縦横夢走 2005年 北海道 編
北での出会い (2005/08/10-08/17) ・08/10 いざ北へ!
・08/11 見渡す限りの水平線
・08/12 丘
・08/13 北海道を満喫!
・08/14 旅の道連れは・・・
・08/15 川との対話から
・08/16 楽しい一時を・・・
・08/17 船は南へ
08/10 曇り いざ北へ! 日本海/新日本海フェリー上/106.5km
定刻どおり仕事は終了。すぐさま自宅へ帰り準備が始まる・・・といっても、ほとんどの準備は昨日のうちに済ませているので、実際は携帯電話の充電器をバッグに入れたり、着替えをしたり、飯を食べたりという感じなんだけど、出発前になってドキドキしてきた。
旅の行き先は、日本の北端の地「北海道」。実は今まで一度も行ってなかったりする。行く機会は何度かあったのけれど、縁が無くて結局今回がはじめての上陸となる。
「北海道」という言葉を聞いて、あなたは何を想像するだろうか?まっすぐな道路、新鮮な海の幸、圧倒されるような自然など。他にもたくさんあるだろう。荷造りを終えて、カブのエンジンをかける前に目を閉じて、まだ見ぬ日本の北端「北海道」を想像してみた・・・。そこでオレを待ち受けているのはいったい何だろうか?
いざ出発!時間は夜7時半をちょっと回ったところ。自宅のある豊中市から、小樽へ向かうフェリーが出港している京都の舞鶴までは100km強。走りなれた道を通り、まずは国道176号へ。そのまま北上し、池田から国道173号にチェンジ。真っ暗な道路の中、一庫ダムの横を走り抜け北上していく。交通量は少なめで、時々大型トラックに抜かれる程度で快調に進める。きっと景色はいいのだろうけど、夜なので何も見えないのが残念。信号で何度か止まった後、国道173号は終わり、次は国道27号。27号に入ると、交通量が増えた。といっても順調に流れているので、問題ない。舞鶴市内に入ると、今回利用する「新日本海フェリー」のドデカい看板があった。
フェリー乗り場の直前のコンビニまで、休憩無しで約2時間半で到着。見るからに北海道へ行きそうな荷物満載のバイクが数台止まっている。多分、船内で販売している食料は高いだろうと予想し、ここでまずは買出し。ビールとおつまみ、パン、ジュースなどを購入し、早速チケット売り場へ。
チケット売り場前にもバイクがかなり止まっている。中に入ると、窓口の前に行列が出来ており、かなり人が多い。フェリーは夜中の1時出港で、その時はまだ10時過ぎだったが、今日のフェリーはすでに満席。乗用車・バイク・乗客ともキャンセル待ちと表記されていた。チケット購入自体はイージーで、あらかじめネットで予約をしていたので、予約番号を告げ、カードを渡すとすぐに発券してくれた。往復割引を利用しているので、帰りのチケットも一緒に渡されたが、なくさないように気をつけよう。
チケットを購入し、カブに戻ると、そばにホンダのXR250に乗った兄ちゃんにちょっと声を掛けてみた。この何気ない出会いがかなり高ポイントだった。というのも、この兄ちゃんは、北海道出身で、今は奈良で働いているらしく、新日本海フェリーも何度となく利用したことがあるそうで、ツボを心得ている。今までフェリーは国際フェリーを含め何度も利用しているが、そんなツボなんてものは無かったので興味津々。この兄ちゃんに弟子入りすることになった(笑)
まずは乗船口の手前にまでバイクを進める・・・ここで圧巻!とにかく、バイク・バイク・バイクなのだ。今まで乗ったフェリーでも、これだけのバイクが乗り込むのを見たのは初めて。画像に写っているのは極一部なのだけど、それはそれはすごいバイクの数だった。やっぱり北海道はライダーを惹きつける魅力があるのだろうかと思うと、またドキドキしてきた。
バイクと徒歩客の乗船は11時からで、自動車は11時45分からと表示されていたが、結局船に乗り込んだのは11時半。振り分けバッグをカブから降ろし、そばにある棚に載せる。サイドスタンドとハンドルロックをして、XRの兄ちゃんとともに客室へ入る。もちろん席は2等タコ部屋(笑)
ポイント1 船内に入ったらまずは座席の確保が最優先。10人部屋みたいなのがいくつもあるので、その中でいい席を確保する。各部屋には、必ず1つ電源があるので、その電源のあるところがボックス席、壁際のハンガーをかけられるようになっている席が内野席、その他は外野自由席といった感じ。でも、いい席はすでに徒歩で乗船した人に全て押さえられてしまっていたので、結局外野自由席になった。
ポイント2 次は、風呂に入ることが重要。ここで出遅れてしまうと、乗用車の客と風呂でガチあってしまい、ゆっくり風呂につかれないらしい。あと、船内ではサンダルがあると便利。オレはサンダルはかさばるので持ってきて無いが、あると便利かな。
ポイント3 カップ麺を持ち込むべし!給湯室があり、いつでもお湯がもらえるし、船内のレストランは非常に高いので、カップ麺はオススメ。オレは知らなかったけど、船内の売店でも売っているので、助かった(売っていない場合もある)。また、ビールは高めなので、持ち込んだほうがいいと思うが、ジュースは120円で売っているので、持ち込む必要なし。
ポイント4 タコ足を持ってくるべし!電源は争奪戦になるので、そこで役立つのはタコ足。今持っていないのが残念だが、北海道についたらコンビニで買っておこう。
ひとっ風呂浴びた後は、甲板へでてビールを頂く。近くにいたライダーに声を掛け、ちょっとした宴会に。といってもたった4人なのでささやかな感じ。しかもこの4人のうちオレを含めた3人は、帰りの便も同じらしい。
そんなこんなで結局朝の5時まで飲み続け、オレ達を乗せた船は北海道へ向かっていく・・・
08/11 晴れ 見渡す限りの水平線 札幌/ライダーハウス「オートハウス」/48.1km
