縦横夢走 2007年 沖縄 編
美ら島の魅力を (2007/08/10-08/15) ・08/10 雨の1日
・08/11 暴風雨の中を・・・
・08/12 雨のヤンバル
・08/13 美ら海と美ら島
・08/14 オレの旅を支えているもの
・08/15 石垣島へ
08/10 雨 雨の1日 沖縄県那覇市/友人の家/200.1km
今日は朝から雨。沖縄に来て5日目になるが、本格的な雨は初めてである。今回の旅では、3週間滞在することになっているのでこういう日も何度かはあるだろう。雨の日の過ごし方は色々あり、1つは安息日にしてしまうこと。2つ目はカブを使わず近場を巡ること。3つ目は室内施設が中心になるようなプランに変更すること。4つ目は雨を無視して突き進むこと(笑)
今回は3つ目の室内施設が中心になるようにプランを組んで行動した。安息日にしても良かったのだが、今回の旅は気の知れた友人の家で滞在している為、日々の疲れは完全に取れている気がする。近場を巡るのは、沖縄はいつ台風が来るか分からないような地域なので、台風の時に使いたいところ。
ちなみに沖縄の道路は雨の日には極端に滑りやすくなる。これは沖縄の道路に使われている大部分の舗装には、「琉球石灰岩」が混ぜられており、それが滑る原因を引き起こすそうだ。どれくらい滑るのかは説明しにくいが、オレが予想していた以上に滑るので困ったもの。ちょっと強めにブレーキングするとズルッといくので気を抜けない。雨の石畳の道を走る時のように慎重に操作しないといけないので、走るだけでも結構疲れる。しかし交通量の多い道路では部分的に滑りにくい新しい舗装になっており、その上に乗るとホッと一息という感じだ。
Tシャツの上からGORE-TEXのレインスーツを着込み、まずは国道58号をひたすら北上する。途中までは先日通ったルートだが、どんどん進んで「名護」へ入る。そこからさらに少し北上し、友人に教えてもらった「前田食堂」というそば屋で昼食。600円でボリューム満点の牛肉そばを満喫した後は、天気がよければ屋我地島と古宇利島へ行きたかったのだが、風が非常に強かったのでそれはキャンセル。少し戻って、国道505号で今帰仁方面へ進む。雨と風で視界は悪いものの、暑さは随分マシなのはちょっと助かる。
お次は「備瀬」という集落にあるフクギの並木へ。フクギとはオトギリソウの仲間で、分厚い葉っぱを数多く付ける樹木のこと。この集落では、それぞれの家の回りにフクギを植えることによって、暑さに耐える村づくりをしていたそうだ。ちょうど備瀬に着く頃には雨もあがったが、雨が上がると途端に暑さがどこからかにじみ出てくる。そんな時にカブでフクギ並木をそろそろと通ってみたが、なんと驚くほど涼しかった。それもそのはず。写真からも分かるように、うっそうと生い茂るフクギの下はほとんど日が差さない。先人の知恵によって少し涼しい思いをしたが、並木道を抜けて海岸で休憩していると、またまた雨が降り出した・・・備瀬集落のすぐ隣には、有名な「美ら海水族館」があるので、次はそこへ。
かなり有名な所なのである程度予想していたが、ありえないくらいの人だかり。沖縄には毎年数多くの観光客が訪れる。それに耐えうるだけの見所がたくさんあると思うが、そのほとんど一部の場所に集まっている気がする・・・というのも、めちゃめちゃたくさんある駐車場も満車がほとんどで、止めてあるクルマのナンバーを見ると、そのほとんどが「わ」ナンバー。つまりレンタカーというわけだ。
あまりの人の多さに正直うんざりしてしまったが、ここまで来たので一応見学することに。見学した感想としては、確かに素晴らしい水族館だと思う。観覧者を喜ばせるような工夫も色々とされている。深海の生物の展示なんかもあったので、内容としてはなかなかのもの。世界最大のアクリル製巨大水槽にはジンベイザメが優雅に泳ぐ姿が見られ、その大きさには圧倒されるものがある。
