カブでヨーロッパ一周編

 早急に治療せよ [フランス] (2001/06/23-06/30)

・06/23 疲れ果てて帰還
・06/24 標本の整理
・06/25 風邪じゃなかった
・06/26 マダムによる散髪の結果
・06/27 Pearl Harbor
・06/28 グリーンカード更新
・06/29 ダイヤモンド展覧会
・06/30 Reynaud家での1日

通貨単位:FF(フランスフラン)/1FF=約17円


06/23 晴れ 疲れ果てて帰還 Paris/Reynaud邸に居候/0km

 長いフライトを終えて飛行機はシャルルドゴール空港へ到着。気圧の影響か耳がおかしい。ようやくパリヘ戻ってきたのだが、あまりの暑さに驚いた。しかしマダガスカルでは疲れ果てた。精魂ともに尽きた感じ。おまけに現地で風邪を引いたのだが、それが一週間くらい直っていない。今も鼻がつまっていてよくない状況だ。

 荷物も多いのでタクシーでReynaud邸へ向かう。途中渋滞に巻き込まれて、家に着いたのが昼過ぎ。お父さんとお母さんはお出かけしているということでEmmanuelさんが待っていてくれた。Emmanuelさんも用があるらしく、15分後には出て行ってしまった。帰ってくるのは明日の夜らしい。あまりの疲労の為、昼飯もキャンセルして睡眠。夕方6時に目覚ましをセットしてとりあえず眠る。時計の音で目が覚め、夕食を食べに近くのショッピングセンターへ出かける。

 フランスは日本と違い、レストランで食事ができる時間帯が決まっている。ほとんどの店が午後7時にならないと夕食はとれない。それを考慮して、スーパーで食料を調達し(明日は日曜日だからね)時間を潰す。7時過ぎにレストランへ行ったら、1時間後でないとダメと言われた。店の時計を見てみるとなんと6時・・・マダガスカルとは1時間の時差があることをすっかり忘れていた。いったん家に戻り、思いっきり汚れた服を洗濯して時間を潰してから無事夕食にありついた。

 帰宅後、風邪薬を飲んで睡眠。風邪が治らないことにはここを動けないんだよなぁ。

06/24 晴れ 標本の整理 Paris/Reynaud邸に居候/0km

 昼頃に目が覚めたが、やはり鼻がつまっていて調子が悪い。さらに耳もまだおかしい。風邪を引いてから10日近くになるが、治りきらないので明日医者へ行くことにしよう。もしや風邪ではないのか?

 今日は家から一歩も出ず、マダガスカルから持ち帰った鉱物標本の整理。ひとつひとつ新聞紙で包んでパッキングしていく。素晴らしい標本がたくさん手に入ったので、作業していて楽しい。

 結局それだけで1日は終わった。夜にはEmmanuelさんが帰って来たが、会話も少々ですぐに眠ってしまった・・・

06/25 晴れ 風邪じゃなかった Paris/Reynaud邸に居候/64.1km

 朝9時前に目が覚めたら、お父さんとお母さんが帰ってきていた。フランス中央部の火山跡へ行っていたんだって。カルデラを見てきたらしい。ミネラルウォーターで有名な「volvic」の近くだそうだ。

 9時半過ぎに、加入している保険会社の提携病院に電話をする。何度かけても話中だったが根気良くトライしていたらつながり、13時15分ということで予約を入れる。

 カブのバッテリーを接続し、燃料コックをONに。チョークを引いてキックするがなかなかエンジンがかからない。10回目くらいでエンジンが掛かった。久しぶりに乗るカブは快適そのもの。フケあがりもよく、力強く加速する。これでこれから未知の世界へ走り出していけると思うと、ワクワクが押さえられないよ。体の調子が悪いのも忘れて病院へ疾走する(笑)

 そうそう、今はいているリアタイヤはパリで交換した「METZELER MO1」なのだが、こいつのグリップの無さには参ってしまった。病院へ向かう時に色々とテストしたが、すぐにロックしてくれる。触った感じコンパウンドは耐久性重視と思われるので、まぁこんなもんかな。「ミシュラン M35」は良くグリップしたが耐久性に難有りだったので、どっちも一長一短といったところ。とりあえず今のタイヤが何キロ持つかが楽しみだ。

 時間ギリギリに病院へ到着。診察の結果・・・なんと風邪ではなく「中耳炎」だそうだ。これでは風邪薬で治るはずがない。処方箋をもらい薬局で抗生物質と鼻づまりの薬、解熱鎮痛剤を購入。保険の請求の為に領収書をきっちりもらう。完治するまで6日位はかかるらしいが、すぐに良くなるでしょうということなので一安心だ。