おはよう。5時過ぎに寝たにもかかわらず、9時に腹が減って目が覚めた。とりあえず昨日買ったパンをかじり朝食にする。多少空腹もおさまったところでまた寝る。再び11時に、またもや同じ原因で目が覚めた。今度は売店でカップ麺を買い、それを食べて昼食にする。食べた後はもちろんまた寝る。次に目が覚めたのは2時半。いつまでもぐうたら寝てばっかりも何なんで、PCを片手に部屋から出る。船内のコンセントのある壁の近くのテーブルを陣取り、執筆活動。というより、この船は娯楽施設が無い。しょっぼいゲームセンターがあるくらいで、バーなども無い。そんなだから、暇をつぶす手段として、PCに向かっているわけ(笑)
ちなみに今乗っているフェリーは、昨年7月に就航したばかりの新型船で、つくりは全てが新しい。大型の外洋フェリーにもかかわらず新開発の推進装置を装備し、速度は30ノット(約60km/h弱)も出るらしい。舞鶴から小樽まで、今までは28時間だったところを8時間短縮され、今では20時間になったそうだ。といっても、夜9時に小樽に着かれても少々困ってしまうが・・・景色は見渡す限りの水平線で飽きてきた。とりあえず電源を確保しているうちに、PCと携帯を充電しておこう。
小樽には定刻どおり夜9時に到着。とりあえず手近なキャンプ場を目指して、道々1号線に入る。キャンプ場に入る前にまずは腹ごしらえ。道沿いで見つけたラーメン屋で味噌ラーメンを賞味。ちぢれ麺は食べなれていないが、結構美味かった。
ラーメン屋を後にしてキャンプ場へ・・・の予定だったが、看板を見逃してしまい(というか、看板が無かったのかも?)通り過ぎてしまったので、逆走するのも何なんで、札幌郊外のライダーハウスを目指すことにした。この道々1号は峠越えの道で、どんどん標高が上がっていく。
「寒い!!」 これが正直な感想(笑) 日中は結構暑いらしいが、やはり夜は結構冷え込む。気温は20度。メッシュジャケットの下に、長袖のTシャツを着てはいるが、寒すぎるのでレインスーツを上から着込んで疾走する。途中でキタキツネを見たぞ。約50km走り、ツーリングマップルに載っているライダーハウスの「オートハウス」に不時着した。ライダーハウス自体初めての経験だったけど、なかなか面白い。このライダーハウスについては明日書いてみよう。
08/12 晴れ/曇り一時雨 丘 美瑛/ライダーハウス丘/229.2km
宿泊客の話では、このライダーハウスはかなり特異らしい。 焚き火が出来て、風呂は五右衛門風呂。入る直前に薪を追加したので、危うくケツをやけどしそうになった(笑)
とにかく賑やかで、昨夜は1時過ぎまで飲んだ。とにかく、宿泊客は全てライダーってのが凄い。みんなそれぞれバイクにこだわりを持っているから、その話を聞くのも楽しいし、1人でキャンプとはまた違った楽しみがある。早起きするつもりが、起床は8時半。今日はそんなに移動するつもりも無いので、まったりするのも悪くは無い。今日の目的地は美瑛。富良野のちょっと北にある丘陵地で、友人の話ではかなりいいところらしいので期待。まずは道々1号で札幌へ向かい、途中で道を折れて中心街は迂回する。迂回したけど渋滞に巻き込まれた。その後は国道274号、道々3号と乗り継ぎメロンで有名な夕張に到着。ちょっと腹もへってきたので、道端にあった野菜直売所でゆでとうきび(トウモロコシ)を食べ小休止。道々38号、国道452号、道々135号、国道38号と乗り継ぎ、お次は富良野へ。
GPSでのアベレージスピードは50km/hオーバー。北海道はとにかく“余裕”が感じられる。路肩も広いし、何より本州と比べるとカーブが緩やか。道路だけでなく、空間そのものに余裕があるね。カブでも平気で70km/hで走れてしまし、凄く快適。ライダーは北海道に憧れるのも納得してしまう。看板も豊富なので、道に迷うことが無いのは嬉しい。感覚としては、ヨーロッパの道路と本州の道路の中間のような感じ。
富良野で給油し、昼食に豚丼を食べたが、これはかなり良い。ボリュームがあって、味も良い。しかも安いときたもんだ。たらふく食ってお腹いっぱいになったので、富良野と言えばラベンダーということで、ラベンダー畑のある富田ファームというところへ寄り道。残念ながらラベンダーの時期にはちょっと遅すぎたけど、色々な花が咲いていて気持ちよかったな。またここでは、ラベンダーラムネなる飲み物を飲んでみた。味はラムネに微妙に味がついている感じで不味くは無かったが、普通のラムネとどっちがおいしいか?と問われると、どっちも一緒と答えてしまう味だった(笑)
富良野から美瑛は目と鼻の先。とりあえず丘という名のライダーハウスに荷物を置いて、丘巡り。見渡す限りの牧草地ってのも本州では味わえない感覚なんだろうな。途中夕立にやられてずぶ濡れになったけど、その後に虹が見られたからまぁよしとしよう。
ライダーハウスに帰ると、ジンギスカンをやるとのことで、素晴らしい夕食にありつけた。ビール片手にジンギスカンとは、なんて贅沢なんだろうと思いながら、夜も更けていった・・・
08/13 晴れ 北海道を満喫! 足寄/オンネトー国設野営場/325.1km
今日は北海道を満喫した1日だった。草原あり、ワインディングあり、キタキツネあり、ダート走行あり、温泉あり、直線道路あり、名所まであって、さらに転倒1回というオマケまでついてきた(笑)
順を追って話していくと、今朝はとにかく早起きだったので、早々と支度を済ませ驚異的に朝7時に出発。まずは早朝の美瑛の丘巡り。朝の空気はすがすがしくて気持ちいいが寒い。約1時間の丘巡りの後は道々37号を北上し、旭川を迂回する。数kmも続く直線道路もいかにも北海道という感じ。
その後は道々140号から国道39号と走り、大雪山の北側を回る。早朝に出たので腹が減ってきたこともあり、途中のドライブインで「あげじゃか」を食べてみた。ジャガイモにフランクフルトの皮がついたようなもので美味しかったな。
そのまま国道39号を進み、お次は層雲峡へ。層雲峡では柱状節理の絶壁を眺めながら進む。標高がどんどん上がって来て寒くなってきたので、レインスーツを上から着込む。さらに進んで三国峠のトンネルの地点で、標高はGPSの値で1150mを指していた。三国峠からは樹海の中をひたすら進む快適な道路でかなり気持ちいい。あっという間に「糠平湖」までまでやってきて、ここからは道々85号へ。勾配が急だったが、カブの2速がぴったりフィットでワインディングを楽しんでいると、そいつは居た!
