはり涙ぐんでしまった。10月末にまたパリヘ戻ってくる予定だと話していたので、また秋に会いましょうねと言ってくれた。ちなみに10月にはお父さんとお母さんはベトナムへ旅行するらしい。

 外周道路を通ってパリ市内を迂回するルートを通ったのだが、やはり大都市だけに交通量が多く渋滞に巻き込まれた。さらに外周道路から郊外へ抜けるときにも渋滞。郊外に抜けたら抜けたで、延々と続く一直線の道で疲れは倍増。おまけに耳の調子もあまりよくない。飯を食っている時は全く気にならないのだが、何もしていない時などは特に気になる・・・

 また今日は日曜日ということもあって、ほとんどのガソリンスタンドが閉まっている。おかげでガス欠の恐怖と戦いながら走らなければならない。その為この旅3回目のガス欠。早め早めに給油しようと思っているのだが、カブはタンクが小さい(約4L)だけになかなか難しい。

 フランス、ベルギー、ルクセンブルクの3国の国境付近では、ベルギーとの国境を眺めながらルクセンブルクに入る。国境施設は見当たらず、もちろんフリーパス。看板の表示形式などが変わるが、フランスと大差はない。

 ガソリン残量も気になっていたのだが、まずルクセンブルクの通貨を持っていない。クレジットカードもIC式しか使えないこともあるので、あまりあてに出来ない。また今日は日曜日ということもあって、ほとんどの店は閉まっている。大きなショッピングセンターを見つけたので、店員にATMの場所を聞き、とりあえずの現金をゲット。でも出てきたのはルクセンブルクフランではなく、ベルギーフラン。後から知ったのだが、ルクセンブルクではベルギーフランも使えるらしい。というよりルクセンブルク自体あまり出回っていない。ちなみにこれらは等価だ。
 新しい国に入った時にはその国の通貨価値が全くわからないので(あらかじめ調べておけばいいんだけど・・・)ATMで現金をおろそうにも、幾ら引き出せばいいかわからない。そういう時には、ガソリンスタンドに大きく表示している値段の看板を見るべし。ヨーロッパにおいてガソリン1Lの値段は100円から120円程度なので、そこから逆算してやればいい。といっても、これも通貨統合されるEU内では今年が最後なんだけどね。

 現金を入手したのですぐさまガソリンを給油。売店でテレホンカードをくれと言ったら、店員が迷うことなくカードを出してきたので、500LF(300円弱)のものを購入。これで電話もできるようになったので、後はルクセンブルク市(ちなみに国名と首都名は同じ)の中心街へ向かうだけ。

 7時頃中心街に到着し、場所を説明できそうな広場の近くで公衆電話を見つけたのでそこからPeterさんに電話。しかーし、ガソリンスタンドで買ったカードはテレホンカードではなく、プリペイド携帯のリチャージカードだったことがここで判明。これでは全く役に立たない!多分スタンドの店員は全く英語が分からなかったのだろう。およそ、ほとんどの日本人が分かるであろう「テレホンカード」や「ホテル」という英単語さえもヨーロッパでは通じない場合がある。というのも、日本にはテレホンカードの日本語は「テレホンカード」だし、ホテルも「ホテル」だからだ。ヨーロッパ言語にはそれぞれに別の言葉があるので、通じないのも無理ないんだけど。それでも「ホテル」くらいは通じてもいいと思うが、「オテル」と発音しないとフランス語圏ではなかなか通じないんだよね。スタンドでもテレカルテ(フランス語)と言えば良かった・・・

 後悔しても始まらないが、今日は日曜日なのでテレカの入手も困難。タバコ屋やキオスクが購入ポイントだが、日曜日はどちらも休み。こういう場合の鉄則は大きな駅へ行くことだ。「Gare(英語でいうStationね)」と表示する看板に従い駅へ。大きな駅では日曜日でもテレカくらいなら入手できるだろう。キオスクは閉まっていたが、駅構内の手荷物預かり所でテレカを購入。やっとPeterに電話をすることが出来た。

 彼が駅まで迎えにきてくれるというので、待つこと10分。無事彼と合流し、彼のVOLVOの後を追いかけて家へ。家では奥さんと2人の子供があたたかく迎えてくれた。またこの家庭は、スイスの田中さん一家と似ていて、ルクセンブルク在住のスウェーデン人一家。家の中はもちろんスウェディッシュスタイル。玄関で靴を脱ぐのは日本人と全く同じだったのでちょっと驚いた。ヨーロッパにも家の中で靴をはかない習慣をもつ国があるとは知らなかった。

 Peterはオレの到着を待ってくれていたようで、荷物を置いてすぐ市内観光に連れ出してくれた。写真のライトアップされた要塞や、要塞都市の街並み、近代的な建物が立ち並ぶ地域などを説明してくれた。その後、待ちに待った夕食。オススメだというレストランでマッシュルーム・オニオンバーガーを賞味。バーガーとは名ばかりでハンバーグと大量のマッシュルーム、さらにベイクドポテトとコールスローがついており、その下にパンが敷いてある。味も量も大満足だった。