 午後はカブでパリ市内をぶらぶら。無性に懐かしかった「ラーメン屋」を見つけたので、そこでバターコーンラーメンを食べた。日本でなら間違いなく流行らない味だったが、パリではそれなりに繁盛しているようだ。またそこの店の人から日本酒を売っている店を聞いて、念願の日本酒を購入。山田錦100%の純米大吟醸を買ったけど、値段は日本の倍。今後の旅でチビチビ飲むことにしよう。

06/26 晴れ マダムによる散髪の結果 Paris/Reynaud邸に居候/48.5km

 今日はまず飛行機の予約の変更。12/1にパリからバンコクの予約を入れていたのだが、カブでヨーロッパ一周後、もう少し滞在したいと思っているので12/20に変更した。オレの利用するタイ国際航空はシャンゼリゼ通りに大きなオフィスを構えている。係の人に英語でその旨を話すと「日本語でいいですよ」という答えが返ってきた。聞いたところ日本人とのハーフらしい。顔立ちは日本人とはちょっと違うが、どことなく日本人の雰囲気がある紳士だ。ものすごく流暢(というよりネイティブ)な日本語。やはりパリの航空会社は日本語ができるスタッフは重宝されるのだろう。街の中でも日本人はうようよいるからね。

 昼飯にサラダとラザニアを食べ、シャンゼリゼからちょっと入った小洒落た散髪屋(というより男女兼用の美容院)で散髪。全く英語が通じなかったが、これくらいに短くしてくれということでビザ申請用の証明写真(散髪直後)を見せると、納得したようで店のマダムは髪を切り出した。が、とにかくガンガンと切っていく。あれよあれよという内に、めちゃくちゃ短くされてしまった。写真とは似ても似つかない程なのに、マダムは「ほら、うまくできたでしょ」と言わんばかりの自信たっぷりの笑みを浮かべるので、納得してしまった。帰って来て写真と見比べると全然違ったのはいうまでもない(写真左がオレの要求、右がマダムの自信作)。まぁ、暑い季節だから別にいいんだけどね。シャンプーも楽だし。

 その後は、マダガスカルへ行く前から見たいと思っていた(マダガスカルへ発つ日が公開だった)映画「Pearl Harbor」を鑑賞するつもりだったが、ちょうど今の部が始まったばかり。次まで待つのは長いので今日は諦める。映画は明日見ることにしよう。ライダースーツを買ったIXS(バイクウェア)専門店でなかなかいいデザインのアウトドア用のベストを購入。カブでの旅には使えそうに無いが(笑)、帰国してから釣りと野外調査に重宝しそうだ。自分へのお土産かな?

06/27 Pearl Harbor Paris/Reynaud邸に居候/48.7km

 今日は朝から洗濯。強烈に汚れたザック2つと靴を徹底的に洗った。が、ヨーロッパ一周の旅でメインに使っている34Lザックは気合を入れまくって洗ったにも関わらず、汚れは落ちず。まぁ靴はきれいになったから良しとしよう。

 昼食後は昨日見損ねた映画「Pearl Harbor」を鑑賞するために市内へ。昼過ぎに映画館へ着いたが次の部が始まるのが17時過ぎだった。他の映画館を何軒か見たけど似たような時間帯だったので、それまでは破れた靴下の替えを探すことにした。日本から持ってきた、速乾繊維のお気に入りだったが、2足で約3ヶ月過ごすとどちらも穴が開くことがわかった(笑)

 オレの中で定番になったエコル通りのキャンプ用品店へ行くが、オレのサイズが小さすぎる為(といっても25cmなんだけど)なかなかいい品が見つからなかったが、店員に探し出して貰い納得いくものを2足ゲット。これが破れたらその時考えよう。

 そうこうするうちに時間も近づいてきたので映画館へ。学割で43FF。約730円。結構安いが、ポップコーンとコーラが40FFもしたのは納得いかない。量をもっと少なくしてくれ!って感じで大量に余った。

 映画自体は公開してから20日程経っているからか客の入りは少なく、オリジナル版(英語)でフランス語字幕。でも内容は大体分かったよ。また映像は迫力満点で素晴らしい。ストーリー自体は至って普通なんだけど、ここから何を考えるのかが重要だと思う。日本人は最初から最後まで「敵」として描かれていたけど、これをアメリカ人が見て「戦争」という根本的なテーマについて考えてくれるのかどうかは疑問が残った・・・換言すれば、日本人には是非見てもらいたい。少なくとも日本人の立場なら、色々と考えることが出来るだろう。なかなかいい映画だと思うよ。時間は長く3時間もあったので、終わったのが21時前。でもまだ日が出ており夕方だ。