そう野生のキタキツネである。道路脇でじっとしていたので、カブを止めカメラを持って走る。もう逃げてしまっているかなぁと思ったが、人間に恐れる風もなく、そのままじっとしている。結局1mくらいまで近づいたけど、一向に逃げる気配は無く、こんな写真が撮れてしまった。これではまるで“野生”とは言えまい・・・オレは、野生動物には絶対に餌を与えない。もちろん餌を投げて、それを食べる姿を見てかわいいとは思うが、それをやってしまうと、その動物、もっと言えば「生態系」自体に悪影響を与えてしまう。このキタキツネはその被害者で、人を全く恐れる様子が無い。もはや自分の力だけでは生きていけないように成り下がってしまったから、こうやって人に近づいて餌を求めるのだ。その瞬間は「かわいい!」でいいかもしれないが、その本質は「哀れ」ではないだろうか?
今日のまず第1の目的地は、フェリーで知り合った北海道出身のライダーから聞いた「鹿の湯」という温泉。ここへ行くには、士幌から北上する乗用車でも簡単に行けるルートと、然別湖の北から林道を走っていくルートの2種類あり、その林道がこの道々85号から出ている。林道の入口らしき所を発見したが、思いっきり「通行止め」でゲートが閉じており通り過ぎてしまった。ちょっと進んだところにキャンプ場があったので、そこで林道について聞こうと思ったら、XRに乗ったライダーがたまたま居たので聞いてみると、「え?それ(カブ)で行くの?」と聞かれたけど、「まぁ大丈夫っしょ!」と答えてみた。「まぁ大丈夫だと思うけど・・・」と返答され、「今からそこへいくから入口まで連れて行ってあげるよ」ということで案内してもらうことになった。
やっぱり林道の入口は、さっき見た通行止めのところで、閉じられたゲートの脇を通り過ぎて、XRのライダーは走り去っていってしまった。地図によるとダートも数km程度なので、オレも続いて林道に入る。さっきのライダーはどんどん先に進んでいってしまったが、オレはのんびり楽しみながら走る。ダートといっても荒れている部分はほとんど無く快調に進んでいく・・・調子に乗って走っていると、浮きジャリにフロントタイヤをすくわれ、復帰しようとしたらリヤも流れてそのまま転倒してしまった(笑)
速度はかなり落ちていたので、立ちゴケ+α程度だったが、左のステップが思いっきりひん曲がった・・・これも思いっきり蹴飛ばしたら、まともに走れる程度までは戻ったので、そのまま出発(^^;流石に立入禁止の林道だけあって、やたらとある・・・何があるかといえば「熊の糞」。ちょっと怖かったけど、バイクのエンジン音で逃げていくだろうから、まぁ大丈夫かなと思いながら念願の「鹿の湯」に到着した。
ここも最近熊が出没したらしく(って糞があれだけいっぱいあったのだから当り前ではあるが)、併設されているキャンプ場から立入禁止のロープがかかっていた。でも、中から出てきた人が居たので、キャンプ場の奥にあるというその温泉へ歩いて向かう。まぁ夜じゃなきゃそんなに熊も出ないだろうし。
300mくらい歩いたら渓流に出て、そこに忽然と温泉が湧いている。まさに鹿がつかりに来そうな雰囲気。誰も居なかったし、早速服を脱いで温泉に入ってみた。ロケーションも言うことなしだし、湯加減もちょっと熱めだが気持ちいい。ただ問題はやたらと「アブ」がいて、結構スリリングではある。そんな状況下だが、アブと格闘しつつ、温泉も満喫。温泉から上がって服を着たところで、別の人がやってきて温泉につかっていたが、しっかりアブにも刺されていたな(笑)
温泉も満喫したので、ちょっと遅い昼食だけど、士幌でランチにすることにした。この士幌市街へ向かう国道274号線がかなり凄い。アップダウンを繰り返しながら、直線道路が16kmも続く。アベレージで70km/hくらいで快調快調♪
市街に入り、給油ついでにガソリンスタンドのおばさんに「どっかおいしい店おしえて!」と聞いたら、近くのラーメン屋を紹介してくれた。ラーメン屋についた瞬間に、「営業中」から「準備中」に札が返ったが、ゴリ押しで食べさせてもらった。ラーメンと豚丼のセットを食べたけど、ボリューム満点。豚丼はやっぱり美味しい。厚切り豚肉の蒲焼みたいな感じで、家に帰ったら自分で作ってみようかな。
腹もいっぱいになったので、まだまだ先に進む。国道241号で阿寒湖方面へ疾走。途中休憩した場所で、ハーレーに乗った親子と出会ったが、親子でしかもハーレー2台でツーリングとはオツだね。親子で同じ趣味を持っているのは素晴らしいなぁと感動し、休憩も非常に有意義だった。
その後は七色に変化するという「オンネトー」へ。ここは北海道に来る前から楽しみにしていた場所だが、やっぱり凄かった!最初に見た湖面は日光に照らされていて、まさにエメラルドグリーン。そこから横を向くと見慣れた湖の色になっている。西岸をカブでゆっくり脇見しながら進んだけど、見るたびに湖面の色が違うのだ!これには正直感動して、「すげぇ」と声が出てしまった。観光バスが乗り付けて看板があるところで記念撮影をしていたけど、もったいないなぁと思う。1箇所から見ただけでは、このオンネトーの凄さは全く分からないので、「いろいろな場所から見たほうがいいよ」と言いたかったが、緻密なスケジュールで観光をしている彼らにはそれも可哀相だと思ったので言葉を飲んだ。