 帰宅後シャワーを浴びてすぐに就寝。寝不足と今日の疲れもあってすぐに眠ってしまった。

07/02 晴れ 世界一の標本 Luxembourg/Lyckberg邸に居候/0km

 9時には起きるつもりだったが、起きたのは12時過ぎ。12時間以上寝たことになる。Peterさんは仕事の昼休みに荷物の整理(というのもマダガスカルから帰国後、数日前までイギリスに行っていて、今週末にはスウェーデンに行くらしい)の為に家に帰っていた。

 その後、一緒にランチを食べようということになり、彼の仕事場があるEU事務局やヨーロッパ司法裁判所など主要施設が集まる地域へ車(34万キロ走っているフォードのセカンドカー。エンジンの調子は悪い)でドライブ。その施設内の食堂でランチ。施設内に入るには身分証明書だけでなく招待人のサインなども必要で、一般人はもちろんお断り。パスポートをデポジットとして取られた。さらに入り口でスタンプをもらい、マダガスカル入国時さながらだ。たぶんここへ入った日本人旅行者はほとんどいないだろうね。

 施設内にはヨーロッパ中の人がいるので、言葉もまたそれぞれ。でもほとんどの人がほとんどの言葉で会話が出来る。日本人からしたら彼らは驚異的だが、ここでは当たり前のようだ・・・Peterの2人の子供も、スウェーデン語が第1言語で、第2言語はフランス語を勉強しているらしい。「英語やドイツ語は簡単だから、わざわざ勉強する必要はないからね」と言うくらいだから無理もない。

 昼食後はPeterと別れて徒歩で市内を散策。昨日見た要塞(ボックの砲台)の内部も見学した。要塞はとても広く「天空の城 ラピュタ」に出てきそうな雰囲気。洞窟状で暗く、足元も滑りやすい。もちろん夏でも涼しい。ただ階段が多いので非常に疲れる。入場料は安い(11FF。約200円弱。何故かフランスフランが使えた)。

 その後は家まで徒歩で戻る。彼の家からは仕事場も中心街もとても近いので、徒歩でも十分可能なエリア。さすがにこのへんは土地代も高いらしく、東京並。彼のVOLVOのガレージの土地を買おうと思ったらロールスロイスが買えると言っていたのを思い出した。ちなみに彼の家は賃貸。

 夕食はPeterがタコスを作ってくれた。何故にメキシカンなのかは謎だが、おいしかった。またルクセンブルクで一番おいしいワインだという白ワインも飲んだ。在住者が「うまい」というだけあって、本当にうまかった。ちなみにこのワインは少ししか作れないため、国外では買えないらしい。

 食後は、彼の鉱物コレクションを見せて貰った。屋根裏部屋が仕事部屋兼コレクション置き場になっていて、日本ではおよそ目にすることも出来ないような凄い標本が目白押し!さらに驚いたことに、それらの標本のほとんどは彼自身で採集したとのこと。特に目玉標本であるオレンジのカルサイト(方解石:CaCO3)は「ツーソンミネラルショー」で世界一のカルサイトとして表彰されたらしい。他にも、トルマリンやアクアマリン、エメラルドなどの標本もところ狭しと並べられている。鉱物好きの人間として幸せだったよ。

07/03 晴れ 自然史博物館見学 Luxembourg/Lyckberg邸に居候/0km

 今日も快晴。とにかく暑いので嫌になるが、日本に比べたら快適そのものだろう。全く「蒸し」暑くは無いからね。昼の12時に市内にある自然史博物館でPeterと待ち合わせということになっていたので、徒歩で博物館へ向かう。40分程待ったけど、無事に合流。その博物館の鉱物部門の人に、博物館所蔵の標本(非展示のもの)を見せてもらえることになった。約15,000点の標本が完璧に整理されていたのには驚きだった。標本自体も素晴らしいものがたくさんあって、2時間以上見ていたが全く飽きることはなかった。さらにお土産としてパイライト(黄鉄鉱)のかわいらしい標本と、1995年に博物館で作ったという鉱物に関する冊子をもらった。内容はフランス語なので読むことが出来ないのは残念だが、写真と挿絵はよく出来ているので大事に保管しよう。

 夕食は庭でバーベキュー。食後には家族みんなで芝生の上で裸足で縄跳びをしたりと軽い運動をした。飼っているウサギにエサをあげたり、庭で育てているベリーやミントを食べてみたりと、健康的な感じ。とても幸せな一家なので、とても居心地がいい。

 また彼ら一家は週末にスウェーデンへ旅立つのだが、スウェーデンのサマーハウスにもオレを招待してくれている。子供達もオレになついてくれて昔のアルバムをわざわざ出してきて見せてくれた。故郷のスウェーデンでも、珍しい日本人と一緒に過ごせることを楽しみにしてくれているようなので、オレとしても嬉しい。スウェーデンへ行くのが楽しみだなぁ。