が、これだけ人が多いと、展示物を見ようにも見えない。もともとそれ程たくさんの人を収容できるような施設では無いのに、多くの人間を入れてしまうもんだから、全ての水槽の前に人だかりが出来ている・・・そんな状況だったので、入場料の1800円は非常に高く感じた。これだったらいっそのこと、スペインのアルハンブラ宮殿のように入場者数を制限する方がいいかもしれないと正直思った。
水族館から出てくると雨も止んでいたので、再び名護を目指す。途中パイナップル畑を見かけたので立ち寄ってみると、花が咲いているパインを見ることが出来た(ロールオーバーイメージ)。
余談だが、パイナップルの実はほとんどの人が食べた事があると思うが、実がどのように出来ているかは知らない人も多いんじゃないかなと思う。写真のように地面から茎が伸びてきて、その先にパインの実がつく。そこからしばらく進んだところで突然大粒の雨が降ってきたのだが、すぐ横に「OKINAWA フルーツランド トロピカル王国」なるものがあったので、休憩がてら立ち寄ってみた。熱帯地域の多種多様のフルーツが実際に栽培されており、オオゴマダラという蝶や熱帯の鳥などを見ることができる施設だが、正直かなりつまらなかった。ツアー会社の観光プランに組み込まれている場所らしく、観光客が多く訪れるようだが沖縄で見るべきものでも無い気がするぞ・・・
そんなこんなの1日だったが、夕食を食べた友人の家近くで見つけた食堂はかなりヒット。ソーメンチャンプル定食(何故か刺身つき)はなかなか美味くて、しかも安かったので大満足。道中試食したスナックパインもなかなか美味しかったし、今日は食べ物に縁があった日かもしれない(笑)
08/11 暴風雨 暴風雨の中を・・・ 沖縄県国頭村/国頭村森林公園(樹上ハウス)/(171.5km)
今日の雨は一味違う。まぁ言ってみれば「暴風雨」というやつで、すさまじい雨と風に見舞われている状況である。
今日・明日はお世話になっている友人の仕事が休みだということで、一緒に一泊でヤンバル(沖縄北部)にツーリングに行こうという事になっていたが、大雨洪水警報が出ている状況から察すると、さすがに無理だということで、友人の車でヤンバルを出かけることにした。
駐車場を出て、車に向かう数十メートルでズブ濡れになるという状況だったが、何とか出発。那覇市内でも大雨で冠水している場所もあり、立ち往生している車も見かけた。友人の話だと、沖縄はもともと水が少なく苦労が多い地域なので、水を集める工夫は多いが、排水ということに関してはインフラ整備などまだまだの部分が多いらしい。なので、台風などの大雨の際には、洪水被害なども多いようだ。
そんな状況なので高速道路も通行止め区間があり、その区間は一般道を使ったが、そのおかげで随分時間をロスしてしまった。
通行できる高速道路といっても、画像のような状況。凄まじい雨で、ワイパーもあまり役に立たず。
悪天候の中、無事に昨日走った「名護」までやってきて、オススメだというそば屋で昼食。どんべぇに似たような味だった(笑)
ちなみに、 こちらでいう「そば屋」はみな沖縄そばの店のことを指す。内地でいういわゆる「そば屋」は「日本そば」という看板を掲げている。その後はそのままヤンバルへ。雨なので予定していたスポットにも回ることが出来ないが、沖縄では珍しい山道を通り東岸へ出る。こういうのは車の強み。カブだととても回り道をする気にはなれないが、車だと視界も悪いが濡れることはないので助かる。
東側に抜けると、パイナップルなどのフルーツを販売している店が時々見られ、そこで各種フルーツを調達。その後も何軒かに立ち寄り、フルーツ盛りだくさんになった。