 映画の後カブの所に戻ると、なんと後ろ半分が鳥の糞にやられている・・・持っていたティッシュで拭こうとするが固まっていて取れない。シートの汚れだけは何とか取ったが、他はどうにもならないのでとりあえず家へ戻る。帰宅後、速攻で水洗い。木片でこそぎ落とし、なんとか元通りになった。

 休む暇なく、昼に干したザックと靴を取り入れる。ここは空気が乾燥しているので、乾きも早い。鳥の糞まですぐに乾燥するのはたちが悪い。

06/28 グリーンカード更新 Paris/Reynaud邸に居候/48.5km

 パリを発つ前に、グリーンカード(保険)を更新しておかなければならないので、今日は4月に凱旋門そばの自動車クラブから聞き出したBAGNOLET(パリの隣町)の保険屋へ行ってみることにした。パリ市内に1軒あるのは分かっているが、今後旅行する人の為にも購入できる場所が1箇所より2箇所の方がいいだろうからね。

 メトロを乗り継ぎ目的地へ到着。保険屋が入っているビルのインフォメーションで聞いてみたところ、なんと移転したらしい・・・で、その移転先というのが4月に購入したパリ市内の店だった。笑うに笑えない、とんだ無駄足を踏んでしまった。その後はやる気も無くなり、惰性で市内へもどり、移転先の店で特に苦労することもなく保険を更新。3ヶ月有効のものを購入した。ここの保険は西ヨーロッパでしか通用しないようなので、東側へ入った時にはそこで新しく保険を購入するつもりだ。3ヶ月以内には西ヨーロッパを抜けるはずだからね。

06/29 ダイヤモンド展覧会 Paris/Reynaud邸に居候/63.5km

 今日はとにかく大忙し。マダガスカルから持ち帰った鉱物標本を日本に送るためにまず郵便局へ記入フォームをもらいに行く。お母さんが買い物へ行くというのでついて行き、そのついでに郵便局へ寄った。

 スーパーマーケットで買い物をしたのだが、なんとウサギの肉を売っていた。珍しそうにオレが見ていたら、お母さんが「トライしてみる?」というので昼飯はウサギになった。味はなかなかでおいしかったよ。

 昼食後フランス語の意味をお父さんに聞きながらフォームに記入。郵便局は昼休みに入っていたので、その間はカブの洗車と風防の撥水処理をした。その後再度郵便局へ。親切にもお母さんが車で送ってくれた。約8kgのダンボール箱なので、470FFも掛かった。貴重な標本がたくさん入っているので、無事に着いてくれることを祈るばかりである。

 そうこうするうちに夕方になり、Emmanuelさんと彼の友達と一緒に見ることになっていた、ダイヤモンド展覧会の会場のあるパリ市内へカブで疾走。迷わず会場に着き(というのも、実は4月に1回来ている)、無事コンタクト。一緒にベトナム料理の夕食を食べた後、ダイヤモンドを鑑賞。ダイヤモンドは特に好きなわけではないが、あまりにデカいダイヤとそのクオリティーには2回目にも関わらず圧倒されてしまった。これだけのダイヤが一箇所に集まるのは世界でもはじめてのことらしい。

 そんなこんなで結局帰宅は夜の1時。忙しくて疲れきった1日だった。

06/30 Reynaud家での1日 Paris/Reynaud邸に居候/1.1km

 昨日の疲れのせいだろうか、起きたのが昼前。土曜日ということもあって、お母さんも寝坊したと話していた。今日は1日Reynaud家でホームページ作成に励むことにしていたのだが、仕事に取りかかったのが昼の4時。休憩がてらカブに給油をしに近くのスタンドへ行った以外はじっとしていた。なかなか仕事ははかどらず、たまっているメールの返事を一気に書くつもりだったが、マダガスカルのフォトギャラリーの作成だけで多大な時間を費やしてしまった。申し訳ないけど、メールの返事はもうしばらく待ってください。必ず書きますから。

 夕食はお父さんとお母さんと3人で。実はEmmanuelさんは友人の結婚式ということで昨日の展覧会の後、ボルドーへ出かけている。スープとメインディッシュ(マカロニグラタン)と食後にチーズとフルーツ。多分フランスの一般家庭料理なんだろうなぁ。

 実を言うと、明日の朝この家を発って、ルクセンブルクへ向かおうと思っている。今日が最後の夕食ということもあって、食後に記念撮影。天気もいいので、庭にテーブルを出しての夕食だったが、日が暮れた後は結構寒い。

 夕食後、マダガスカルのフォトギャラリーを見せるととても喜んでくれた。色々と親切にしてくれて、オレをこの家の子のように扱ってくれたReynaud家はとても居心地が良かった。明日の別れを考えると辛いけど、それはオレが旅人である為のルールだから、その寂しさは堪えるしかない。この家で過ごした時間をオレは一生忘れないだろう・・・それもまた、オレが旅人である為のルールだから。


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