そのままオンネトー沿いを進むと、国設野営場があり、時間も5時ということで今夜はここでテントを張ることにした。料金も250円とリーズナブル。さらにここから4kmくらい離れたところに天然温泉もあるということで即決。テントを張った後は、キャンプ場で知り合ったライダーと共に温泉に繰り出した。野中温泉というところで、熱めの内湯と、ぬるめの露天風呂を満喫。あまりに長く居すぎたので、帰ってきたときはもう真っ暗になっていた(笑)
それから作る夕食は、一昨日泊まったライダーハウスで、料金を払う際に何故かくれた袋ラーメン。ガスでお湯を沸かし3分煮て、スープを入れると出来上がり。ぱっぱと夕食を済ませ、今日は執筆活動に専念。ライダーハウスだとどうしてもライダー同士で話し込んでしまい、なかなか記事が書けないので、こういう日も必要だな。
08/14 晴れ|曇り 旅の道連れは・・・ 中標津/開陽台キャンプ場/215.9km
オンネトーの朝も早い。朝食に隣にキャンプしていたライダーからパンをもらって朝食にし、7時には出発。朝のオンネトーは昨日とはまた違った湖面の色をしている。
今日のまず最初の目的地はマリモで有名な阿寒湖から。オンネトーからは近いのですぐに到着した。ここにはアイヌコタンなるものがあって、アイヌの民芸品店が軒を連ねている。早朝にも関わらず数件あいているので、そこを散策。アイヌ民族は微細な装飾を施された木彫りをつくっている。美しいものはどれも高いので、見るだけ。でもその中で凄く気に入った極小サイズのフクロウの木彫りを買ってみた。
お次はマリモ。「マリモソフト」なる奇怪なソフトクリームがあったので、悩まず朝からアイスを食べる(笑)
味は普通のバニラアイスのちょっと甘さ控えめなタイプだが、その色はうっすらした緑色。店員さんの話によると、ホウレンソウ粉末がちょっと入っているらしい。また、アイスの中に緑色のマリモを模したゼリーが1個入っていたのには驚いた。アイスを食べた後は土産物屋でマリモを見ていると、「養殖物」と「天然物」の2種類が売られていることが分かった。店員に色々聞いてみると、養殖物は釧路とかで藻をくるくる丸めてマリモを作っているらしい。天然物は主にロシアのマリモで、正真正銘本物のマリモ。形は少々いびつだが、濡れタオルの上に乗せて手で丸めてやると丸く修正できるらしい。また教えてくれたマリモの飼い方は、1週間から10日に1回水替えをするだけという単純なものだそうな。水は水道水のままでよい。この「水を頻繁に変える理由」というのが面白かったので紹介しておこう。これは、マリモを成長させにくくするためとのころ。水が古くなってくると、水中に二酸化炭素やら栄養分やらが増えていき、マリモはそれらを吸収して成長が早まるらしい・・・ここがポイントで、成長が早いと丸まっているはずのマリモがどんどんいびつな形になってしまうんだって。なるほど。それから、天然物の方が生命力が強く、成長も早いとの話もしてくれたので、それがホントなのかが気になるので、養殖物と天然物のマリモを2種類も買ってしまった(笑)
マリモのお次は「屈斜路湖」。屈斜路湖畔には数多くの温泉が湧いているので、非常に楽しみだ。屈斜路湖の前に北海道名物「セイコーマート」という、北海道ローカルのコンビニで生卵を購入。そう、本物の温泉で温泉卵を作るというのはオレの長年の夢だったのだよ。ふふふ。
最初に行ったのは屈斜路湖に突き出ている和琴半島というところ。半島の付け根にはかなりデカいキャンプ場があって露天風呂もある。でも、ここで楽しみにしていたのはその露天風呂ではなくて、和琴半島の先端部分にある「オヤコツ地獄」と呼ばれる場所。
バイクを置いてから約20分、自然探勝路を歩くと小さな展望台に出て、その斜面の下からは白い湯気がモクモクと上がっており、付近一帯は硫黄の匂いが立ち込めている。その滑りやすい斜面を強引に降りると、そこには温泉が湧き出している「ボッケイ」と呼ばれる穴がいくつもあって、中から流れ出てくるお湯をちょっと触ってみたら、たまらんくらい熱かった。これならばっちり温泉卵が出来ると思ったが、熱すぎるので手で卵をつけるわけにもいかず、バンダナで包んで入れようとしていたら、それを見ていたジェットスキーでここにやってきていた人が網を貸してくれた。網なら取り出しもしやすいから、その好意に感謝しつつボッケイに卵を沈めてみた
ボッケイから出てくる熱湯と、屈斜路湖の水が混ざり合ったちょうどいい湯加減の部分が風呂のようになっていたので、そこでお湯につかりながら約15分。温泉卵ではなかったが、完璧なゆで卵が完成した!マウスを画像の上へ持っていってみよう。
味は最高!鍋で作るのとは一味違った風味があって、なんとも言えない最高の一品に仕上がったので、網を貸してくれた人にも1つプレゼント。やっぱり自然の力は凄いもんだなぁ。
ゆで卵と温泉を楽しんだ後、自然探勝路の帰り道には小屋の中にある温泉をみつけた。お湯加減はちょうど良かったのだが、ここの湯温調節は土嚢をつかうようにとの説明書きがあった。源泉がそのまま風呂に湧き出してくる穴があって、熱い場合はその穴に土嚢を載せる。ぬるい場合は土嚢をどける。もの凄くシンプルな方法だけど、それで湯温を調節してしまうワイルドさにも感動!ということで、もちろんそこでも温泉につかってみた。