普通のパイン・スナックパイン・島バナナ・イエローパッションフルーツ、グァバ、マンゴーと凄い量になった。値段も激安で、パインは普通のパインを200円で買ったらスナックパインを3こおまけでくれたし、島バナナは350円のところが300円にまけてもらった。高級果実で有名なマンゴーは、15cmはあるかなり大きな玉で、色も赤く美味そうなのに500円とかなり安かったので、結構いい買い物だったと思う。ひとつ勉強になったのは、熟してない緑のバナナはかなり危険だということを知ったこと。普段黄色いバナナしか食べることはないが、試しに緑バナナを食べてみたら凄かった・・・きゅうりを渋くしたような味で、食感もきゅうりのようにゴリッと歯ごたえがあり、とても食えた物ではない(笑)
今夜のお宿は、国頭村にあるキャンプ場の樹上ハウス。バンガローみたいな感じだが、なかなかよいところだ。値段は1棟6000円とちょっと高いが、5人まで収容可ということなので多人数で借りるには非常にお得。樹上生活という感じで雰囲気もある。
夕食はビール・泡盛の酒類と各種つまみとフルーツ類。スナックパイン、島バナナ、イエローパッションフルーツはなかなかの美味だったが、3個150円のグァバは悲惨・・・多分熟していないからだと思うが、味と食感はマグロのようなもので甘味が全く無く、閉口してしまった。期待のマンゴーは明日の朝ご飯にする予定なので、明日の楽しみにしておこう。
08/12 雨 雨のヤンバル 沖縄県那覇市/友人の家/(200.9km)
昨日から雨は幾分弱まってきたものの、雨は降り続き今朝に至る。朝食はバナナとマンゴー。マンゴーは綺麗に剥く事ができなかったが、味は甘くて満足。樹上ハウスを引き払い、まずは近くのスーパーでもずくのてんぷらとポーク卵(沖縄では一般的なもので、目玉焼きとポークランチョンミートのこと)のおにぎりを食べる。
今日はオレの運転で移動を開始し、沖縄本島最北端の「辺戸岬(へどみさき)」へ。雨なので展望も最悪だったが、土産物屋のおばちゃんから面白い話が聞けたので書いておこう。
友人が『那覇の首里から来ました』と告げると、『じゃあお侍さんだねぇ』と。どういうことかと言えば、昔首里の辺りは城下町で、内地で言うところの武士や役人が多かったらしい。その為、規律正しいところがあって、ヤンバルから首里に嫁に行った女性なんかは随分苦労したという話だ。そんな時代では首里に住む人たちから、ヤンバルの住民は馬鹿にされることが多かったらしいが、今ではヤンバル出身の人が県政において上の立場の人が増えてきたらしく、今ではヤンバルの人が沖縄を動かすようになったとも言っていた。辺戸岬を後にし、次は「奥集落」へ。「奥」は沖縄に多くみられる「共同売店(共同店)」発祥の地らしい。約100年も前からスタートしたという「共同売店」とは、いわゆるコンビニのようなもので、食料品から生活必需品までを扱っている店なんだけど、集落の住民がお金を出し合って経営しているというもの。つまり、住民の生活の為に住民達が協力して売店を経営しているというものだ。
品揃えは田舎のスーパーと言った感じだが、その地域の名産品が売っていたりするのでなかなか楽しい。その後は東側の県道70号を南下し、広大な海兵隊の演習地の側を抜けていく。昨日立ち寄った東村にある店で、昼食として「じゅーしー」なる葉っぱに包まれたものを購入。中身はと言うと、いわゆる炊き込み御飯で、こっちではじゅーしーと呼ぶらしい。葉っぱは月桃の葉で茎を箸としてつけているなかなか洒落たものだった。
お次はさらに南下し、慶佐次湾のヒルギ林へ。ヒルギとはマングローブのことで、ここは本島随一のものらしい。遊歩道も整備されているが、あいにくの雨なので展望台から写真だけを撮影した。
水の色が凄いことになっているのは、沖縄や石垣島などで有名な「赤土流出」という現象。この辺りは赤土が多く、雨が降ると海に流出するという現象が起こっている。そのせいで貴重なサンゴが死滅するというような問題が起こっている。昨日からそんな現象を間近でみているが、かなり酷い有様で、美しいはずの海が、まっ茶色になっているのをみると悲しいものがある。