07/04 晴れ シビアなカプラー通信 Luxembourg/Lyckberg邸に居候/75.2km

 昨夜、カプラーを使ってメールチェックとホームページのアップロードを試みたが(Lyckberg家はISDN回線)、結局成功しなかった。通信テクには結構自信を持っていたので、もしかしたらカプラー自体が壊れているのかも?と疑った程だ。コツがいると言われるカプラー通信も日本では比較的簡単だが、ここルクセンブルクでこんなに苦労するとは思わなかった。今日公衆電話で再度トライし試行錯誤の結果、故障ではなく彼の家の受話器との相性が抜群に悪かったことと(こんなことは今まで無かったのだがハウリングを起こす。ボリュームを下げて調整してもうまくいかなかった。)ルクセンブルクアクセスポイントのカプラー通信でのタイミングのシビアさが原因だったと判明。文章で書くとこれだけだが、めちゃめちゃ苦労した。なかなかいい勉強にはなったけど。

 無事メールを受信し、たまっていたメールの返事も送信。サイトのデータもアップロードすることが出来た。その後は街へ出て昼飯。実は昨日も今日も昼には「ピザ」を食ったのだが、これが驚くほど不味い。昨日たまたま不味いピザに当たっただけかと思って、今日は店を変えて再度チャレンジしたけど不味さは変わらず。とにかく塩辛い。日本の宅配ピザが100倍おいしい。

 不快感で腹一杯になった後は、ルクセンブルク国内をショートツーリング。地図を全く見ずテキトーに走ったら「ルクセンブルクのスイス」と呼ばれているスイスに似た雰囲気のところへたどり着いた。天気もいいのでスイス滞在中と同じように木陰で昼寝。さすがに日陰に入ると半袖では肌寒い。それよりも問題なのはカブで走ったり車に乗ったりすると、耳の調子がいまだによくない。パリでもらった薬も無くなりかけているのに、治っていないのは困ったもんだ。スイスのドクター田中氏曰く、中耳炎はこじらすとよくないとのことなので、明日ルクセンブルクで耳鼻科の専門の先生にもう一度診てもらうことにしよう・・・

 夕食後はPeterにスウェーデンを中心にスカンジナビアの見所(といっても、鉱物研究者としての見所)を教えてもらった。面白そうなところが山ほどあるので、計画していたルートとは全く違うところを通ることになりそう。物価が高いのは難点だがスカンジナビアでは長居しそうな予感。

 見所を聞いた後は、またコレクションを見せて貰った。何度見ても飽きないよ、ホント。

07/05 晴れ|曇り Dr.Beckの治療 Luxembourg/Lyckberg邸に居候/9.2km

 予定通り、今日はルクセンブルクの耳鼻科専門の病院で診察してもらうことになった。診てくれたDr.Beckはとても親切な感じの人で、入念にオレの耳の中を覗いたり、音波みたいなので検査していく。彼の診察の結果、鼓膜の内側に液体がたまっていることから耳の不快感が起こっているそうだ。つまり日本語に訳すと「中耳炎」ってことだろう。約10日薬を飲んだのに治ってないとは・・・今回新たに別の薬を1週間分処方されたので、これにかけてみることにしよう。耳の調子が悪いとカブでの移動時に大きな障害になるので、早く完治して欲しいものだ。また彼に保険請求の為の診断書も書いて貰った。

 診察後、病院の近くで見つけた薬局で薬を購入。2種類で345LF。日本円で約1,000円と安い。ちなみにこの国は以外にも税金が安いため物価は安い。でも家と保険代がべらぼうに高いので、在住者にとってはトントンらしいけどね。さらにここの近くのレストランで昼食に特大ハンバーグを食べた。近くに大学のキャンパスがあるのか、客はほとんど大学生っぽい若人。さしずめ日本でいう、大学生相手の定食屋ってところだろう。安くて量も多いのはいいね。

 Lyckberg一家は明日スウェーデンのサマーハウスに出発することになっていたので、その準備に忙しい彼のかわりに、オレが愛車VOLVOを洗車。汚れが落ちてピカピカになっていくのは楽しい。汚れまくっていたホイールまでピカピカにしてやった。洗車後はスウェディッシュ料理だというベリーのジャムがタレ(もちろん甘い)のミートボールとマッシュポテトの夕食。その後、Peterがマダガスカルで撮った写真をスライドショーとして家族みんなに披露してくれた。多くの人は知ってると思うけど、リバーサルフィルムだと現像後スライドの状態で受け取ることが出来るのでプロジェクターとスクリーンがあれば家でもスライドショーを楽しむことが出来る。マダガスカルの写真は懐かしく、強烈だった状況を思い出したよ(笑)

 スライドを鑑賞後、オレが「ヨーテボリ」からスウェーデンに入る予定をしていると話していたので、ヨーテボリに住んでいるというPeterさんのお兄さんの連絡先と家の場所まで詳しい地図付きで教えてくれた。ヨーテボリへいく1日2日前に電話をしたら泊めてくれるらしい。親切に感謝感激。もちろんPeterのサマーハウスの場所も聞いているので、ここでもしばらくお世話になるつもりだ。スウェーデンの魅力を満喫してやるぜ!


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