スーパーカブとは?

・スーパーカブ伝説

 スーパーカブというバイクを知っているだろうか?おそらくほとんどの人が、その名くらいは聞いたことがあると思う。新聞や郵便の配達に使われているアレである。ホンダが今まで生産してきた1億台以上のバイクの、実に4分1以上がこのスーパーカブなのだ。もちろん世界でもっとも多く生産されているバイクである。40年以上も生産され続けて、パワーユニットの基本設計が変更されたのはたったの一度のみ。それだけ信頼性と耐久性、そしてその扱いやすさがあるからこそ、ここまでの支持を得られたのだ。

 そんなカブには多くの「伝説」がある。ここでは私の大学の友人が経験した「伝説」についてお話しよう。

  あれは1999年に福岡が大水害に見舞われた時にさかのぼる。私の住んでいる地域は幸い水没という事態だけは免れたが、家の前は川さながらの様相を呈していた。その川のように流れる水が集まってきた隣町には友人の家があり、彼のカブは見事に水没した。水がひいた後の道路は泥だらけで、水没しエンジンもかからず廃車を待つしかない可哀相な車が至るところで見受けられた。バイクもご多分に漏れず、必死にエンジンをかけようとする人達も見られたが、結果は想像に難くないだろう。友人もカブにまたがりエンジンをかけようとした・・・なんと、何事も無かったかのようにエンジンがかかったのだ!確かに彼のカブは水没していた。なのにどうして!と思う方も多いと思うが、これがカブなのだ。だがまだこの「伝説」は終わりではない。
  しかし彼はオイル交換ひとつせず、ちょっと調子が悪いと言いながらも半年以上もそのままで乗り続けていた。その後カブは別の友人の手に渡り、新しい所有者となった友人がバイク屋へ持っていき、オイル交換をしてもらったところ、なんと中からが出てきたのだ!これにはバイク屋の人も驚いたという。

 今回私は、ヨーロッパにスーパーカブで挑戦する。実際のところもっと排気量の大きなバイクの方が楽だし、高速で移動もできるからいいに決まっているが、あえて私はそんなカブを選んだ。これならヨーロッパ大陸を何万キロも走り倒しても、きちんとメンテナンスさえしてやれば持ちこたえてくれるだろうし、ゆっくりと旅をするもの私の性分に合っている。そして、カブと共に新たな「伝説」を築ければ幸いである。


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