マングローブを間近で見たのは初めてだったが、複雑な根を干潟の中に伸ばしていて迫力はあった(根の拡大はロールオーバーイメージ)。
ちなみにマングローブは、汽水域に生えているが、体の中に海水を分解し、水だけにするシステムがあるらしい。空気については「空気根」というのがあり、その根から空気中の酸素を直接吸って生きているそうだ。そんなマングローブがプランクトンの養分を作り出し、そこにプランクトンが増え、それを狙って小魚や甲殻類などが集まり、さらにそれを狙って大きな魚が集まるという「生態系の要」になっているらしい。その為、この近くでは小さなマングローブを人間が植えたような場所がたくさん見られた。その後はぶらりぶらりと那覇へ戻り、沖縄随一のスポーツ用品店でデイバックを購入。こちらに持ってきたものがちょっと小さすぎて使いづらかったので、いい機会なので1つ購入することにした。ついでに長袖のTシャツも1枚購入。その後は夕食に沖縄文化になっているという「ステーキハウス」でニンニクの揚げたものがどっさり乗っているステーキを食べて無事に帰ってきた。1泊2日のヤンバル巡りは、雨で道路が崩れているところも多数あったが、普段とは違う沖縄の顔を見られたということでそれはそれで良しとしよう。
今週は、週間天気予報を見る限りあまりぱっとしない天気が続くようなので、ちょっと憂鬱である。14日から石垣島へ渡る予定になっているが、一体どうなることやら!?予報が変わって快晴の石垣になってくれることを祈りたいところである。
08/13 曇り/晴れ 美ら海と美ら島 沖縄県那覇市/友人の家/138.1km
天候は曇り。時々晴れ間も差しているので、今日は海を見に行くことにした。沖縄本島中部の東側にある海中道路(といっても海の中を走っているわけではない)を通って渡れる島へ向かうことにした。
海中道路の先にはいくつかの島がある。そのうちには馬鹿でかい沖縄石油基地もある。さらにその先まで足をのばすと、美しい海があらわれた。水底のサンゴがきれいに見えるくらい水は透明で、さすが沖縄と言いたくなるような風景に出会うことが出来た。
こういう景色のところでは色々と寄り道したくなるのが人の性というやつで、今日もご多分に漏れずウロウロと見知らぬ細道に入っていく。まさに絶景と呼ぶに相応しい場所もいくつか見つけることができたし、面白いものに出会うことも出来た。それがこの葉っぱ(ロールオーバーイメージ)。採集していたおばさんの話では、沖縄を代表する織物である芭蕉布の材料になる芭蕉らしい。切りくちの液が服につくと取れないから気をつけてねと言われ、汚れないように観察したが、茎の断面がらせん状の模様になっており、切ると芯にあたる部分が徐々に飛び出してくるなど、とても不思議な植物だった。
一旦海中道路を戻り、平敷屋港からフェリーで「津堅島」へ。「津堅島」は南北2km東西1kmの小さな島だが、中央部から北部はほとんどニンジン畑で、キャロットアイランドと呼ばれている島である。
カブを載せたフェリーは30分で到着し、うろうろ回ってみたものの、ニンジンは見当たらない。その代わりにサツマイモのような苗をたくさん植えており、辺り一面すべて畑といった状況。他にはパパイヤなんかもたくさん生えており、ここが亜熱帯であることが理解できる。
ちょうど畑で作業している兄ちゃんが居たので声を掛けてみると、ニンジンは9月に植え付けるらしく、今はその直前なんだとか。9月に植えたニンジンは3月に収穫するらしく、最近はニンジン以外にも紅芋などを植えているんだって。兄ちゃんはこの島出身で、親切に色々と島のことを教えてくれた。