和琴半島のキャンプ場の売店で名物「じゃがいもダンゴ」(じゃがいもをすりつぶしたものとメリケン粉を混ぜてハッシュドポテトのような形に丸めて、それを油であげたもの。砂糖醤油がかかっていた)を食べた後は、そのまま屈斜路湖の湖畔道路を走る。
湖畔をちょっと進んだところには「コタン」というところがあり、そこにレストランがあったので、そこで昼食。頼んだメニューは「パリモモ定食」。パリモモとは、屈斜路湖に生息する、コイ科の白身の魚らしく、今日の昼に釣ってきたものの活け造りがまるまる1匹でてきた。大き目の皿の真中には、切ったばかりの頭がのっかっていて、まだピクピク動いている。ちなみにこれは期間限定メニュー(この限定という言葉には弱いんだよなぁ)で、刺身のお味はちょっと甘味があって美味しかった。コタンにも屈斜路湖を眺めながら入る露天風呂があったので、衝動的に入ってしまった。温泉ははいると疲れが癒された気分になるが、実際はかなり体力を消耗している。しかし、そこに露天風呂がある限りオレは入るのだ!(笑)
さすがに3回も風呂にはいると、正直疲れたので、次は恐ろしく透明な水と青い湖面で有名な摩周湖へ向かう。あいにく天気は曇り。和琴半島ではカンカン照りだったのになぁ・・・
でもその前に「硫黄山」というところに駐車料金100円を支払って立ち寄ってみる。ここはアイヌ語で「アトサヌプリ」と言うらしい。“アトサ”が“裸”という意味で、“ヌプリ”は“山”。なるほど、植物が生えるような環境じゃないので、まさに「裸の山」。アイヌ民族の言葉は自然をうまく表現しているものが多い。またここでは、噴き出してくる蒸気で蒸し卵を作っていて、5個400円という値段にも関わらず飛ぶように売れていた・・・オレにはオヤコツの特製ゆで卵があるぜ!という優越感に浸りながら、写真だけをとってみた。マウスを画像の上に持っていこう。
硫黄山を後にし、摩周湖の第3展望台への道路を上がっていく。標高が上がるにつれて、やっぱり出てきた。さすが「霧の摩周湖」と呼ばれるだけある。苦労して坂道を登りきったのに、あたり一面は霧だらけで、どこが湖面かも分からないありさま・・・続く第1展望台も同じような状況下でしかたないので山を降りる。ここの駐車場も料金は100円だったが、硫黄山と共通だったのでまだ救われたかな。
聞いた話だと、この摩周湖を最初に見るときに、霧が出ていない場合、女なら婚期が遅れ、男だと出世が遅れるらしい。そんなのわざわざ遠くからやってきて、かわいそうな人に対する慰めでしかないだろ!と思いながらもちょっとだけ救われた気分になる自分が悲しい(^^;
残すは裏摩周展望台にかける。こっちは第1、第3展望台と対岸にあり、標高が少し低いので、見られる可能性が高いらしい。と言ってもこの霧じゃなぁ・・・やっぱりこっちも霧だが、湖面はわずかに見える。そこでしばらく粘っていた結果、摩周湖に浮かぶカムイシュ島(中央右側に見える小さな島)が現れた。霧の中に浮かぶ湖というのもまた、趣深い。インディゴブルーの湖面が見られなかったのは残念だが、それは次回のお楽しみに取って置くか。
ここで摩周湖について少し解説しておくと、摩周湖は火山の噴火跡に出来たカルデラ湖で、流れ込む川も無ければ、流れ出す川もない。しかし、その水位は年間を通じて常に一定という不思議な湖。人間の捨てた水が流れ込まないというだけで、こんなに透明になるのかねぇと思うとちょっと悲しいな。
その後は、その摩周湖と地下でつながっていて、摩周湖からの水が沸いているという「神の子池」へ。ここは前情報から相当に期待していたが、その期待に見事答えてくれた・・・
走りやすいダートを1km程進むと、駐車場の先に小さな池があり、看板が出ている。看板などなくとも、そこが「神の子池」であるということは、疑う余地が無い。
これ程に透明な水の池は今まで見たことが無かった。目を凝らすと池の底から水が湧き出してきている部分があり、砂がわずかに動いている。また、オショロコマがウヨウヨいて、こんな写真もとれてしまう(ロールオーバーイメージ)。湖面は静かに鏡のようで、周りの風景も全て映し出している。池の一部は美しい青色をしており、なかなか言葉では表現できない美しさ。その魅力に取り付かれたように、無心で写真を撮りまくってしまった。
神の子池は有名なところなので、もちろん観光客も多い。その一部の心無い人々によって、その環境が壊されつつあることもまた事実である。実際「小銭を投げ入れないでください」との注意書きがあるにもかかわらず、湖底に1円玉を見つけたときに腹立たしかったな。
非常に落ち着いた雰囲気のこの場所から出発するのは名残惜しかったが、時間も遅くなってきたこともあり、本日の最終目的地である「開陽台」へ向かう。しかし、神の子池から、山を降りてきたところでガソリンが無くなりリザーブに切り替える。ここから開陽台までは約25km・・・とりあえず途中にガソリンスタンドは無い。しかし、最悪予備に持っているボトルに1Lだけガソリンがあるから、大きな問題ではない。とはいえ、途中で荷物を降ろして予備ガソリンを入れるのも面倒くさいので、ガス欠にならないことを祈りつつ、無事に25kmを走りきった。
ここ 「開陽台」という所は地平線が丸く見え、まさに圧巻・・・らしいが、霧が出ているので展望はよくない。そこの前の道路はいかにも北海道!という地平線に向かって直線道路が伸びている有名な場所だ。