次のフェリーが来る3時間半の間に島中を回ってみたが、この島には特に何があるというわけでもないが、それが魅力なのかもしれない。オレも砂浜で何も考えずぼけ~としていたが、そういうのも悪くないと思った。
08/14 曇り/晴れ オレの旅を支えているもの 沖縄県那覇市/友人の家/288.7km
今日は石垣島への移動日・・・だと思い込んでいたが、今朝になってフェリーの配船表をよ~く見てみると、なんと出発は明日だった(笑)
まぁそんなこんなで毎度おなじみのボケが炸裂したところで、気を取り直して今日の出来事を書いていこう。結論から言うと、今日は非常に盛りだくさんな楽しい1日だった。朝は9時半に出発。天気は悪くないので先日痛い目に会ったヤンバルにリベンジしてやろうというわけで、国道58号を北へ向かう。道中、沖縄では有名なハンバーガーショップ「A&W」(沖縄では何故かエンダーと呼ぶらしい)で昼食をとる。
北へ北へとひた走り、昼前には名護へ入る。そのまま北上し、先日強風の為行けなかった屋我地島と古宇利島へ寄り道。画像はまるで道路が空へと続いているような錯覚に陥る「古宇利大橋」という橋。本当に空まで続いてそうな道路の下は、透き通るような透明の海。その風景に思わず唸ってしまった。
見渡す限りサトウキビ畑というところがたくさんあり、ちょこっと畑の中に入ってみたが(ロールオーバーイメージ)、ススキのような背丈よりも高い草の中では、自分が小さくなってしまったような錯覚に・・・なんだか夢のような場所だったが、寄り道をした甲斐が十分にあった。その後もどんどん北上し、道の駅「ゆいゆい国頭」で休憩。さらに進んで沖縄本島最北端の辺戸岬へ到着した。最北端には「祖国復帰闘争碑」というものがあり、鹿児島県の与論島を見つめながら、かつて本土復帰を願った沖縄の人々の思いが刻まれていた。
国道58号の終点は「奥」集落。先日は雨で共同売店にしか寄らなかったが、今回は集落の中も散策。沖縄独特の赤瓦の家もあり、ひっそりとたたずむ村を見て回った。
そこからは県道70号に切り替わり東岸を南下していく。気持ちのいいワインディングだが、毎年何尾かのヤンバルクイナが交通事故で死んでいるようで、「ヤンバルクイナ飛び出し注意」の看板が多い。また、この辺りの道は、内地の山道とは明らかに違う。何が違うのかと言うと、まわりの「植生」が違うのだ。見たことも無い南国特有の大きなシダ類が生えていたりで、車だと気づかなかった発見も多かった。
さらに南へ下ると「タナガーグムイ植物群落」という看板があり、右折してみる。駐車場から山を降りていく道があり、回りにはたくさんの亜熱帯性植物が群生している。ロープを使い下っていくが、晴れていたら大したことのない道だが、先日の雨の影響もあり地面が滑る滑る。下まで降り切ると、大きな滝が姿を現した。水辺では泳いでいる人や深みに飛び込んでいる人も居て、結構有名な場所のようだった。
タナガーグムイから少し南へ進むと、辺り一面パイナップル畑になった。広大な畑の中に、頭に大きなカゴをかけて作業をしているおばさんを発見したのでカブを止め、「収穫作業を見せてもらえませんか?」と大声で話し掛けると、「こっちにいらっしゃい」と快諾してくれた。おばさんはこの辺りのパイン畑をたった1人でやっているらしく、突然やって来たオレに色々と教えてくれた。
パイン畑では、“歩く方向”がポイントなんだとか。毎日同じ場所を同じ方向に歩くことで、葉っぱの先が足に引っかかってこないようになるそうだ。逆方向に歩こうとすると、葉っぱが足にひっかかりロクに歩けないそうだ。ということで、おばさんの後に続きながら作業を見学する。