実はこの開陽台のキャンプ場で、このページを見てくれてメッセージをくれた人と合流することになっていたのだ。同時に高校時代からの友人ともここで待ち合わせをしている。到着してメールを入れると、すぐに返事が返ってきた。こういう時は便利な世の中に感謝してしまう。
こういう夜はもちろん大宴会。まぁその経緯を話すと、メッセージをくれた人が2日前に網走のキャンプ場で宴会をやった時に、「開陽台にこんなアホ(つまりオレのこと)が来るぞ!」という話をしたらしく、そのときに居合わせた数名のメンバーも予定変更で開陽台に駆けつけてくれた。しかし、こんなオレを見に来るために自分の予定を変更するとか、ライダーってやつはオレを含めアホが多いな(笑)
さらに、なんと私のことを知っていたカブ乗りの人とも出会い、その人も宴会に巻き込む。高校時代からの友人も含め結局8人にまでふくれ上がった結果、大宴会になってしまった。酒だけでなく食事も豪華。ライダーが集まって、鉄板焼きは無いだろ!(笑)という突っ込みを入れたくなったが、特注で作ってもらったという、ツーリング用の南部鉄の鉄板を持参してきている者あり、ガソリンバーナー持参でコンソメのスープを作る者あり、飯盒でビールを浴びるほど飲んでいる者あり。ペットボトルのキャップでウィスキーを飲んでいる者あり。とにかく何でもありで、とても初めて出会った人同士の宴会では無い状況だが、その楽しさは格別だった。ちょっとした沈黙が訪れたときに、ランタンを消して夜空を見上げると、そこには“音”が聞こえてきそうな満点の星空。天の川がはっきりと見える。星空だけじゃなしに、今はペルセウス座流星群が来ていることもあって、流れ星も時々流れる。旅の道連れは今の流れ星にどんな願いを込めたのだろうか?なんてことを考えながら夜は更けていった。1つのメッセージから広がったこの“出会い”。年齢や経歴だけでなく、旅のスタンス、目的などみんながバラバラだけど、“何か”で通じ合ってしまう旅人同士。オレは自分の旅のスタンスには誇りを持っているが、別にそれを他人に押し付けようとは思わないし、大型のバイクで颯爽と走る旅もまた素晴らしいと思う。何が大切かといえば、そこに自分の楽しみを見つけられるか?だと思う。
とはいうものの、自分と旅のスタンスが似ている人と出会うことが嬉しいというのもまた事実。メッセージをくれた方は、ハーレーに乗った大阪の旅人だが、遅く走るためにハーレーを選んだという理由が素晴らしい。ハーレーは高速を100km/hでクルージングもできるし、のんびりした道を50km/hでも快適に走れてしまう贅沢なバイクなんだって。手段こそ全く異なるが、旅のスタンス非常に私に似ている。また、この方は大阪に住んでいるらしいので、帰宅後の再会を約束した。こういう出会いはやっぱり嬉しい。
08/15 雨|曇り 川との対話から 帯広/トイピルカ北帯広YH/318.1km
昨日は2時過ぎまで宴会で、そのまま爆睡し日記は書けず・・・近畿でツーリングだと、キャンプ場でも寂しくやっている事が多いので、記事を書く時間はたっぷりあるが、北海道ではなかなか難しいかもしれない。と言っても、これはオレの旅のスタンスだから、がんばってやっていきたいとは思うけど、出会いも大切にしたいとも思う。そういうジレンマの中で、記事をアップするのが遅くなることもあるので御容赦いただきたい(^^;
夜遅かったにも関わらず朝は早い。5時には目が覚めて、外の空気を吸いにテントから出てみた。そのまま寝てしまうのももったいないので、とりあえず出発の仕度を始める。
みんなもぞろぞろと起き出してきて、7時頃にはテントも片付け終わり、荷造りも完了。写真を撮った時は晴れ間も出ていたのだが、どんどん曇ってきてとうとう雨が降り出した。しかも結構激しい雨で、立ち往生。雨が降ってきてからガソリンが無かったことを思い出して、もう1回荷物を降ろして1Lだけ給油。タンクはすっからかんだった。でもこれで一番近くのスタンドまでは余裕でいけるだろう。
雨が止む気配は少なく、折を見て各自出発になった。この雨のおかげで随分出発が遅れてしまった。
開陽台前の北十九号という直線道路も雨では魅力が半減。天気は自然のことだから仕方ないけど、困ってしまうこともある。
給油後はただひたすらに最短距離を走り、釧路へ。途中で雨は止んだが路面は濡れている。1度も休憩することなく釧路には昼前に到着した。
釧路ではまずは有名な「和商市場」へ。駅前にあったので、全く迷わずに到着した。ちなみにここの市場ではカップに入ったご飯を買うことが出来て、その上に自分の好きな具材を勝手に載せて食べる勝手丼というのが有名。もうすでに観光地化されてしまっていて残念だったが、卵丼を作って食べてみた。イクラとタラコとシシャモの卵が満載の丼もなかなか良い。
ちなみに刺身の類をご飯に載せてからウロウロ歩き回って次の具材を捜し歩くと、刺身が温まってしまいよくないんだって。最初に丼の組み合わせを考えたら、後は時間との戦い。ぱぱっとご飯の上に具材を載せて、刺身は別盛りにしてもらうのがいい。あふれんばかりのイクラって、結構油が多いから、こってりしすぎていて満腹になってしまった。
市場を後にし、そのまま帯広へ向かおうと思っていたが、気が変わったのでラムサール条約にも指定されている釧路湿原に寄り道。国道391号を北上し、細岡展望台へ行ってみた。
そこでオレを待って居たものは、広大な湿原をゆったりと流れる蛇行した川・・・そこで、川から語りかけられた気がした。「何をそんなに急いでいるのか?」
そうだ。開陽台から釧路までの流れる風景には特に何も感じなかった気がする。何をそんなに急いでいたのだろう?自分でもよくわからないが、川からそれを指摘されたようで、川に感謝した。
「水は低きに流れ、人の心は易きに流れる」
より低きへ流れようとするために蛇行してしまった川の流れと、その中をひたすらに続く直線道路を先を急ぐように走る車・・・自然と人間を対比したような景色から教えられたことは多かった。
展望台から少し歩くと、釧路湿原駅に出た。単線の路線で、もちろん電化されていない。ひっそりとした駅がたたずむ姿もなかなかいいな。
湿原を後に気分一新で帯広へ向かうことにした。そこからの景色には、道路脇に生えるラワンブキ(やたら馬鹿デカい“ふき”で、河童が傘代わりにつかってそうなやつ)や、熊笹などが目に映る。
帯広についた時には日も暮れかかっており、手近なライダーハウスを目指す・・・ものの、お祭りの日だったらしく、市内では交通規制をやっていて、結局見つけられなかったので、地図を見て一番近くのユースへ向かうことにした。
ユースは外国ではよく利用したが、国内では初めてだったりする。やたらと分かりにくい場所で、なおかつ看板も小さく目立たいところだったが、電話をしてなんとかたどり着いた。
オレの中のイメージではユースホステルは「安宿」というイメージだったが、一気に覆った(笑)
日本のユースは、安宿という位置よりも、ホテルに近い感じかな。寝室だけはドミトリー(いわゆる相部屋)だが、結構いい食事が出たりする。他には宿泊者同士のコミュニティーなんてのもあったりするが、消灯時間があったりする。オレにとってはユースよりもライダーハウスはキャンプの方が気楽にいけるからいいかな(^^;夕食は何も食べていなかったので、買出しに行こうとしたら、300円でご飯と味噌汁、鰹のたたきとサラダを親切にも作ってくれたのは良かったよ。夕食の後は近くの十勝川温泉へ。バイクの機動力があると、そういうことが簡単に出来てしまうのは嬉しい。温泉の後はビールを買ってきて、テラスで記事を書く。消灯時間になると室内ではできなくなってしまい、外で記事を書くしかない。これではキャンプ場とかわらないぞ(笑)
08/16 曇り(霧)|晴れ 楽しい一時を・・・ 日本海/新日本海フェリー上/265.0km
朝6時に起きるはずが、目が覚めたら7時20分だった。昨夜は2時過ぎまでPCに向かっていたので無理も無い。昨日、ホクレンのガソリンスタンドで給油した際に、気を利かせた店員さんがくれた100%グレープフルーツジュースを飲んで、8時には出発した。天候は曇り。また、街中にあった電光掲示板による情報によると、抜けていこうと思っている日勝峠は濃霧らしい。
そうそう。北海道の田舎道を走っていると、時々学校の横を通過することがある。これは昨夜泊まったYHの近くにあった小学校の画像だが、大阪とは違い周りに柵が無い。大阪では外部からの侵入者対策とかで大変なのに、ここ北海道ではそんなことはおかまいなし。でも、こういう開放的な所で育つ子供は正直羨ましいと思う。自然たっぷりのなかでのびのび育つと、きっとやさしい大人になるんじゃないかんな・・・
話を戻すと、流石にジュース1本では足りるはずも無く、もっとガッツリ朝食を食べるために、朝9時に日勝峠の上がり口にある清水ドライブインで「牛トロ丼そばセット」を食べてみた。ライダーには特別にミニ冷やしぜんざいも付けてくれるとのことで、朝から相当腹いっぱいになった。味もなかなかで、十勝牛の牛トロをわさび醤油で食べるってのもよい。またここからは十勝平野を眺めることができる。雲は多かったのは残念だったが、広大な平野を見渡せたよ。
そのまま国道274号(石勝樹海ロード)をひた走り、日勝峠のトンネルの手前くらいは視界が悪くなった。といっても100mくらいは見えたので危険は感じなかったが、レインスーツはびしょ濡れになった。気温は12度。清水ドライブインでウェアの下にフリースを着込んでいたので寒くは無かったけど、さすがは北海道だな。
トンネルを抜けるといきなり天気が変化し、霧はスカッと晴れ、雲も少なくなった。標高が下がってくると気温も上がり、とりあえずバイクを止めてフリースとレインスーツを脱ぐ。こういう時はメッシュのジャケットくらいが気持ちいい。日高で給油し、快適に進んでいく。
途中メロンで有名な夕張をちょっと通り過ぎたあたりで、メロン直売所に立ち寄ってみた。ここは夕張郡栗山町で、夕張市ではないので夕張メロンの名は使えないらしく、キングメロンという名称で販売していた。こういう直売所では切った試食用にメロンを売っていることが多いが、そこはタダで食べさせてくれた。農家の方が自分で作ったメロンを、自分で道路脇で売っているらしく、毎日収穫したものを売っているみたいだった。お味はもちろん、タダということもあいまって、とても甘く美味かったな(笑)
その後も快調に西に進み、千歳空港の近くで感じのよさそうな道を見つけたのでちょっと左の道に入ってみた。トンボがやたらたくさん飛んでいて、スピードを上げるとヘルメットのシールドやら体にバンバンぶつかってくる。30km/hでのんびり景色を楽しむというのも優雅な瞬間だ。