全てのパインには新聞紙がきれいに巻かれており、これは日焼けするのを防ぐ為にわざわざ手作業で巻いているらしい。新聞紙には収穫時期がわかるように印を入れており、今日は赤い印をつけたパインだけをチェックしていた。これはなかなか効率的。ちなみにここのパインは1つの苗から3回収穫するそうで、苗を植えてから1回目の収穫までには2年がかかるらしい。今日はジュース用のパインを収穫中とのことで、ある程度熟したものを次から次へと頭に紐を掛けたカゴに放り込んでいく。熟したパインは手で折り曲げるだけで取れるらしく、面白そうだったのでオレもやらせてもらったが、力を入れなくてもポロッとパインだけが簡単に取れた。ちなみに果物として出荷するパインは少し未熟なうちに収穫するので、こんな風には取れず、わざわざカマで切っていくそうだ。またパインの食べ頃についても聞いてみたが、完全に黄色になっているのは熟れ過ぎで、下3段が黄色くなった頃が一番美味しいんだって。
パインについて色々と教えてくれた親切なおばさんは、帰り際にもぎたてのパインを1つプレゼントしてくれた。旅をしていると、突然現れたオレに対して凄く親切にしてくれる人も多い。「ありがとう」と言う時、多くの人の親切によってオレの旅をが支えられている事を実感できる瞬間である。
パイン畑を後にして、お次は慶佐次湾のヒルギ林へ。今回は遊歩道をじっくり歩いて、マングローブとそこに集まる小さな生き物を観察。干潟には、無数の穴が開いており、そのひとつひとつにちいさなシオマネキ(片方の鋏だけが非常に大きいカニ)が住んでいて、ちょこちょこと動き回っていた。シオマネキ以外にも別の種類のカニや、ハゼの仲間のような魚、水中を泳ぎ回る小魚などが見られ、そこはたくさんの生き物の生活の場になっていた。マングローブ林が生態系の要になっているということを、この目で確かめることが出来たのは収穫だった。
そのまま東岸沿いの道を南下し、金武町にあるキャンプハンセンのゲート近くにある「キングタコス」という店で夕食を食べる。沖縄では「タコライス」という食べ物が有名なのだが、それを最初に始めた店らしい。タコライスとは、タコスの具をライスの上に載せて食べるというものだが、ピリッときいたトウガラシが沖縄の暑さにマッチしていてなかなか美味い。この店はボリューム満点という触れ込みだったが、まさにその通りで満腹になって那覇への帰路についた。
最初に書いたように、明日は石垣島への移動日。出港は夜だが、乗船手続きは夕方になっているので、明日はあまり行動出来なさそうだ。沖縄へ来て、メッシュグローブに穴が開いたので、グローブは調達しておきたいところ。まぁ明日は買い物と荷造りをのんびりすることにしようかな。
石垣島へは16日早朝に到着で、ドミトリーの宿を予約済。また、18日から21日は西表島へ行く予定をしているので、WEBサイトの更新はどうなるか未定。ここしばらくは天気予報でもイマイチの予報で、おまけに台風まで発生しているので少々悩ましいが、「ナンクルナイサー」でいきたいと思う。「ナンクルナイサー」とは沖縄の方言で「何とかなるさ」という意味。オレにぴったりの言葉かもしれない(笑)
08/15 晴れ/曇り 石垣島へ 沖縄県那覇市/友人の家/22.1km
今日は石垣島への移動日。今回は間違いない(笑)
その証拠に、フェリー会社から出港の時間が変わったと電話があったからだ。夕方5時前に乗船手続きをしてくださいとのことだったので、今日は安息日みたいなものになった。
破れたグローブを新調し、荷造りに励む。といっても大した荷物でもなく、そんなに時間はかからないが、のんびりまったり過ごすことが出来た。
5時前になったのでフェリー乗り場へ向かい、いよいよ乗船。大阪から那覇へ乗ったのと同じフェリーだった。明日の早朝には石垣島へ着くとのことなので、出発前にシャワーを浴びてきたし、船の中ではビールを飲んで寝るだけ(笑)
そのつもりで乗船早々ビールを飲んでベッドに入ると、いつのまにやら深い眠りに誘われてしまった。その後、オレを乗せた船は進路を石垣に向け出港したのだった・・・