ちょうど昼時だったが、朝にガッツリ食べた牛トロ丼がまだ腹に残っていたので、そのまま274号から国道12号に乗り継いで札幌までやってきた。やはり札幌は大都市で、市内には車が多く、信号で止まることも多い。
札幌では知り合いと待ち合わせをしており、まずは札幌駅を目指す。駅前には大体駐輪場があるし、コインロッカーもある。カブの便利なところは、こういうシーンでは自転車になりすますことが出来る点にあるのだ(笑)
札幌市内にはかなり余裕を持って入ったのだが、カブを置いて、コインロッカーまで荷物を運んだりしていて、待ち合わせの時間に少し遅れてしまい、申し訳ない気分で待ち合わせ場所へ向かう。待ち合わせていた時間も早かったので、合流後は札幌プチ観光へ出発!といっても、サッポロビールファクトリーという博物館(ショッピングモール?)でビールの味比べなんかをして、ずっと喋っていたけど(笑)
夕食は、“PICANTE(ピカンティ)”という名の、北大近くのかなり雰囲気のいい店で、札幌の新名物「スープカレー」を食べる。かなりの人気店なので少し待ったが、ボリューム満点。さらに味もめちゃウマで、大満足。いい雰囲気で美味しい食事。酒が飲めないのは残念だったが、パッションフルーツラッシーで、話も弾む。おかげでとても楽しい一時を過ごすことが出来た(^^
本当はもっと札幌に居たかったが、今夜のフェリーで帰る予定になっているのでそうもいかず、札幌駅に戻り荷造り開始。手伝ってもらってなんとか荷造りを終え、出発する頃には夜9時半くらいになっていた。ここからフェリーの出る小樽までは約30km程度。開陽台で一緒になったライダーと、10時にフェリーターミナルで待ち合わせをしていたりもするのだが、これでは思いっきり間に合わなさそう(^^;
まぁ フェリー自体は11時50分発なので、時間的には大丈夫なんだけど。結局1時間近くかかって、フェリー乗り場へ到着した。到着した時にちょうどバイクの乗り込みが始まった時でちょうど良かった。待ち合わせをしていたライダーにはメールを送り、船内で合流することになった。
船内に入った後は、場所を確保し(今回は壁際の電源ポイントを確保!)風呂へ入る。その後はもちろんデッキで宴会で、空が明るくなるまで続いた・・・
08/17 晴れ 船は南へ 日本海/新日本海フェリー上/107.1km
目が覚めたら昼の12時を回っていた。とりあえず昼飯にメロンパンとコロッケを食べて、後はひたすら執筆活動。書きたいことが多かったこともあり、ここ最近遅れ気味だったところを一気に取り戻した。
時期も時期だけに、船内は多くの旅人でごった返している。北海道から帰路につく者、北海道からの往路の者。旅人達の想いを胸に、船は一面水平線の中を進んでいく。隣の旅人はどんな想いを胸にしているのだろうか?
北海道から遠ざかるにつれ、どんどん気温が上がってきた気がする。夕日が見える頃には、随分暑くなってきた・・・
旅人達の様々な想いをのせたフェリーは、定刻通り舞鶴港に入港した。
旅を終えて
総行程約1600km(道内1400km)の北海道編はいかがでしたでしょうか?北海道には数多くの見所や温泉があり、どんな旅の楽しみ方をしても満足できる場所だという印象を受けました。
私の旅の中で感動したことは、「北海道の開放感」や「大自然の神秘」、もちろん「美味しい食べ物」などもありましたが、やはり最も印象に残っているのは、「人との出会い」です。
旅の中での「偶然の出会い」。共に過ごした時間はほんの数時間、いや数分かもしれない。そこで共有した時間の長さは問題ではなく、互いの波長が合いさえすれば、そこには「人と人とのつながり」ができる。それは旅のスパイスにもなりメインディッシュにもなる。あの交差点を直進していたら出会わなかった人。だらだらと必要以上に休憩していたために出会った人。何気に話し掛けたきっかけで語り合った人・・・オレは今まで出会いは全て偶然の産物だと思っていた。しかし、フィンランドのロヴァニエミという北極圏の小さな町で出会った1人の旅人(彼とはほんの数時間しか同じ時を共有しなかったが、今でも交流があり機会を作って毎年会うようにしている)は、オレに「出会いは必然だ!」と言っていたのを思い出した。
自分がのんびり・ゆったりという旅のスタンスを貫き通さなかったら、決して出会わなかった人・・・裏を返せば、そのスタンスを貫き通す限り、必然的に訪れた出会いかもしれない。もしかしたら、全ての出会いには理由があって、それらは「必然の出会い」なんじゃないか?と思うようになった、今の自分がいる。
たった数日間だったが、北海道は非常に魅力的なフィールドだ。通り過ぎるライダー同士で挨拶が交わされるし、日本各地から多くの旅人が集まっても、まだまだ余裕が感じられる。道も空気も全てにおいて余裕があるというのは、北海道以外ではないだろう。今回の旅ではインディゴブルーの摩周湖も見られなかったし、知床にも行っていない。岬巡りもしてみたい。今回はほとんど触れていないが、もっと「文化」についても詳しく触れたい。
北海道は確かに広かった。また別の機会には再び訪れたいと思わせる何かがある。魅力的なフィールドが無くならない限り、オレの旅は終わらない・・・
(完)